「タバコ消費量」が減っているのに「肺がん」の死亡率が上がっているのは本当か

「タバコ消費量」が減っているのに「肺がん」の死亡率が上がっているのは本当か

 タバコに関するありがちな誤解の一つが、タバコ消費量や喫煙率と肺がんの患者数や死亡率の関係だ。喫煙を擁護したい人たちは、よくこの間違いを出してくるが、一見すると実際に両者に関係がないようにみえる。なぜなのだろうか。

喫煙と肺がんの関係は

 数年前に与党の有力政治家が、喫煙者が減っているのに肺がんの患者が増えていることに疑問を呈して物議をかもした。喫煙と肺がんには因果関係がないとも取れる発言だが、ネット上などにはよくこうした言説が出回っていたりする。

 もう何十年も前から喫煙と肺がん発症には、疫学からもタバコ成分評価からも強い因果関係があるとされてきた(※1)。これについての研究は枚挙に暇がないが、最近のメタ解析論文でも、改めて喫煙と肺がんの関係が示されている(※2)。

 では、どうして冒頭のようなおかしなことを言い出す人が出てくるのだろうか。

 近年、喫煙率は右肩下がりに減り続け、タバコ消費量も減少し続けている。また、肺がんの患者数や死亡率が増加傾向にあるのは確かだ。男女ともに肺がんの死亡率は上がっている。男性の死亡率では、1998年以後、肺がんが1位のままだ。

 だが、肺がんの死亡率を高齢化などの影響を排除した年齢調整死亡率でみるとどうだろうか。下のグラフのように喫煙率が女性より高い男性の肺がん死亡率は、1990年代の半ばから減り続けていることがわかる。また、年齢調整死亡率でみた女性の肺がん死亡率も、横ばいまたは漸減傾向にある。

喫煙と肺がんのタイムラグ

 つまり、肺がんの死亡率はむしろ減っているわけだ。

 また、タバコを吸っても、すぐに肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などにかかるわけではない。タバコによるニコチン依存症になると、毎日、朝起きてから夜寝るまで、間欠的に1日中、タバコを吸い続ける。こうした生活習慣を長く続けた結果、喫煙者は非喫煙者の15倍から30倍という高リスクで肺がんになる(※3)。

 喫煙開始から肺がんを発症して死亡するまでの期間は、国や地域によっても異なるが20年から30年と考えられ、長くタバコを吸い続けることで、中年期や高齢になってから肺がんを発症することになる。このタイムラグについては、下のグラフをみるとよくわかるだろう。

 20世紀に入って大量生産大量消費の経済になった。タバコも例外ではなく、紙巻きタバコ製造機が発明され、大量に生産されたタバコを大量に消費させなければならなくなる。

 タバコ会社やタバコ税収をもくろむ各国政府は、大衆に喫煙を推奨し、タバコ消費が増え続けた。その結果、大量の肺がん患者も生み出されることになった。

 肺がんの原因の少なくとも80%は喫煙と言われている。タバコがなくなれば、肺がんはこれほど患者や家族、社会に負担をかける病気ではなくなるだろう。

 日本の喫煙率はずっと下がり続けてきたが、ここ数年は特に中年男性や女性で喫煙率が横ばい状態になっている。喫煙率が下げ止まったままでいれば、肺がんは将来も我々に重い負担を強い続けることになる。

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