中国で“EV墓場”が急増 「低品質」とカーシェア普及で “シェアサイクル墓場”も…
広大な敷地を埋め尽くすように、ずらりと並んだ白い車。
車の屋根にまで雑草が生い茂り、埋もれている車もある。
これらはすべて、電気自動車。
中国東部、浙江省の杭州市で、8月に投稿された映像。
電気自動車(EV)が大量に打ち捨てられた状態から、“EV墓場”と呼ばれ、その様子が中国のSNSに相次いで投稿される事態となっている。
別の動画では、屋根が水色で統一されたEVが敷地を埋め尽くし、中には、ボンネットが開いたままの車もある。
ドアには、カーシェア会社のパンダのマークがあった。
こうしたEV墓場が、なぜ拡大しているのか。
背景にあるとされるのは、中国の特殊な交通事情。
敷地に設置されている車のナンバーは、EVがつけるグリーンナンバー。
ガソリン車の場合はブルーナンバーがつけられ、それぞれ色によって区別されている。
中国の大都市では、渋滞緩和などのため、ナンバープレートの数が制限されていて、ガソリン車の場合は、車を購入する前にナンバープレートを高額で落札する必要がある。
しかし、EVなどのグリーンナンバーはこの制限を受けないため、購入しやすく、普及が進んだ。
専門家が指摘するのは、カーシェア会社の急増。
経済産業研究所 コンサルティングフェロー・藤和彦さん「電気自動車の貸し出しから始めているリース会社が、最初はシェアを伸ばせて売り上げが良かったが、途中で過当競争になってしまった。競争に負けた企業が、電気自動車を持て余して、勝手に放置してしまった」
中国ではカーシェアの競争が激化し、2023年4月までに2,400社近くが廃業。
そのため、使われなくなった車がEV墓場行きとなり、大量放置が相次ぐ事態に陥ったとみられる。
EV墓場と同様に、中国では電動自転車が大量に放置された、シェアサイクルの墓場も問題となっている。
車体の色ごとに、ずらりと並んだ大量の電動自転車。
シェアサイクルが爆発的に普及する中、供給過多が起きたことによるものとみられている。
中国では、今後も行き場を失った車が相次ぐおそれがあり、“EVの墓場”が各地に出現する可能性があるとみられている。