コロナ病床減、患者受け入れに病院危機感 治療薬は一部自己負担へ
厚生労働省の感染症部会は15日、新型コロナウイルス感染症で全額公費負担だった治療薬の費用に10月以降、一部自己負担を求めることなどを確認した。冬場に向けて新たな感染拡大も考えられる中、医療機関は患者を受け入れ続けられるのか。
5月に新型コロナの感染症法上の位置づけが5類へ移行してから、医療機関はコロナ患者専用の病床数を減らしてきた。補助金が減額され、通常診療への影響などを考慮したためだ。
東京医科歯科大病院(東京都文京区)はこの春から専用病床をなくし、各診療科で受け入れる態勢に切り替えた。植木穣(ゆたか)病院長補佐は「大学病院として、がんなどの患者に高度な医療を提供する必要がある」と話す。
ただ、5類移行後も新型コロナウイルスがなくなったわけではない。
現在の流行の主流となっているオミクロン株の派生型「EG・5」は感染力が強く、院内の感染対策に苦慮している。防護服などは今も欠かせず、隔離のために空き病床も生じるので、経営的な負担が出ていることに変わりはない。
「今後の感染の急拡大時にいかに病床を確保できるかが重要だ。だが、支援が縮小されれば、経営的に患者を受け入れられない病院も出てくるだろう」
植木病院長補佐はそう指摘する。さらに、コロナへの警戒感を巡っては、市民と医療機関の間でギャップが広がっているとも感じている。
「一般の人の理解を得る難しさはあるが、国は医療機関への支援を来春以降も続けてほしい」
一方、5類移行前は感染者を外来で受け入れていた医療機関が約4万2000カ所あった。政府はこれを、季節性インフルエンザの受け入れ態勢と同じ最大6万4000カ所に増やそうとしている。
だが、5類移行から約4カ月がたった今月6日時点では約4万9000カ所にとどまっている。
こうした状況などから、感染症に詳しい国際医療福祉大の松本哲哉教授は「冬にはインフルエンザとの同時流行が想定され、医療支援の縮小は、それを乗り越えてからすべきだったのではないか。今の段階ではまだ早く、感染拡大への備えが手薄になってしまう」と危機感を募らせる。
日本感染症学会などは13日、治療薬を自己負担させると受診控えを招くとし、公費支援の継続を求めた。松本教授も懸念を示す。
「重症化リスクがある人にはラゲブリオやパキロビッドなどの治療薬を早めに処方して、症状の悪化を防げれば、入院患者の減少が期待できる。だが、自己負担させることによって、この流れが機能しなくなるかもしれない」
