アップルに中国ユーザー離れのリスク-新型iPhone発表前に不安も
米アップルはスマートフォン「iPhone」の新型モデルを発表するとみられる重要イベントを数日後に控え、中国での危機を避けたい考えだ。
12日にアップルの本社から全世界に配信される予定の製品発表会は、同社最大の国外市場である中国での複数の論争が影を落とす恐れがある。中国では政府職員の間でiPhoneの使用禁止の動きが広がっているほか、中国の華為技術(ファーウェイ)による新しい携帯電話の発売は同国内での競争激化につながる。
しかし、アップルにとって最大の潜在的脅威は、もっと漠然としたものかもしれない。つまり、中国でナショナリズムが再燃し、消費者がiPhoneや他の外国ブランドの製品を敬遠するようになる可能性があることだ。
アップルは以前にもそうした脅威に直面したことがある。約5年前、同社は発売したばかりの「iPhone XS」と「XR」のホリデーシーズンの売り上げが中国での不振で予想を下回った。同社は公式には、米中貿易摩擦と中国経済が原因だと説明したが、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は同社の取締役会に宛てた社内メールで、中国のナショナリズムや現地のライバル企業との競争激化も理由に挙げた。
当時は、トランプ政権がファーウェイをブラックリストに掲載したばかりで米中間の緊張が高まっていたため、中国に深く依存する企業には厳しい状況だった。アップルの中国売上高は2019会計年度と20年度に減少した後、21年度に回復した。アップルは売上高の約2割を中国から得ており、同国は同社のサプライチェーンの中心でもある。
今の問題は、アップルが19年のような事態に再びに直面するかどうかだ。政府による禁止措置の拡大は不吉な兆候だ。政府機関や国有企業の職員が職場でiPhone使用を禁止されるケースが増えている。このニュースを受け、アップルの株価は2日続落し、時価総額は1900億ドル(約28兆円)が吹き飛んだ。
アップルの広報担当者はコメントを控えた。
反アップル感情
米国の議員らはファーウェイのサプライヤーに対する監視を強めており、米国からの同社向け輸出を全面停止するよう求める声も聞かれる。最近は中国の大手半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)に厳しい目が注がれている。SMICはファーウェイの新型携帯電話に高度な部品を供給し、米国の制裁に違反したようだと米議員らは指摘している。
こうした状況下で中国のソーシャルメディアでは反アップル感情が広がっている。中国の携帯電話事業者チャイナモバイル(中国移動)が次期モデル「iPhone 15」を仕入れないとの臆測まで流れたが、同社は否定した。
6日にオンラインで公開された動画では、広東省広州のアップルストアで客足好調な様子が映されていたが、この投稿のコメント欄はすぐにアップルへの反感を示す言葉で埋め尽くされた。 「求職者がアップルの携帯電話を使っている限り、私は彼らを雇わない」という人や、「アップルの携帯電話は絶対に買わない」とのコメントや、「ファーウェイを買うことに誇りを持っている」と書いた人もいた。また、「米国がファーウェイを禁止しているのに、なぜわれわれはアップルの販売を禁止できないのだろうか」という意見もあった。
中国は昨年、政府機関や国有企業に対し2024年までに外国製コンピューターを国産代替品に置き換えるよう命じた。ただ突き詰めて考えれば、中国にはiPhoneの販売禁止を過度に推進しない動機もある。アップルは中国国内で何百万人もの労働者を支えており、同国政府が自国民に打撃を与えずに同社を懲らしめるのは難しいとみられる。
