ウクライナ軍事専門家、反攻は「第2局面」 ヘルソン解放に似た進展
ロシアによるウクライナ全面侵攻から24日で1年半となる。ウクライナ軍がロシアの支配地域に対して進める反転攻勢の現況や見通しについて、ウクライナの民間団体「情報抵抗」の軍事専門家、アレクサンドル・コワレンコ氏に聞いた。
南部ザポロジエ方面での反攻作戦は、昨年11月のヘルソン解放までの動きと似通っていることを指摘したい。ドニエプル川の北岸に位置するヘルソンの解放作戦は昨年5月に始まった。
第1局面は、川の南岸に進出して橋頭堡(きょうとうほ)を確保し、拡大することだった。第2局面は7月、両岸をつなぐアントノフ橋を米高機動ロケット砲システム「ハイマース」で攻撃して始まった。ヘルソンへの重要な物資輸送ルートを断つ行動だった。第3局面はヘルソンの北方や東方での攻撃激化だ。ヘルソン解放という結果が出たのは11月であり、全過程で半年かかった。
現在のザポロジエ方面では、ウクライナ軍が一部地域で露軍の第1防衛線を突破し、集落を奪還して橋頭堡を拡大している。今月上旬には南部クリミア半島とウクライナ本土を結ぶチョンガル橋を攻撃。さらに南部各地への物資輸送に使われていた露海軍の揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」を攻撃し、破損させた。
つまり、南部へのあらゆる物資輸送ルートを断ち切る第2局面にあるということだ。ヘルソン解放の時間軸と似ている。これからの約2カ月間で、第2防衛線の一部を突破するといった結果が出るだろう。ウクライナ軍の基本的な強襲戦力はまだ温存されている。
ロシアの地雷原は非常に大きな問題だ。露軍が防衛線に地雷を敷いていることは分かっていたが、さまざまな種類の地雷をかくも密に敷き詰めているとは考えていなかった。地雷除去の機材が全く足りていない。
いま一つの問題はロシアの航空戦力の優位であり、露航空機が発射する射程20~30キロの滑空爆弾だ。
この脅威を取り除くには2つの方法しかない。第1は対空ミサイルだが、これが足りていない。地方の大都市でも防空システムは未完だ。第2は米国製戦闘機F16だが、まだ供与されていない。F16パイロットの訓練は始まっているが、整備要員やインフラなども合わせて運用の態勢が整うのは来年になるだろう。
反攻に伴う人的損失は当然大きく、戦闘の方面によって状況も異なる。ただ、一つ言えるのは、今回の反攻では「防御側より攻撃側に損失が大きく出る」という軍事の常識が覆されていることだ。現在、ウクライナでは大規模な動員が行われておらず、兵員の確保に問題はないと考えてよい。
