氷ガリガリ、貧血かも 無自覚多く症状チェックを
氷をガリガリ、口にするのが止められないというのは、暑さのせいではないかもしれない。日に何度も食べたくなる場合、「貧血」の可能性があるからだ。だるい、頭が痛い、イライラする。貧血の症状はさまざまだが、いずれもよくあること。ゆっくりと進行することも多いため、見落としてしまう場合もある。
【写真】〝隠れ貧血〟に適した食べ物
東京都文京区の女性会社員(53)は、30代のころから気分がいらだつことが増え、頭が割れるように痛んだり、会議中に眠気に見舞われたりするようになった。
それでも当時は「いらいらは自分の性格。眠気や頭痛は体質だと思った」。会社の健康診断の血液検査でヘモグロビン(血色素)の値が基準を切り「要受診」とたびたび指摘されたが、病院を受診しなかった。
40代半ばを過ぎたころ、コンビニエンスストアのトイレで意識を失い、救急車で病院に運ばれたのを機に精密検査を受けた。診断名は「貧血」。鉄剤の処方を受けて飲み始めると、しばらくして頭痛やだるさが軽減しだした。「頭痛やだるさが貧血のせいだとは思っていなかった。30代の健診後に治療を始めていれば、もっと体が楽だったかもしれない」と振り返った。
◆体内の鉄分不足
このように無自覚なまま症状を放置して進んでしまうのが貧血の特徴でもある。
「健診で『貧血』といわれて受診しに来た人のほとんどが、最初は『症状がない』と話す。ただよく話を聞けば『氷ばかりずっと食べてしまう』と明かしたり、爪が変形していたりして、すでに症状が出ている場合がある」
こう語るのは、「あかし内科クリニック」(大阪府柏原市)の副院長で総合内科専門医の明石祐作さん(39)。
貧血の種類はいくつかあるが、このうち特に目立つのは、鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」。体内の鉄分が不足すると、赤血球の主成分であるヘモグロビンが十分に作られなくなる。ヘモグロビンは体のすみずみまで酸素を運ぶ役目があり、減少すると貧血の症状が出る。
軽症で表れやすい症状は、体のだるさ。「程度の悪化がとてもゆっくりだと、その『具合の悪さ』が日常になって慣れてしまう。そのため『症状がない』と思ってしまうことは多い」と明石さん。症状を改めて意識し、該当するなら医療機関を受診しよう。
◆疾病の可能性が
貧血と診断されたら、あわせて原因も調べたい。思わぬ疾病が潜んでいるかもしれないからだ。例えば出血が貧血の原因となっている場合がある。女性だと、子宮筋腫や子宮内膜症などの影響で月経の出血(経血)量が増えて貧血になることがある。また、男女問わずにあるのが胃や腸からの出血。「貧血の原因を探るうち、がんが見つかる場合もある」と明石さん。
もちろん貧血でなくても、鉄は毎日、自然と少しずつ体から失われる。その分を食事などで補う必要がある。赤身の牛肉やレバー、カツオなどは、鉄分が豊富とされる。サプリメントも手助けになるだろう。
食べ方にも注意したい。日本鉄バイオサイエンス学会による「鉄剤の適正使用による貧血治療指針」は、「緑茶、コーヒー、紅茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げるので、食事中や食後は渋いお茶やコーヒーを多量に飲むのは控える」ことを推奨する。
一方、「野菜や豆類などの植物性食品を食べる場合は、ビタミンCと一緒に取ると鉄分の吸収率が上がるともいわれている」(明石さん)という。
