世界初の「全樹脂電池」の開発を手がけるAPBの「夢の電池」!低コストで発火リスクなしスタートアップが挑む 全樹脂電池の量産化【Bizスクエア】次世代電池のAPBが破綻危機

低コストで発火リスクなしスタートアップが挑む 全樹脂電池の量産化【Bizスクエア】

シリーズ「未来のエネルギー」です。金属を使わない次世代のリチウムイオン電池「全樹脂電池」が量産化に向け準備を進めています。これまでのリチウムイオン電池と比べて、低コストで大容量、発火の危険が少ないという全樹脂電池。開発したスタートアップの挑戦に迫ります。

【ゲスト】堀江英明(APB CEO)

【コメンテーター】入山章栄(早稲田大学ビジネススクール教授)

全樹脂電池は

世界で初めての大面積バイポーラ積層電池

バイポーラ構造という集電体に対して垂直に電流が流れる構造と、高分子樹脂の基本部材への採用を通じて、

従来型リチウムイオン電池の課題であった複雑な製造工程や発火リスクなどを大幅に改善しつつ、高エネルギー密度も実現。

「あるべき電池」を追求しました。

夢の電池! 全固体電池がもたらす未来図 ~第一人者に聞く メリットや課題は?~【Bizスクエア】

自動車のEV化に欠かせない電池の開発。その切り札として期待されているのが「全固体電池」です。電池の常識を変える「全固体電池」とはどういうものなのか? 研究の第一人者をスタジオにお招きしてお話を伺います。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏

次世代電池のAPBが破綻危機 創業者「わなにかかった」

次世代電池の一つ「全樹脂電池」を開発中のスタートアップ、APB(福井県越前市)が経営破綻の危機にひんしている。メインバンクである北国フィナンシャルホールディングス(FHD)傘下の投資子会社が、東京地裁にAPBの会社更生法適用を申請し、その後取り下げるなど、経営権を巡る争いで混乱が続いている。資金繰りが悪化していたことが背景と見られる。

APBの創業者は元日産自動車の技術者で、世界初の量産電気自動車(EV)「リーフ」の車載用電池を開発した堀江英明氏。2024年夏に解任され、現在は経営権を巡って係争中だ。APBは23年に北国FHD傘下の投資会社QRインベストメント(金沢市)から12億円を調達し、量産に向けて準備を進めていたところだった。堀江氏は「創業者の私が代表者であることが融資の条件という株主間契約を結んでいた」と話す。その言葉通りであれば、経営陣の交代で追加融資が止まったと考えられる。更生法申請について、堀江氏は「直接関係していないので、コメントできない」としている。

APBの経営権を巡っては、株式の3割強を保有する筆頭株主のTRIPLE-1(トリプルワン、福岡市)出身の取締役が代表権を主張している。トリプルワンは半導体開発のスタートアップで、これまで仮想通貨のマイニング(採掘)に使うチップなどを手掛けてきた。

突然解任された創業者

堀江氏によると、突然の交代劇が起きたのは6月末、東京都内のシェアオフィスで行われた取締役会でだった。当日の議題である決算報告を終えた後、議長である堀江氏が閉会宣言をした時のことだ。トリプルワン副社長の大島麿礼氏が「まだ終わっていない」と発言。オンライン会議での参加者も含めて取締役会を再開し、議長の交代について提起したという。

「当初から不穏な動きがあったため、あらかじめ弁護士を同席させていた」という堀江氏は、取締役会の正当性を確保するため、大島氏の横で弁護士と共に「取締役会は終わっている」と叫び続けたという。だが最終的に、取締役5人のうちトリプルワン出身者を含めた3人の支持を得て、代表交代に賛同が得られた。

大島氏は株主総会を経て、APBの代表に就任した。これに対し、堀江氏は正式な取締役会と株主総会を経ていないとして、取締役3人を相手方として、福井地裁に役員の地位を確認する仮処分の申し立てを行った。現在は、最高裁で審議中だ。経営権を巡る係争や経緯について、トリプルワンからコメントは得られなかった。

APBは株主が変わるなかで、以前から火種をくすぶらせていた。堀江氏は日産を辞めた後の18年にAPBを創業した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に指定され、資金援助を受けながら量産を目指していた。19年には化学メーカーの三洋化成工業から44%の出資を受け、福井県越前市に新工場を設立して共同研究を始めた。

だが、堀江氏によるとAPBに出資を決めた当時の社長が交代した後、量産準備に遅れが出始めたという。「低コスト・高速度の製造技術の実現を目指していたが、三洋化成との間で製造方法を巡る意見対立が度々生じた」(堀江氏)。APBでの代表取締役の地位保全を巡って裁判を2度行ったが、いずれも堀江氏が勝訴。三洋化成はその後、APB株の大半をトリプルワンに売却した。

堀江氏は「トリプルワンは半導体技術などに出資をしている会社だが、技術が分かる人はいないようだ。43億円の資金をAPBに入れるとの約束も事前にしていたが、一向に何も実行されることもない。実態が不明な会社に株を引き渡してしまったことは、私の責任だ」と話す。

車載電池実用化の立役者が創業

複数の会社が有望と見て出資した全樹脂電池とは、どのような技術なのか。全樹脂電池は、従来のリチウムイオン電池とは全く異なる構造で、電極に金属を使わない次世代電池の一つだ。正極・負極いずれも樹脂製で、電解液もゲル状の樹脂になっている。

効率的に電気を取り出せるうえ、ポリマー製なので安全性が高い。ジャムのように樹脂を塗り重ねる製造工程となるため、簡素な装置で実現できるのが特徴だ。既存の電池の課題であるエネルギー密度や安全問題、製造コストなどを解決するとしている。

堀江氏は大学院卒業後、日産で電池の研究開発に携わっていた。現在では当たり前となっている、複数電池を回路と組み合わせて大型電池を制御する新たなアイデアを1991年に着想。ソニー(現ソニーグループ)が世界初のリチウムイオン電池を開発したという記事を見たことがきっかけで、ソニー・日産のEV用電池の共同開発につなげた。回路と組み合わせるアイデアが奏功し、日産は96年に車載電池の実用化に成功した。日産が世界初の量産EV「リーフ」を出したのは2010年だ。

「全樹脂電池の研究を日産でも続け、カルロス・ゴーン元会長に提案したこともあった」という。日産が18年には電池事業を売却したため、研究開発を継続するのが難しいと判断して独立した。

世界のエネルギー需要が増大するなか、既存のリチウムイオン電池の延長では金属資源に限りがあり、持続可能性が低い。電池材料の再利用のしやすさも踏まえると、全樹脂電池が次世代電池になり得ると見定めてAPBを創業した。

堀江氏は技術の海外流出を懸念

トリプルワン出身の大島氏がAPB代表に就いていることで、堀江氏が懸念するのが技術の海外流出だ。23年ごろから、大島氏は堀江氏に対して中国企業との業務提携を度々提案してきたという。「中国の電池メーカーが開発した電池をAPBで造れないか」「全樹脂電池の技術情報について質問が他社から来た」などとの問い合わせがあったという。

あるAPBの関係者は「大島氏とのメールのやり取りには中国企業と見られる会社に全樹脂電池の技術情報を流したり、提携に向けて中国企業とNDA(秘密保持契約)を結んだりした内容があった」と証言する。堀江氏は懸念点の一つとして「(現経営陣が)全樹脂電池の技術を中国企業に売りかねない」と主張する。

代表交代後、堀江氏は「すぐに社用メールの利用が止まり、約60人の社員とコミュニケーションが取れなくなった」。堀江氏は将来的に退任した後のことを見据えて、全樹脂電池の特許をあらかじめ会社に帰属させたため、個人で開発を再開する方法を採ることも難しい。「今回のように技術の価値が分からない人の手に渡るような事態は想定していなかった。わなにかかったと言われても仕方ない」と悔いる。

裁判所が更生手続きの開始決定をした場合、経営権は管財人へと移る。そして新たなスポンサーが見つかれば、その監督下で経営再建を探ることになる。

リチウムイオン電池は基礎研究や市場投入の段階では日本が先行した技術だった。だが、今では中韓勢が車載用をはじめとする電池市場を席巻し、日本は後塵(こうじん)を拝している。全樹脂電池も日本発の技術だが、経営権を巡る争いで経営が混乱し、量産に向けた道筋は見通せない。有望な技術の芽を生かすことはまだできるのか。今後のAPBの行く末が注目される。

「全従業員をリストラ」通告 「夢の電池」開発企業に異変 開発データ消失の恐れも

 「夢の電池」ともいわれる技術を開発していた日本企業が窮地に陥っています。社員全員が今月中に希望退職するよう求められ、応じなければ解雇すると経営陣から通告されました。一体、何が起きているのでしょうか。

■元日産レジェンドが創設 国会で疑惑追及も

 世界初となる次世代電池の開発で期待されていた、福井県のAPB社で起きているリストラ騒動。番組が取材すると、これまで蓄積してきた開発データさえも、失われる危険が迫っていることが分かりました。

APB社 堀江英明 前CEO(2021年)

「我々は電池を作っていき、今後ここを軸に、アジアはここから輸出をしていきたい」

 2018年に、APB社を立ち上げた堀江氏。元々は日産自動車の技術者で、世界初の量産型EV「リーフ」の車載用電池を開発するなど、日産のレジェンド10人に数えられる1人です。

 その堀江氏がAPB社に移り、量産化を目指していたのが「全樹脂電池」。従来の2倍の電気をためられるうえに、発火や爆発のリスクが低いという、まさに「夢の電池」です。

 経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から、75億円の補助金が支出されています。

 しかし、このAPB社を巡って異変が起きています。これは先月27日の国会でのやり取りです。

無所属(有志の会) 福島伸享衆院議員

「国策として国のお金を使って研究開発されたプロジェクトが、安全保障上に懸念がある国に技術流出する可能性があるということを、私は国として傍観してはいけないと思うんですね」

武藤容治経産大臣

「有望な技術については、他国に流出しないよう管理を徹底することも加えて申し上げたいと思います」

 有志の会の福島伸享議員が追及したのは、APB社が開発する次世代電池の技術が、中国に流出しているのではないかという疑惑です。

 福島議員によりますと、2022年にAPB社の筆頭株主が変更。その後、中国企業との接点が急増し、おととしには中国の大手通信機器メーカーの技術者ら4人が工場の視察に来たことも分かっています。

 去年6月には、CEOだった堀江氏も解任されました。

福島衆院議員

「大臣、この技術が中国に行って、実用化して日本の脅威になる。大臣、責任取れますか?私はちゃんと調べて、しかるべき対処をすべきだと言っているんですけれども、大臣いかがでしょうか?」

武藤容治経産大臣

「しっかりとそういうことのないように、我々も連携しながらまとめていかなければいけないと思っています」

福島衆院議員

「国家の危機の可能性があるんだという思いで、この問題に取り組んで頂きたい。大臣、最後に決意をお伺いしたい」

武藤容治経産大臣

「私なりに調査をしてみます」

■「全従業員をリストラ」通告 給与未払いも

 今、APB社で何が起きているのか。番組は3人の現役社員に話を聞くことができました。

 すると、実はこの国会審議の翌日にAPB社では驚くような事態が起きていました。

APB現役社員

「実は、その次の日に全社員を集めたミーティングがありまして。そこで、こういう資料が出てきた。3月末までを期日として、自己退職を勧めるといった内容でした。3月末までに応じない場合は、解雇予告を出して、4月末で全従業員を解雇するという話でした」

 経営陣から伝えられたのは、およそ50人の社員全員をリストラするという内容。突然のことに、説明会は紛糾したといいます。

APB現役社員

「給与も未払いなんですよ。この状態で逃げるつもりなんだろうなという感じにしか思えなかったですね。今のところ、3カ月分未払いの状態になっております。生活が全社員、困窮してますので」

APB現役社員

「本当に頭が真っ白になるような、何を考えて良いか分からないような、あまりの出来事すぎてという状態です」

「(Q.社員がいなくなったら開発は誰がする?)明確な答えはいただけませんでした。すなわち会社が終わる。事業が継続できなくなるということを意味すると思うのですが、箱だけが残って、ゾンビ企業のような状態になるだけではないかなと」

■クラウド利用料金も払えず 開発データが…

 さらに、これまで蓄積してきた次世代電池の開発データも、危険な状況にあるといいます。

APB現役社員

「クラウドサービスの利用料金も支払いができていないというところで。未払いによるサービス停止となると、クラウド上にあるこれまでの開発データであったり知財であったり、そういったものがなくなってしまうという恐れがあります」

APB現役社員

「(Q.クラウドサービスを続ける費用は高い?)いえ、そのミーティングの場においては50万円ぐらいだという話が出まして。費用は捻出できないという話をされました」

APB現役社員

「長い期間、成功例だけでなく失敗例も含めて、ノウハウというのが非常に詰まったデータが金額の問題で失われてしまうということは、非常に大問題だと感じております」

 国会で問題を追求した有志の会の福島衆院議員はこう話します。

福島衆院議員

「私が一番恐れるのは、堀江社長(前CEO)の技術・特許が会社に帰属していること。仮に会社が破綻したということになったら、その特許とかがどこに行くのかという問題があるわけですから。そこは非常に危惧されるところではないかなと思いますね」

 APB社の現役社員らは事業を継続させるため、株主に「救いの手を差し伸べてほしい」と要望しています。

 番組では、APB社の現在の経営陣に対しても、情報流出の疑惑などについて質問状を送りました。すると…。

APB社幹部

「中国企業の方が工場の視察に来られたのは事実ですが、我々としては技術を海外に売るつもりはありません。クラウドサービス上のデータは、何かしらの方法で残すことを検討中です。社長は社員のことを第一に考えていて、資金集めに奔走しているので、全社員の解雇や給与未払いの問題も解消できる可能性があります」

【独自】次世代電池APB 経営陣を「特別背任」で告発 福井県警が受理

世界初の「全樹脂電池」の開発を手掛けるAPB(福井県越前市)をめぐり、福井県警は社長の大島麿礼氏ら3人の取締役に特別背任罪の適用を求める刑事告発を、今月4日に正式に受理したことがテレビ東京の取材でわかった。告発したのはAPBの創業者で前社長の堀江英明氏。堀江氏は6月の取締役会で大島氏らにより社長を解職されていた。

全樹脂電池は発火の危険が少ないとされる次世代型のリチウムイオン電池で、将来のEV=電気自動車への搭載が期待されている。日産自動車で車載電池システムを開発した堀江氏は、2019年に独立しAPBを創業。2022年にはNEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)が約46億円の補助金の支援を決めるなど、世界初の量産化に向けて開発を進めていた。

堀江氏が警察に提出した書類によると、全樹脂電池の実用化に至っていないAPBは、今年6月時点で「新たな出資又は融資を受けられない場合には数カ月で資金が底をつき破綻することが見込まれていた」という。6月5日には、メインバンクの北国銀行から、開発者の堀江氏を「引き続き社長とすること」などを条件に、10億円の融資の意向を受けていた。しかし、当時の副社長の大島氏ら3人の取締役は、6月20日に堀江氏不在の「取締役会」をオンラインで開催し、堀江氏の社長解職を決議。さらに、大島氏を新たな社長とすることを決め、新体制で経営再建を進めることとした。これに対し堀江氏は、自身を解職することにより、「必要不可欠」な北国銀行からの10億円の融資の実行を「著しく困難にした」として、3人を特別背任罪で刑事告発していた。

刑事告発が受理されたことについて、テレビ東京は大島氏側にコメントを求めたが、得られなかった。

一連の経営の混乱のもとで、全樹脂電池の研究開発は事実上ストップしたままだ。北国銀行からの融資は現在まで実行されず、NEDOも先月19日までに支援の継続を停止した。大島氏ら新経営陣は、北国銀行に代わる新たな融資先を確保できていないとされ、APBの事業継続は見通しがたっていない。

告発を受理した福井県警は、今後大島氏ら取締役3人と、派遣した株主企業のTRIPLE-1(福岡市博多区)などへの捜査を開始するとみられる。

APBでは、関係者間で新たな支援先探しなどを継続しており、世界初の全樹脂電池の量産化を目指している。

日本発の全樹脂電池に技術流失懸念、国際問題アナリストの古川氏「刑事罰強化など急務」

次世代潜水艦などへの搭載が検討され、スタートアップ企業であるAPB社(福井県越前市)が量産化を目指している日本発の「全樹脂電池」が危機にさらされている。機微技術が中国企業に漏洩した恐れがあり、国会でも取り上げられた。安全保障に関わる技術管理の在り方などについて、国際問題アナリストの古川勝久氏に聞いた。

戦後憲法の平和主義の影響で、日本は防衛産業に関して産官学の連携が悪く、対話も活発ではない。経済安全保障上の機微技術などを把握して定義を広げる努力が今の制度では追い付いていない。イノベーションのスピード感に見合った機微技術の定義をアップデートする枠組みを産官学連携で整えるべきだ。

今回の案件に限らず、外国人技術者を通じた技術漏洩(ろうえい)は後を絶たず、出入国管理制度の厳格化は必須だ。欧米諸国などの訴追・制裁対象の個人や団体の関係者の入国は原則拒否すべきだが、現状では日本国内で前科がなければ原則許可される。

なぜ華為技術(ファーウェイ)の中国人技術者が機微技術を持つ日本国内の工場を見学できたのか。もし、観光ビザでの入国ならば、出入国管理法違反に問われるべきだ。商用なら、その発給体制を見直す必要がある。

中国側の要請に応じて漏洩に加担する日本人にも重大な責任を問うべきだ。刑事罰強化などの立法措置を含め、関連法令を早急に強化すべきだろう。

【独自】政府 次世代「全樹脂電池」の研究開発事業を一時停止

世界初の「全樹脂電池」の開発を手掛けるAPB(福井県越前市)に対し、経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)は、今月1日から研究開発事業の「一時停止」を命じていたことが、テレビ東京の取材でわかった。

NEDOは2022年に「高性能な蓄電池」の研究開発支援を目的に、APBに対して約46億円の助成を決めていた。すでに10億円以上が拠出されたとみられる。

NEDOは、助成費用の一部がAPBから取引先に支払われていないことを問題視し、今月中に未払いが解消されなければ「助成金の交付の決定の全部又は一部を取り消す」としている。

一方、メインバンクの北国銀行グループの投資会社は1日付で東京地裁に会社更生法の適用を申し立てた。東京地裁は近く更生手続きの開始の成否を判断する見通しだ。

次世代電池「APB」 メインバンク側が更生法申し立てを取り下げ

世界初の「全樹脂電池」の開発を手がけるAPB(福井県越前市)をめぐり、メインバンクの北国銀行グループの投資会社が、東京地裁への会社更生法の適用の申し立てを21日に取り下げていたことがわかった。

北国銀行グループのQRインベストメントは、更生手続き開始後の運転資金を融資する「DIPファイナンス」と呼ばれる手法を活用し、更生手続きを進めながらAPBの事業継続を検討していた。会社更生法は適用されれば経営陣は退任することとなるため、北国銀行側はメインバンクとして創業者を中心とする新たな経営体制のもとでの再建を模索していた。東京地裁は北国銀行側の融資の実現性などを調査した上で、更生手続きの開始決定の成否を判断する予定だった。しかし、APBに対して総額約46億円の支援を決定していたNEDO=新エネルギー・産業技術総合開発機構が、19日までに支援の継続を停止したことなどにより、北国銀行側が当初想定していた運転資金の確保に影響が出た。

APBが開発を手掛ける「全樹脂電池」は、従来のリチウムイオン電池に比べて発火の危険が少ないとされ、次世代のEV=電気自動車への搭載が期待されている。しかし、研究開発費がかさんだことなどで資金繰りが悪化し、事業の継続が危ぶまれている。国の支援も途絶えた中で、関係者間では引き続き新たな出資先探しや再建スキーム作りなどの協議が進んでいるとみられるが、見通しは不透明な状況となっている。

【独自】次世代電池技術が停滞の危機 「APB」メインバンクが更生法申請

世界初の「全樹脂電池」の開発を手がけるAPB(福井県越前市)をめぐり、メインバンクの北国銀行グループの投資会社が、今月1日付で東京地裁に会社更生法の適用を申し立てたことが、テレビ東京の取材でわかった。APBは創業者と一部株主が事業化をめぐり対立、夏ごろからは急速に資金繰りが悪化していた。申立書では「少なくとも20億円から25億円程度の実態債務超過の状態」としている。APBは10日付で申し立てについて全株主に通知した。東京地裁は近く更生手続きの開始の成否を判断する見通しだ。

「全樹脂電池」は、リチウムイオン電池の一種で、金属で作る従来の電池に比べ発火の危険が少ないとして、次世代EV=電気自動車への搭載に期待が高まっている。APBは、量産のカギとなる樹脂の積層技術などで特許を持っている。量産に向けた研究開発には、2022年にNEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)が約46億円の補助金の支援を決めた。すでに10億円以上がAPBに拠出されたとみられる。だが、開発に関わる先行投資がかさみ、急速に資金繰りが悪化していた。今回の問題で、日本の全樹脂電池開発が停滞する恐れが出ている。

APBは、日産自動車でEV向け車載電池システムを開発したエンジニアの堀江英明氏が2018年に独立し、創業。全樹脂電池の開発を進めてきたが、その後、事業化を急ぐ一部の株主らと堀江氏との間で、経営方針をめぐる対立が鮮明化。今年6月の取締役会で堀江氏は社長を解任された。堀江氏は「会社の乗っ取りだ」などとして解任を主導したとされる大島麿礼副社長(現社長)らと争うとともに、大島氏らによる「中国への技術流出の疑い」も主張し、経営は混乱していた。

堀江氏に代わって社長となった大島氏はメインバンクの北国銀行と出資者である北国銀行グループの投資会社QRインベストメントと協議を進めていた。しかし、北国側は追加支援の条件に「開発者の堀江氏を中心とする経営体制」を求めていて、協議は難航。先月末までに不調に終わった。

QRインベストメントは今月1日付で東京地裁にAPBへの会社更生法の適用を申し立てた。地裁が選任した第三者の調査委員が20日までに調査結果をまとめ、その後地裁が更生手続きの開始を判断する。会社更生法が適用されれば、経営陣は全員退任することになる。

APBの大島社長は10日付で、会社更生法適用の申し立てがなされたことを全株主に向けて書面で通知した。その中で「会社更生手続き開始の要否についての協議を進めている最中であり、現時点で会社更生手続きの開始が決定されているものではございません」と記した。

「全従業員をリストラ」通告 「夢の電池」開発企業に異変 開発データ消失の恐れも【もっと知りたい!】【グッド!モーニング】(2025年3月11日)

「夢の電池」ともいわれる技術を開発していた日本企業が窮地に陥っています。社員全員が今月中に希望退職するよう求められ、応じなければ解雇すると経営陣から通告されました。一体、何が起きているのでしょうか。

■元日産レジェンドが創設 国会で疑惑追及も

 世界初となる次世代電池の開発で期待されていた、福井県のAPB社で起きているリストラ騒動。番組が取材すると、これまで蓄積してきた開発データさえも、失われる危険が迫っていることが分かりました。

APB社 堀江英明前CEO(2021年)

「我々は電池を作っていき、今後ここを軸に、アジアはここから輸出をしていきたい」

 2018年に、APB社を立ち上げた堀江氏。元々は日産自動車の技術者で、世界初の量産型EV「リーフ」の車載用電池を開発するなど、日産のレジェンド10人に数えられる1人です。

 その堀江氏がAPB社に移り、量産化を目指していたのが「全樹脂電池」。従来の2倍の電気をためられるうえに、発火や爆発のリスクが低いという、まさに「夢の電池」です。

 経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から、75億円の補助金が支出されています。

 しかし、このAPB社を巡って異変が起きています。これは先月27日の国会でのやり取りです。

無所属(有志の会) 福島伸享衆院議員

「国策として国のお金を使って研究開発されたプロジェクトが、安全保障上に懸念がある国に技術流出する可能性があるということを、私は国として傍観してはいけないと思うんですね」

武藤容治経産大臣

「有望な技術については、他国に流出しないよう管理を徹底することも加えて申し上げたいと思います」

 有志の会の福島伸享議員が追及したのは、APB社が開発する次世代電池の技術が、中国に流出しているのではないかという疑惑です。

 福島議員によりますと、2022年にAPB社の筆頭株主が変更。その後、中国企業との接点が急増し、おととしには中国の大手通信機器メーカーの技術者ら4人が工場の視察に来たことも分かっています。

 去年6月には、CEOだった堀江氏も解任されました。

福島衆院議員

「大臣、この技術が中国に行って、実用化して日本の脅威になる。大臣、責任取れますか?私はちゃんと調べて、しかるべき対処をすべきだと言っているんですけれども、大臣いかがでしょうか?」

武藤容治経産大臣

「しっかりとそういうことのないように、我々も連携しながらまとめていかなければいけないと思っています」

福島衆院議員

「国家の危機の可能性があるんだという思いで、この問題に取り組んで頂きたい。大臣、最後に決意をお伺いしたい」

武藤容治経産大臣

「私なりに調査をしてみます」

■「全従業員をリストラ」通告 給与未払いも

 今、APB社で何が起きているのか。番組は3人の現役社員に話を聞くことができました。

 すると、実はこの国会審議の翌日にAPB社では驚くような事態が起きていました。

APB現役社員

「実は、その次の日に全社員を集めたミーティングがありまして。そこで、こういう資料が出てきた。3月末までを期日として、自己退職を勧めるといった内容でした。3月末までに応じない場合は、解雇予告を出して、4月末で全従業員を解雇するという話でした」

 経営陣から伝えられたのは、およそ50人の社員全員をリストラするという内容。突然のことに、説明会は紛糾したといいます。

APB現役社員

「給与も未払いなんですよ。この状態で逃げるつもりなんだろうなという感じにしか思えなかったですね。今のところ、3カ月分未払いの状態になっております。生活が全社員、困窮してますので」

APB現役社員

「本当に頭が真っ白になるような、何を考えて良いか分からないような、あまりの出来事すぎてという状態です」

「(Q.社員がいなくなったら開発は誰がする?)明確な答えはいただけませんでした。すなわち会社が終わる。事業が継続できなくなるということを意味すると思うのですが、箱だけが残って、ゾンビ企業のような状態になるだけではないかなと」

■クラウド利用料金も払えず 開発データが…

 さらに、これまで蓄積してきた次世代電池の開発データも、危険な状況にあるといいます。

APB現役社員

「クラウドサービスの利用料金も支払いができていないというところで。未払いによるサービス停止となると、クラウド上にあるこれまでの開発データであったり知財であったり、そういったものがなくなってしまうという恐れがあります」

APB現役社員

「(Q.クラウドサービスを続ける費用は高い?)いえ、そのミーティングの場においては50万円ぐらいだという話が出まして。費用は捻出できないという話をされました」

APB現役社員

「長い期間、成功例だけでなく失敗例も含めて、ノウハウというのが非常に詰まったデータが金額の問題で失われてしまうということは、非常に大問題だと感じております」

 国会で問題を追求した有志の会の福島衆院議員はこう話します。

福島衆院議員

「私が一番恐れるのは、堀江社長(前CEO)の技術・特許が会社に帰属していること。仮に会社が破綻したということになったら、その特許とかがどこに行くのかという問題があるわけですから。そこは非常に危惧されるところではないかなと思いますね」

 APB社の現役社員らは事業を継続させるため、株主に救いの手を差し伸べてほしいと要望しています。

 番組では、APB社の現在の経営陣に対しても、情報流出の疑惑などについて質問状を送りました。すると…。

APB社幹部

「中国企業の方が工場の視察に来られたのは事実ですが、我々としては技術を海外に売るつもりはありません。クラウドサービス上のデータは、何かしらの方法で残すことを検討中です。社長は社員のことを第一に考えていて、資金集めに奔走しているので、全社員の解雇や給与未払いの問題も解消できる可能性があります」

(「グッド!モーニング」2025年3月11日放送分より)

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏

再建断念し破産“夢の電池”再スタート決意 解任CEO「特許取り戻す」新会社設立

“夢の電池”と言われる次世代技術を開発していた福井県の会社が破産しました。これまで蓄積したデータや技術はどうなるのか、番組が取材すると、解雇された従業員を集めて新会社を立ち上げる動きがあることが分かりました。

■再建図るはずが「連絡ない」5カ月給与未払い

APB社 元社員

「何も説明がないので、いきなり破産と聞いてびっくりしました。経営陣から何一つ連絡もなくて、急に民事再生から破産になるという」

APB社 元社員 山内達也さん(61)

「我々もニュースの記事を見て、破産の手続きを開始したことを知った。3月の従業員に対してのコメントとは(経営陣が)全然違う方向で動いていた。5カ月間、給与は支払われていません」

 世界初となる次世代電池の開発を目指していた会社が、4月下旬に突然破産。社員にとっても「寝耳に水」のことでした。

 APB社を巡っては、設備の先行投資などがかさみ赤字が続くなか、経営権を巡る対立もあり、資金繰りが悪化。それでも経営陣は3月の時点では、社員に対して破産ではなく民事再生法の適用を申請し、「経営再建を図る」と説明していました。

 関係者から入手した、その時の説明会の映像です。

APB社 社長

「民事再生の道を最大限探れるように、これからも推進していく。お手上げで全部投げ売ります、諦めましたという話ではなくて、会社が生きる道としての民事再生の道を推進していく」

 通常の2倍の蓄電能力と発火や爆発リスクの低さから、“夢の電池”とも言われる「全樹脂電池」。開発していたAPB社には、経産省が所管する「NEDO」が75億円を、福井県と越前市も合わせて5億円の補助金を支出していました。

 経営再建から一転、破産に至った経緯とは?番組がAPB社の社長を取材しました。

APB社 社長

「破産については、私の立場からは公式コメントを出せません。私には力が何もなくなりましたので、すべて破産管財人が対応となります。民事再生には、多額の費用が必要になりますので、それを含めた最終的な判断に至りました」

■「放っておけない」解任CEOが再スタート決意

 元々APB社を立ち上げたのは、日産自動車で世界初の量産型EV「リーフ」の車載用電池を開発し、日産のレジェンドの1人にも数えられる堀江英明氏(68)です。

 しかし、社内で対立があり、去年8月にCEOを解任されました。日本中から集めた技術者や開発中の技術はどうなるのでしょうか?

 前CEOの堀江氏と、先月までに退職した社員らが取材に応じました。

堀江氏

「突然破産申し立てがされて、しかも受理されたという話を聞いたので、大変驚愕(きょうがく)をしました」

「(Q.きょう集まった人たちは?)元APBの方で、私と一緒にやっていきたいと強く思っている方に、ここにご参集を頂いていて。そもそも私も経営者として、APBを作ったわけでありますから、まさかこんな事態になって、放っておくということは絶対ないわけでありますので。新しい会社をしっかり立ち上げて、そこに入って頂くという選択をしました。これは私の選択というよりか、皆様からの強いご要望を頂いた結果でもあります」

 行き場がなくなった社員を救うため、APB社と同じ福井県に新しい会社を立ち上げたといいます。今回、堀江氏の会社に入ることを決めた社員はこう話します。

APB社 元社員

「(堀江さんに)ついていくのは、非常にエキサイティングなことだと思いますので。一緒に仕事していきたいと強く思っています」

APB社 元社員

「今までやってきたことが無駄にならず、また続けられるのはすごく感謝しています。これ(全樹脂電池)を世の中に出して、世の中が変わっていくのをみんなで協力してやっていけるということが、これからの楽しみです」

■解任CEO「特許取り戻す」「日本を豊かに」

 一方で、堀江氏が最も懸念しているのが、自ら開発し、APB社に帰属している「全樹脂電池」の特許の行方です。

堀江氏

「特許自身、私がほぼ100%考えて作ってきた特許になります。実際に今、五十数件の特許は登録をされているものになります。発明者からすると、発明者が特許にさわれないなんてありえない。これは、私はぜひ強く言いたい」

 APB社が破産し特許などの知的財産は、破産管財人の弁護士に管理・処分できる権利があります。

堀江氏

「我々が(特許を)しっかり受け取らせて頂くことができるように強く願っている。技術、全樹脂電池という誰も考えたこともない。絶対に熱暴走が起きない電池というものを実際に大きく立ち上げていくことの非常に大事なポイントになってくる」

「(Q.特許が戻ってこないと難しい?)そうですね。これは非常に大事だと考えています」

 新会社で“夢の電池”は実現できるのでしょうか?

堀江氏

「2年間のうちに大量生産技術を現実のものとして作っていきたい。これを作っていくことが、我々の世界に対しての使命だし、日本に対しても非常に大事な使命だと考えていますし、この電池を巨大な輸出産業にして日本をこれからも豊かにしながら、世界にしかもエネルギーという点に貢献をする。これが我々の使命。このミッションを必ず実現を絶対にさせてまいります」

「APB技術流出」メディアと国が踊らされた。一つのスタートアップが生んだ壮大な陰謀。(北村滋/全樹脂電池/堀江英明/トリプルワン/TRIPLE-1/三洋化成工業/くにうみアセット)

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