「口コミ人気度ナンバーワン」「7冠達成」広告…調査会社によって簡単に「作られていた」

「口コミ人気度ナンバーワン」「7冠達成」広告…調査会社によって簡単に「作られていた」

 「人気度No.1」といった文言で販売実績や顧客満足度を強調する「ナンバーワン広告」。この手の宣伝文句は世の中にあふれているが、根拠がないものも多いとみられる。広告主に持ちかけて「偽りの高評価」を作り出す調査会社もあるとされるだけに、消費者自身も「ウソを見抜く目」を持つ必要がありそうだ。

 「勝手に業界ナンバーワンをうたっている」「何についてのナンバーワンなのか、よくわからない」

 日本広告審査機構(JARO)には2019年4月から今年3月までの4年間で「ナンバーワン広告」に関するこうした苦情や相談が355件寄せられた。

 不当表示の横行を示しており、実際に景品表示法に違反すると認定されたケースもある。

 消費者庁は1月、東京都内の家庭教師派遣事業会社に対し、再発防止を求める措置命令を出した。オンラインでの個別学習指導を巡り、客観的な調査をしていないのに、ウェブ広告で「口コミ人気度No.1」などと表示したことが同法の禁じる「優良誤認」に当たると判断した。

 同庁によると、同社が表示の根拠とした調査は受講歴がなくても回答が可能な上、授業や指導内容の評価ではなく、単に「ウェブサイトのイメージ」を問うものだった。さらに、回答すると換金可能なポイントが与えられる仕組みで、答えた約1200人の大半が受講生以外とみられる。こうして作られた「No.1」の表示は2年以上も続いていた。

 同庁は今月14日にも、犬用サプリメントを巡り、同様の手法で「7冠達成」などと表示したとして、福岡市の健康食品製造販売会社に措置命令を出した。同社の社長は取材に「調査会社から声をかけられ委託した」とした上で、「当時は調査に問題があるとは思っておらず、宣伝効果に安易に期待してしまった」と話した。

手法

 国内の調査会社112社でつくる日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)によると、問題のある広告は、ウェブ上でのアンケート集計を主な業務としている調査会社が「『日本一』や『最大手』は作れる」「1位にならなければ返金する」などと広告主に持ちかけることが多いという。

 ▽1位を取るまで項目や選択肢を変えて調査を繰り返す▽1位になった瞬間に調査を終える▽有力なライバル企業を回答欄から省く――など、様々な手法を駆使して「偽りの1位」を作り出すケースもある。

 JMRAの担当者は「ナンバーワン広告は本来、商品の価値や人気をわかりやすく示せる有益な手段。だが、裏付けのないランキングが乱造され、まっとうな調査会社の信頼も失われかねない状況だ」と憂慮する。

限界

 消費者庁は「合理的な根拠に基づかず、消費者を誤解させる表示をした事業者には厳しく対処する」としているが、ナンバーワン広告に対し、措置命令や課徴金納付命令などの行政処分が出たのは10件にとどまる。処分は広告主に限られ、調査会社に法的措置を取ることはできなかった。

 こうした中、5月に成立した改正景表法では、故意に不当表示をした場合、行政処分を経ずに100万円以下の罰金を科すことができるようになった。

 この「直罰規定」の導入後は、調査会社も広告主の「共犯」として処罰することが可能になるが、同庁関係者は「調査会社の故意性や悪質性を認定するのは容易ではない」とみる。調査会社が「調査を依頼されただけで、表示の責任は広告主にある」として、不当表示の責任を強く否定することもあり得る。

 不当表示に詳しい東京大の白石忠志教授は「不当表示の要因を根本から取り除くため、消費者庁は調査会社も積極的に調べ、問題のある行為には厳しく対処すべきだ」と話している。

「イメージ調査」要注意

 問題のある広告を見抜くには、どうすればいいのか。消費者問題に詳しい古川昌平弁護士は「ナンバーワンの根拠が『イメージ調査』の場合、利用実態を反映していないケースが多く、注意が必要だ。『満足度』といった主観的な指標は、調査結果の基となったデータへの警戒が必要だ」と話す。

 「地域No.1」とうたいながら対象範囲が明確でなかったり、古い調査結果を使っていたりする事例もある。母数が数十人などと少ない場合も信頼性が疑われるという。調査手法や対象者などがわかりにくい場所に小さく記載されているケースも珍しくないが、古川弁護士は「宣伝文句を安易に信じず、目を凝らしてデータの出典を探してほしい」と話した。

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