「iPhoneが当たりました」インスタ詐欺が急増中、わざとダマされてみた結果

　インスタを開くと、「あなたについて書かれたストーリーズが1件あります」と通知が来ている。何だろうと思って開くと、知らない人の投稿が表示されて、「iPhone 14 Pro当たりました」などと表示される……こんなケースが最近急増中だ。実際に“プレゼント”を受け取ろうとするとどうなるのか？わざと引っかかってみたところ……。（ITライター　大和 哲）

●　Instagramで「詐欺誘導メンション」急増中

　近頃、Instagram上において、見知らぬ人からストーリーにタグ付けされ、メンションで詐欺サイトへ誘導されるという「詐欺誘導メンション」が急増している。Instagramの通知で「あなたについて書かれたストーリーズが1件あります」と表示されるので、「誰かがコメントをくれたのかな？」と見に行くと、知らない人のストーリーズが表示される……というものだ。

　表示されるストーリーズは、「おめでとうございます！7万円SHEINギフトカードが当たりました！」や「iPhone 14 Proが当たりました」といったものが多い。そのストーリーズに何人かのアカウントがタグ付けされており、その通知がユーザーに届くのだ。ちなみに、SHEIN（シーイン）は最近日本でも人気がある中国のファッション通販サイトである。

　これは詐欺メンションなので、7万円分のギフトカードはもちろんもらえない。ここから先は（読者の方にはおすすめしないが）、もし引っかかるとどうなるのかをお見せしよう。

●　時間制限で思考停止を誘い、クレジットカード情報を入手しようとする

　ストーリーズの中にはリンクが貼られている。リンクをクリックすると、Instagramから離れて別のサイトに遷移する。ここで「先着100名の参加者に貴重なギフトをプレゼント」と表示され、アンケートとくじ引きに誘導される。

　アンケートは2分の時間制限付きで、くじ引きは2回引くようになっている。1回目は必ず外れ、2回目で必ず当たる。2回目のくじを引くと「当たり　70000円」と表示される。

　この表示を見て、「ギフトカードを手に入れた！」と思う人もいるかもしれない。だが、詐欺師の本当の狙いはここからだ。制限時間内に2ドル（278円）を支払い、クレジットカード情報を登録しなければならないと誘導されるのだ。

　「SHEINギフトをより近くに278円」

「間もなく時間切れです！04：55」

　というような表示がされる。アンケートの所要時間はわずか2分、クレジットカード情報の入力は5分以内……このように煽ってユーザーに判断する時間を与えず、言うことを聞かせようとする。そう、詐欺の常套手段だ。

●　よく見ると、2ドルどころか高額定期請求の落とし穴

　これらの画面をよく見れば、これがSHEINのキャンペーンではないことはすぐ分かる。スクロールして画面の最後まで見てみると、「これは、ここに示されているブランド/製品の元の所有者とは関係のない民間企業によって開催されるプライベートコンテストです」などとある。そしてキプロスの企業が提供するサービスから、最初の3日間は278円、その後14日ごとに4443.67円が請求されると記載されているのだ。

　さらに詳しく調べると、この企業は子供服などが多少安く買える会員権を非常に高く売るという、うさんくさい商売をしていた。もちろんSHEINやiPhoneを取り扱っているわけではない。

　万一、ユーザーが、「SHEINのギフトカードがもらえなかった」「iPhoneがもらえなかった」詐欺だと訴えたとしても「これは、そういう定期請求契約でした」と言い張るつもりなのではないかと思われる。

●　見知らぬ人物からのメンションを受け取らないようにするには

　Instagramの初期設定では、メンションを誰からでも受け取れるようになっている。しかし、このように悪用する輩が出てきては仕方がない。予防策として、タグ付けやメンションができる人を限定する、といった策をユーザーが取ることもできる。ただ、悪意のない人からメンションを受けることもあるので、一概に制限したほうが良いとも言い難い。一応、設定方法を下に示しておく。

　SNSはすでに日常生活の一部となっており、その分、裏側に潜むリスクも増えている。商売気の多すぎるユーザーや、悪意のユーザーが出てくるもので、こうしたトラップやセキュリティ上の脅威が仕掛けられることは、どんな場所でも避けようがない。「このサービスなら安心」「このデバイスなら安心」ということはない。ユーザーは常に、楽しみつつも自己防衛の意識を持つように心掛けたい。