トヨタ、2027年にも全固体電池を実用化へ EV普及の「起爆剤」
トヨタ自動車は、電気自動車(EV)向けの次世代電池「全固体電池」を2027年にも実用化する方針を明らかにした。全固体電池は、現在のリチウムイオン電池よりも航続距離を伸ばせるほか、充電時間を大幅に短縮できるとされる。EV普及の起爆剤として期待されており、各社の開発競争が加速しそうだ。
現在、EVで主流となっているリチウムイオン電池は、正・負両極をつなぐ電解質に液体を使うが、全固体電池は固体を使う。エネルギー密度が高まり充電時間が大幅に短縮できるほか、航続距離も伸ばせるとされる。
トヨタが22年に発売したリチウムイオン電池を搭載したEV「bZ4X」の1回の充電当たりの航続距離は約559キロだが、全固体電池だと約2・4倍に伸びるという。
トヨタは、「世の中に後れを取らないよう必ず実用化する」(中嶋裕樹副社長)と、27年から28年の間に実用化する方針。ただ、「いかに高い品質で安く作るか」(開発担当者)という課題が残っており、当初は少量生産での実用化を図る。
全固体電池の開発は日本勢が先行しており、各社が量産化に向けてしのぎを削っている。
日産自動車は、28年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを販売する予定。24年度には横浜工場で試作を始める計画で、連合を組む三菱自動車と仏ルノーとの共同活用を見込む。ホンダは24年春、量産技術の確立に向けた生産ラインを栃木県さくら市の研究開発拠点内に設置する予定。同年秋の稼働を予定しており、20年代後半の製品化を目指している。
調査会社の富士経済によると、全固体電池の世界の市場規模は現在はほぼゼロだが、40年には3兆8605億円規模に拡大する見通し。普及当初は価格が高くなることが見込まれており、同社は「当初はコストを考慮し、高級車など車種を限定した展開が想定される」と分析している。
「全固体電池」トヨタが27年にも実用化へ…10分以下でフル充電、航続距離1000キロ程度
トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の性能向上に向けて「全固体電池」と呼ばれる次世代型の電池を2027~28年に実用化する方針を明らかにした。航続距離が伸び、充電時間の短縮も期待され、自社EVに搭載する方針だ。EV市場で米テスラなどが先行する中、反転攻勢を図る。
トヨタはこれまで、全固体電池を20年代前半に実用化し、まずはハイブリッド車(HV)に搭載する計画を示していた。
全固体電池が搭載されるのは、5月に新設したEV事業の専任組織「BEVファクトリー」が手がける次世代EVだ。10分以下でフル充電でき、航続距離が従来型のEVの約2倍にあたる1000キロ程度を目指している。全固体電池が搭載されれば、さらなる性能の向上も期待できる。
他の日本メーカーも全固体電池の開発を急いでおり、ホンダは20年代後半、日産自動車は28年度の実用化を目標としている。
ホンダの三部敏宏社長はEVの競争力強化に向け、「最も重要なのはバッテリーの競争力だ」としており、430億円を投じて24年春までに栃木県内の研究施設に実験用の生産ラインを設ける。日産も24年度までに神奈川県内の工場に試作ラインを作り、投資額は1400億円に上る。
トヨタは30年にEVの世界販売台数を22年実績の約140倍に相当する350万台に伸ばす計画を掲げる。このうち170万台は、BEVファクトリーによる次世代EVが占める見通しで、「ギガキャスト」と呼ばれる大型鋳造部品を採用することも表明した。
従来は86の部品を33の工程でつなぎ合わせて製造していた車体下部のパーツを、1度の鋳造で一つの部品として作れるようにする。同様の製法はテスラも導入しており、大幅なコスト削減効果が期待される。
未完成の車両が無人で自走し、工場内の次の工程に移動する仕組みも取り入れ、生産に必要な工程を現在から半分に減らすことも目指す。BEVファクトリーのトップを務める加藤武郎氏は、「大幅な部品統合を実現することで、車両の開発費、工場投資の削減に貢献できる。ものづくりの未来だ」と語った。
◆全固体電池=電気自動車(EV)や電子機器向けなどに使われるリチウムイオン電池と異なり、電解質に液体ではなく固体を使う。高出力で小型化しやすく、長い航続距離、充電時間の短縮といった利点がある。寿命の短さや、低コストで量産する技術の開発が課題とされる。
