林修氏、名誉毀損で訴訟準備へ SNSで拡散されている虚偽事実投稿に「対応策取る」 ことの発端は4年前
予備校講師でタレントの林修氏(57)が16日、自身のブログを更新。SNSで自身の発言を切り取り、虚偽事実として投稿されることに注意喚起とともに名誉毀損として訴訟準備をしていることを明かした。
林氏は「ご報告」と題して自身のブログを更新し「実は、ここ数年、SNSにおいて、私が問題提起のために第三者の主張を引用した際の発言を切り抜き、あたかも私が『年収890万~920万ないと社会のお荷物』であるという見解を持っているかのような虚偽事実を投稿されることが多々あり、いわれなき誹謗・中傷に悩まされてきましたが、今回対応策を取ることにしましたので、皆様にご報告申し上げます」と伝えた。
ことの発端については2019年に放送されたTBS系「林先生が驚く初耳学!」の番組内企画として行われた「高学歴ニート」と言われる人たちに対しての「講義」での発言だった。
その際「番組の準備に際して、私が心掛けたことはまず決して彼らを否定しないことです。つまり彼らが(主体的に)選択した生き方を、第三者である私が軽々しく否定することは絶対にしてはならない、という自戒をもってこの企画に臨みました」と、企画に参加した“生徒”たちに対しての発言や思いには細心の注意を払っていたことを明かした。
放送後の周囲の反応は「好評をたまわり、視聴率も非常に高い数字を得ることができました」とし「多くの方からお褒めの言葉をいただきましたが、クレームは一件も僕のもとには届きませんでした。デリケートな仕事ではあったが、頑張ってよかったと安堵していた」という。
だが、数日後に状況が変わり始めた。「この番組の一場面を、前後の文脈とかかわりなく切り取った写真がSNSに出回るようになり、私に対する批判が高まり始めた」と、林氏の発言の一部だけを切り取られている画像を添えた。その画像により「差別的な人間であるかのような扱いをしており、それを見た方々が私を叩き始めた」とした。
放送から4年が経った今も画像を見た人たちからは誹謗中傷が届く。さらに「悪質な編集のなされた画像までネット上で拡散」とネット上で拡散されている5枚の画像を添え、「捏造された虚偽事実を広めて、私の名誉を侵害していることは明らか」とした。
林氏は「繰り返しますが、『年収890万~920万ないと社会のお荷物』という見解は私の見解ではありません」と否定し、「それにも関わらず、あたかも私の見解であるかのような虚偽事実を投稿することは、私の名誉を侵害するものです。ここまでエスカレートすると、さすがに何らかの措置を講じる必要があると判断し、所属事務所とも相談の上、名誉毀損として警察に何度も相談しています。さらには、弁護士の先生にも相談し、訴訟の準備も進めています」と名誉毀損として訴訟準備を進めていることを記した。
最後に「私のように、多少は知られている人間が行動を起こすことによって、軽い気持ちで人を傷つけるようなことが少しでも減れば、という思いもあって今回の決断に至りました。確かにSNSは便利です。しかし、使い方を誤れば鋭利な凶器にもなることを再認識していただきたく、今回のご報告となりました。ご理解たまわりますよう、よろしくお願いします」と伝えた。
年収890万円以下は社会のお荷物は本当か?騙され搾取される労働者
「年収890万円〜920万円ないと社会のお荷物説」が、今でしょ!の林修先生の番組をきっかけに物議を醸しています。現代の公租公課の仕組みについて考えながら、本当に年収の低い人が社会のお荷物なのか?キミアキ先生が解説してくださいます。
年収890万円以上ないと社会のお荷物?林先生の発言が物議を醸す
今日は、最近ちょっと話題になった林修先生の発言をベースにして、現代社会における搾取の構造と、搾取している人間の正体についてお話しようと思います。
今年の始めでしょうかね、林先生が高学歴ニートとガチでやり合うような授業形式の番組がありました。
その番組内で林先生が発言した1部分がすごく過大解釈されたうえに、物議を醸しているわけでございます。
ニートと話をしている流れで、「年収で890万円〜920万円ないと社会のお荷物という説がある」と林先生が発言されたんですが、これが「金を稼いでいない人間は公共サービスを使いまくっているけれど、それに対する対価を支払っていない」という捉え方をされたんですね。
テレビではデカいテロップでこの発言だけ抜き出されていました。
番組の内容は非常に良くて、ちゃんとお前らニートも働いて税金払えよ、って言うだけの話なんです。
ちゃんと社会サービスを受けてるんだったら、納税という形で返すことも大事でしょと、ごくごく当たり前の話をしているんですが、「年収で890万円〜920万円ないと社会のお荷物という説がある」という部分だけ抜き出されているんです。
林先生にしてみると、やられたなーという感じなんじゃないでしょうか。
ちなみに、「年収で890万〜920万円ないと社会のお荷物と言われる説がある」、もともと誰が言ったかというと、ブロガーであり投資家である山本一郎さんが、メディアにそう解釈したという記事を掲載されたんですね。
参照:年収890万円未満は"社会のお荷物"なのか:プレジデントオンライン
ネタ元はもともとは内閣府の資料です。なので私も、その内閣府の資料を実際に見てみました。
ところが、”年収890万~920万円ないと社会のお荷物である”なんて資料は一切なかったです。
つまり、山本一郎さんも何かしら勘違いしたんじゃないかと思ったんですよ。人間て勘違いすることやっぱりありますから。
そして、その記事を引き合いに出した林先生がもらい事故を起こしたと。
資本家階級は労働者から搾取などしていない
ここからは、税金面とか社会保障の面からホントは誰がお荷物なんだ?とか、誰が搾取してるんだ?という面から証明したいと思います。
早稲田大学の橋本先生による資料を見てみましょう。
先生は格差社会を4階級に分けていらっしゃいます。
「資本家階級」「新中間階級」「旧中間階級」「労働者階級」です。
構成としては、資本家階級が254万人に対して、エリートサラリーマンとルーチンワークをやっているような労働者階級のサラリーマンを合わせると3500万人もいます。
その下は、アンダークラスという所得が186万円くらいしかない人、主婦のパートに出ている人がいて、併せて大体1700万人くらいいるんですよ。
雇われ人が5,000万人強に対して資本家が254万人ですから、雇われ人20:資本家(経営者)1くらいの構成比率ですね。
所得を見ると、資本家階級は全部で均すと個人所得が604万円で、従業員30人以上の会社を経営している側になると861万円です。
対して、エリートサラリーマンは一応500万円もらっています。
ここで?と気が付いた方は勘が鋭いです。
経営者や役員の平均所得が600万円に対して、エリートサラリーマンも平均で500万円もらっている…つまり、階級が違っても100万円しか年収は違わないんです。
資本家階級は全体の労働者の4%しかいないのに、残りの96%からお金を吸い上げていたら、こんな年収差じゃ済まないと思いません?
つまり…何が言いたいかというと、経営者や資本家階級は弱者から搾取していないんです。
労働者階級から搾取する悪しき社会保険という制度
次に、恐ろしい「税金」を解説していこうと思います。
正社員でなおかつアンダークラス側、どちらかと言うといわゆるマニュアル労働者とか、ルーチンワーク…単純労働者、なんだけどいわゆる”正社員”という層の方がいますよね。
この平均年収370万円の層に焦点を当てて、税負担について考えてみましょう。
そうすると、真っ先に考えるべきは社会保険です。
どんな安月給でも基本的に会社で”正社員”として勤めると、社会保険の負担って凄いんですよ。
「えっ?社会保険って税金なの?」と思われる方もいるかもしれません。
でも、社会保険の正体、これ「社会保障」と言う大義名分の元に課される税金なんですよ。税金を社会保険という言葉に置き換えているだけなんですね。
厚生年金と社会保険(健康保険ともいいます)、それに介護保険と雇用保険と労災保険があるんですけども、労災保険以外のものは労使折半が原則です。
雇用保険は会社の方が実際は負担が大きんですけど、労災保険は会社負担のみです。
正社員の皆さんの給与明細を見てもらえばわかるんですけれど、本人負担で15%くらい社会保険が引かれているはずなんです。
ちなみに会社負担は低くても17%です。労働者の皆さんにわからない形で国から会社も徴収されています。
「労働者に分からないように」してです。
だって嫌でしょ?
合計して、最低でも32%も自分が引かれているっていうのがわからないようにするために、本人負担を15%くらいにしてごまかしているんですよ。
この会社負担の17%というのも、危険な職業だと労災保険が上がりますのでね。
だから、私は会社さん側に予算組みで、ざっくり20%くらいは社会保険に組んでくれと言っています。
社会保険と税金併せりゃ五公五民以上~江戸時代より酷い税金搾取
なおかつ、正社員の皆さんは社会保障の税金を引かれた上で、普通の税金が徴収されます。
まず個人には所得税が課されています。最低ラインは5%です。これだけ聞くと低く感じるかもしれないです。
でも、このパーセンテージは年収が195万円までの人に限っての話で、195万円から330万円までの人は10%、 330万円を超えると20%持っていかれます。
それから住民税も大体全国一律10%取られます。
しかも、所得が低い人たちは収入の多くを消費に回すので、消費税もコッソリとられてますよね?
今は8%ですけれど、今年の10月からは10%の予定です(笑)。
そうすると、社会保障の本人負担と会社負担とそれから税金を併せると、合計で55%は取られている計算です。
江戸時代の租税公課は五公五民と言われていて、庶民からは鬼畜の所業だって言われていましたけれど、今の人たちは当時と全く同じ状況なのに文句を言いません。
五公五民以上、つまり50%以上取られているのに文句を言わないんですよ!
この国における搾取者の正体、それは税金で飯を食っている人達
なぜ、労働者側から文句が出ないかというと、労働者側が世の中の仕組みをあまり理解していない部分がとても大きいです。
「会社が負担している保険代っていうのは俺たちには関係ないんじゃないの?」
こんな具合ですね。
ところが、会社経営というのは、会社負担の保険費用も考えて人件費の枠組みを計算します。
社会保険の会社負担も人件費として当然予算を組むわけでございます。
労働者側はそれをわからないわけですですから、どうなるかって言うと「うちの会社は給料が安い」となってしまうんです。
でも、冷静に見てください。
この55%の取られ方を見てわかるのは、経営者側なんて労働者から全然搾取してないんですよ。
誰が搾取しているかというと、税金で飯食ってる人たちが搾取しているんです。もうわかりますよね?
はっきり言うと社会に対する労働者側の負担って凄く大きいです。社会サービスを支払っている以上に享受できていないんです。
めちゃめちゃ安月給のサラリーマンであっても、無意識のうちに55%も費用負担してるのに、政府がこれを隠してるだけなんです。
経営者や資本家が労働者側から搾取していると思わせているんですよ(笑)!
もうね、55%も誰が搾取しているかって、「税金で食ってる連中」ですよ。
搾取する側に騙されるな!労働者はお荷物などではない。
もっと怖いのは、親の階級が子供の階級にそのまま乗り移ってしまうということです。
資本家階級というのは世の中の仕組みがわかっているわけです。
「資本家にならないと、自分たちがどんどん搾取される方になるぞ!国に搾取されるぞ!」って、ちゃんと子供たちにも教育するんですね。
ですから、資本家階級の子どもは、やっぱり40%が資本家階級になるんです。
ところが労働者側を見てみると、エリートサラリーマンと言えど、子供たちは40人に1人しか資本家階級にはなっていません。
なぜか?
親が世の中の仕組みをわかっていないので、子供たちに資本家階級になるよう教育を施していないからです。
たとえば、正規雇用者と非正規雇用者では業務内容がほぼ同じなのに、待遇(給料)が全く違いますよね。
先ほどの橋本先生の表を見ても、アンダークラスと同じような業務をやっている正社員は2倍の年収をもらえます。
待遇が違うと言うなら、それは階級格差そのものであり、そしてまたその階級が遺伝していきます。カースト見たいなものです。
そういう現実を子供たちにもちゃんと教えなければいけないのですが、親が教えられないんですね。
こうやって考えると正社員側も結局は搾取されているんです。
アンダークラスの人たちや主婦のパートさん達がもらえる分は正社員側に行くんですけど、正社員側もガッポリ搾取されている。
この構造において、経営者の搾取は全く存在しない、ということを皆さんにわかってほしいんです。
年収が890万~920万円無くても、その方達がお荷物なんてことはありません。
3500万人の正社員はどんなに給料が安くても、これだけ税金を負担していることを搾取している人間はひた隠しにする。
搾取している人間の正体が誰かというと、それは税金で飯を食べている人達なんですよ。
悲しいかなこれが世の中の現実です。
年収890万円未満は"社会のお荷物"なのか
これから日本には誰も経験したことがない「超高齢化」が訪れる。そのときどんな変化が起きるのか。歴史を振り返りながら、「衰退期」に向けた家計の備え方を解説する。第2回は「税金」。いまの日本は、現在の高齢者のために、将来の日本人へ「ツケ回し」をする構造になっている。「ツケ」を支払うときが、刻々と迫っている――(全6回)。
「担税力」にかかわらずサービス提供できるか
年金に代表される「社会保障」の負担は、国の財政を圧迫している。現状把握のため、内閣府は「税・社会保障等を通じた受益と負担について」という試算を経済財政諮問会議に提出している。図はその抜粋だ。棒グラフのなかほどにある数字は、年金や教育など各種サービスによる「受益」と、税負担や保険料などの「負担」を合算した金額である。
たとえば世帯年収が約755万円、世帯主が40代男性で共働き、子どもなしの場合、約135万円の負担超過。60代男性で妻と2人、子どもなしの場合、約196万円の受益超過となっている。前者の共働き世帯の税負担だけでは、後者の年金世帯を支えられないことになる。
ブロガーの山本一郎氏が解説する。
「内閣府の試算をもとに計算すると、世帯の総収入が890万~920万円を超えるまでは『受益超過』となります。所得がそれ以下の世帯はいわば『社会のお荷物』です。表現は過激かもしれませんが、これは日本社会の素晴らしさでもあります。なぜなら所得が低く『担税力』のない人にも、市民サービスを平等に提供するという合意の表れだからです。ただし、そうした美しき日本社会は、近い将来、経済・財政的に破綻する恐れがあります」
現在の高齢者のため将来に「ツケ回し」
日本は急速な高齢化を迎えており、2060年の高齢化率は40%に迫る。5人に2人が高齢者となる状況では、現状の構造は持続不可能だ。図1をみると、世帯主が70歳以上では平均で2389万円の貯蓄があることがわかる。世代的にみて、余裕があるのは高齢者だけだ。
「真面目に暮らしてきた高齢者は、現役時代に築き上げた財産や貯蓄があります。このため高齢者のほとんどは『持ち家』です。しかし若い世代ほど住宅取得が困難になっています。国の社会保障給付費は約110兆円。国庫負担分だけでも社会保障費は32兆円で、国の借金である国債費34兆円に匹敵します(図2)。現在の高齢者のために、将来の日本人へ『ツケ回し』をする構造です。その負担はこれから確実に増加します。日本社会は高度成長期の蓄えをほぼ使い切り、今後は貧しい国になる恐れが高いのです」
年収890万円以下は社会のお荷物★騙される労働者
「年収低いと社会のお荷物」は間違い 〜高学歴ニート番組での林修先生はうまく使われた〜