話題の「茨城ダッシュ」って本当にある? 現地に住む元警察官が実態を解説! どんな違反に該当するのか

話題の「茨城ダッシュ」って本当にある? 現地に住む元警察官が実態を解説! どんな違反に該当するのか

そもそも「茨城ダッシュ」ってどんな運転?

 全国各地には、ご当地ルールと呼ばれる運転方法が存在します。 

 最近よく聞く「茨城ダッシュ」もそのひとつとされていますが、2021年に茨城県警察本部が公式SNSで「茨城ダッシュ」と明言したことで全国的に注目されました。 

 それから約2年経った現在、「茨城ダッシュ」とみられる行為は減少しているのでしょうか。

 クルマを運転する際には、きちんと交通ルールを守ることが求められますが、その地方特有のご当地ルールで運転をしているドライバーも散見されます。

 運転に関するご当地ルールは交通マナーの悪さや危険な運転などネガティブな意味で使われることが多く、そのひとつとして「茨城ダッシュ」があげられます。

 茨城県警察本部の公式Twitterによると、茨城ダッシュとは「交差点手前で赤色信号停止中、青色信号へと変わった瞬間、またはその直前に、猛ダッシュで対向直進車よりも先に右折すること」と掲載されています。

 通常、クルマが右折をする際は対向車が来ていないことを確認して曲がりますが、この茨城ダッシュでは信号が青色に変わる前後で、対向車がいても強引に右折するということになり、大変危険な運転といえるでしょう。

 では、実際に現地で茨城ダッシュはおこなわれているのでしょうか。

 SNS上ではこのご当地ルールに関して、茨城県民から「初めて知った。今まで遭遇したことがない」という声がある一方、「ときどき見かけるがそこまで頻繁ではない」、「運転が荒いのは事実。県民でも危ないと思っている」など茨城ダッシュの存在を認める声もありました。

 2022年春頃から茨城県の県央地域に住んでいる筆者の体感としては、「たまに見かけることはあるものの、頻繁というほどではない」というのが正直なところです。

 運転頻度や住んでいる地域などによって感じ方も変わってくるのかもしれません。

茨城ダッシュは、どんな交通違反になる可能性がある?

 この茨城ダッシュについては、その時々の状況によって交通違反となる可能性があるため注意が必要です。

 まず該当する違反として「交差点右左折方法違反」があげられ、この違反について規定した道路交通法第34条第2項では以下のように定められています。

「自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。」

 つまり右折する際には道路の中央に寄って徐行しながら曲がる必要がありますが、茨城ダッシュでは中央寄りにならずショートカットのような形で右折したり、スピードを出して曲がることがあるため、この違反に当たる可能性があるのです。

「交差点右左折方法違反」をすると違反点数1点、普通車で反則金4000円が科されるほか、右折した先に横断歩道があれば歩行者と接触するおそれもあり、十分に気をつけなければいけません。

 次に、茨城ダッシュは道路交通法第37条の「交差点優先車妨害違反」に抵触する可能性もあります。

 条文では「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。」と規定されています。

 右折をする際には対向の直進車や左折車の通行の邪魔をしてはならず、この違反をした場合には違反点数1点、普通車で反則金6000円が科される可能性があります。

 そのほか、信号が青色に変わる前に茨城ダッシュで停止線を越えてしまうと道路交通法第7条の「信号無視」とみなされてしまうケースも考えられ、信号無視となった場合は違反点数2点、普通車で反則金9000円が科されます。

 茨城県の「茨城ダッシュ」、愛知県の「名古屋走り」、長野県の「松本走り」などのように、全国各地では、その土地の名称がつけられたご当地交通ルールが存在し、いずれも危険な運転を示す言葉として使われています。

 例えどの都道府県であっても、ご当地ルールに従うことなく、安全運転を意識することが重要といえるでしょう。

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