「うちはゲーム禁止!」の小籔千豊が息子にすすめられ2年で4000時間もプレイしたゲームとは?
「ゲームなんて時間の無駄」と思っている人は多いのではないか。特に、子供がゲームにハマることに対しては、勉強や成長の妨げになる害をもたらすものだという風潮がある。
お笑い芸人で2児の父の小籔千豊さん(49)も、ゲーム反対派の親の一人だったという。小籔さんには19歳の娘と12歳の息子がいるが、子供が生まれた頃は「ゲームは中学までナシ、なんならずっとナシ」とまで思っていたそうだ。
そんな小籔さんを、ドはまりさせたゲームがあるという。2年間のプレイ時間は2000時間を超え、今では仕事の合間を縫ってはゲーム仲間と共にプレイ動画を配信し、ゲームの親子大会まで主催するようになった。
小籔さんをここまで夢中にさせたゲームとは。また、本人が語る、ゲームの影響で変わった息子さんとの関係とは――。
(以下は『ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由』(小籔千豊・辰巳出版)を元に再構成したものです)
小籔「下手くそでも十分楽しいゲームだな」
ゲーム反対派の小籔さんの家にゲーム機が「仕方なく」導入されたのは、娘さんが幼稚園の年中になった頃。仲間の輪に入れずにいるのが不憫で、仕方なく任天堂3DSとWii Uを買ってあげたそう。
「我が家にゲーム機が導入された後も、僕自身がゲームをやるのは娘に『クッパやっつけられへん』とか、息子に『大っきい金のメダルどこにあるかわかれへん』と言われて仕方なくマリオを手伝うか、たまにWii Partyで勝負するくらい。子供の遊び相手として以外で僕がゲームをやることはありませんでした」
その後も息子さんは「マインクラフト」や「スプラトゥーン」など色々なゲームを勧めてきたというが、のらりくらりとかわし続けていたそう。
「そんなある日、なんとなく息子がSwitchでやっているゲームをボーっと眺めていました。よくわからないキャラクターがウロウロしながら、宝箱を開けてよくわからないアイテムをゲットしていました。それが、オンラインシューティングゲームの『フォートナイト』です」
しつこく勧める息子さんに根負けし、教わりながら銃を撃って敵を倒そうとプレイしてみたものの、低学年の子の指示ではわけがわからず、初めてのプレイは敵に倒されて終わった。
「それから数日後、凝りもせず息子が再び僕を誘ってきました。『いや、えーて……』と断りつつもプレイ。一回だけ付き合って、ヤメて。また息子の講釈を聞かされて。またその数日後に誘われて断るも、その次に誘われた時は一緒にやって……。これを繰り返していくうちに、気が付いたら僕の中にフォートナイトをやりたい気持ちが芽生えていました。息子が学校行っている時間帯を『チャンス』と呼ぶようになりました。以前よりも強めに『もうこんな時間やぞ、早よ寝なあかんのちゃうか』と息子に言うようになりました。夜の『チャンス』が早く来て欲しすぎて。そのうち僕の方から、『あの武器は何するやつなん?』『なんでそんなに弾が当たるんや』と息子に質問するようになりました。下手くそでも十分楽しいゲームだな、今より少しでも上達したい、と思うようになっていました」
空港で自分用のSwitchを衝動買い
子供のゲーム機を使い『チャンス』を見つけてはフォートナイトをしていた小籔さんだが、子供との兼用では我慢できなくなるほどハマっていく。
「フォートナイトにハマって何カ月か経った2019年の6月。仲の良いスタッフと4日間、シンガポールへカジノ旅行に出掛けました。出発前に関西空港の本屋さんへ行き、機内で読むための本を2冊手にしてお会計へ。なんとなしにレジのお姉さんの後ろの棚を見ると、定価の値札がつけられたSwitch様が後光を放ち鎮座しておられました。
(旅先のホテルにはWi-Fiがあるはず! )
そう思った瞬間、本を袋詰めしているお姉さんに、『あれください』と口走っていました。正直、僕の目は血走っていたんじゃないかと思います。声もおっきかったと思います。なんなら口の両端に白い泡ついてたかも。
シンガポールでは長い時間みんなでカジノをやって、寝て、ご飯食べて、カジノやって、寝る……という、なかなかなハードスケジュールなんですが、僕はみんなが寝てる間ずっとフォートナイトをやっていました。帰りの飛行機では、買った本も読まず爆睡するくらいに」
クドクド親の一方通行から平等な会話に
もはやフォートナイトなしの生活ではいられなくなった小籔さんだが、このゲームとの出会いが親子の関係をも変えたという。
「自分はアホやなと思います。それでも親として、人生の先輩として、いろんなことを子供たちに伝えようと努力してきました。今まで出会った素晴らしい人とそうでない人の話、内臓や栄養など体の話、勉強をした方がいい理由……。子供は『またか』みたいな顔をしよる。退屈そうにしたら怒られるかもだから、聞いているフリをしよる。我が子だからわかります。チラチラとテレビに目がいっているのもわかる。その証拠に、僕の話が終わるとすぐに子供から全く関係のない話が飛んできます。話題を変えたいのでしょう。僕の話について、こう思ったなんて返しは娘・息子から聞いたことがありません。
そんな風に、親子の会話の多くは将来役立ちそうなこと、知っておいてほしいことばかりでしたね。親から子供に教えるという一方通行ばかり。あーせー、こーせーとクドクド親全開でした。
それが一変したのは、僕がフォートナイトにハマってから。親子で揃って熱中するものができたおかげで、クドクド親とそれを逃れようとする子の会話ではない、共通の話題での平等な会話ができるようになったのです」
監視している親から制限されている子へという対立軸のみの会話だけではなくなったそうだ。
「息子から『今日、ゲームでこんな暴言を吐いてくる人いてさ』と打ち明けてくれ、『そんな子は将来無茶苦茶バチ当たる。変な人見て、嫌やな思った時は自分はせんとこと気つけや。パパの知り合いでは……』と同じクドクド話でも、明らかに僕の言葉が染みやすくなっている。『でもさ、やっぱり暴言吐かれたら腹立つってかさ……』と息子からのアンサーも格段に増えたのです。もしも僕がフォートナイトにハマっていなかったら、息子は黙って憤ったまま話が終わっていたかもしれません。確実にいい変化が起こりました」
死ぬ間際には「ゲームやらせて良かった」と思えたら
小籔さん自身も「子供の気持ちをもっと理解してやろう」「今まで親から目線すぎた」と子供に寄り添う気持ちが強くなったという。
「フォートナイトは息子の方が格段に上手いから、今でも教えてもらっています。息子が誰かに何かを教える時の訓練にもなりますし、何より息子と“師匠と弟子”という新しい関係を築いて、親密になれたのは本当に嬉しかった。
やっぱり子供にゲームやらせん方が良かった、そう後悔しないように、これからも躾はしていかないといけない。
『子供にゲームをやらせて、まぁ良かったかも』死ぬ間際には、そんな風に思えたらいいですね」
ゲームとハサミは使いようで、毒にするか薬にするかは我々大人次第だ、とも小籔さんは語る。小籔さん自身、YouTubeチャンネル「フォートナイト下手くそおじさん」でゲーム配信を始めたところ、登録者数3人(家族のみ)から今では12万人超の人気チャンネルへと成長させることができた。
この4月23日には、渋谷ヨシモト∞ホールで小籔さん主催のフォートナイト大会『第3回 親子大会 featuring Fortnite』の決勝が行われる。フォートナイトにハマり今では「貢献したい」とまで思うようになった小籔さんの本気の活動が、ゲームの明るい未来を創っていくのかもしれない。
小籔千豊(こやぶ・かずとよ)
吉本興業所属のお笑い芸人。
1973年生まれ。吉本新喜劇の座長を15年以上にわたり務める傍ら、俳優やバンド活動など多方面で活躍する。フォートナイトというオンラインゲームにハマり、「フォートナイト下手くそおじさん」としてゲームYouTuber活動も始めている。
「姫」は配信中の小籔氏の愛称として知られている。
