トヨタも熱視線 人工知能「ChatGPT」搭載の自動車はわれわれにどんな便益をもたらすのか

トヨタも熱視線 人工知能「ChatGPT」搭載の自動車はわれわれにどんな便益をもたらすのか

トヨタ、Alexaのサポートを終了

「トヨタの人気車種からAlexaが消える」

3月の終わり、そんな一報が飛び込んできた。

 Alexaといえば、米アマゾンが開発したAI音声認識サービスだ。Alexaを搭載したAmazon Echoなどの機器に話しかけるだけで、タイマーをセットしたり、お気に入りの曲をかけたりすることができる。持っていない人も、一度は名前を聞いたことがあるであろう。

 Alexaはかつて、2021年までに約1兆9900億~2兆1000億円の売り上げを生むともいわれていた。しかし、ほぼ原価に近い価格で販売されたことや、ユーザーがAlexaを介して商品を注文することがほとんどなかったことから、

「利益につながりにくい」

という実態があった。2022年11月には、Alexaなどのデバイス開発を担当する部署で、大規模なリストラが行われることが発表されたのも記憶に新しい。

 今回、海外メディア「The Information」によって廃止が報じられた、トヨタ自動車の車載Alexaは、スマートフォンのアプリを介して車内でAlexaを操作するシステムだ。2023年モデルの「プリウス」「カローラ」などの人気車種で既にアプリのサポートを終了しており、今後、その他の車種でも段階的に廃止していく予定だという。

 正式な発表はないものの、Alexaの対応車種一覧ページからは、確かにトヨタ車の名前が消えている。

 トヨタは現在、音声アシスタントの自社開発に力を入れており、既存のAIチャットサービスとの統合を検討しているようだ。このサービスというのが、最近話題の「ChatGPT」である。

いまさら聞けない、ChatGPTとは

 ChatGPTは、人工知能を研究する非営利団体OpenAI(米国)が開発したAIチャットサービスだ。2023年1月時点で、アクティブユーザー数は1億人超え。ウェブサイトにアクセスして、テキストボックスに質問文などを打ち込むだけで、自然な会話形式で回答を返す。

 例えば、「東京駅周辺の名所を教えて」と入力すれば、ものの数十秒で観光スポットを数個ピックアップし、それぞれへの簡単な行き方、なぜそこがおすすめなのかを回答してくれる。通常ならば、旅サイトで目的地を決め、マップアプリや交通アプリで行き方を決め……と何ステップも必要なところを、ChatGPTであればたったの1回質問を投げるだけで済む。将来的にはこの方法が、グーグルなどの検索エンジンに取って代わるだろうともいわれている。

 ChatGPTの最大の欠点として、提示される情報が不正確なことがある点だ。しかも、あまりにもなめらかな文章が返ってくるため、その情報が間違っていたとしても正しいように感じてしまう。いまのところは情報をうのみにしないほうが賢明だ。

 とはいえ、ChatGPTは、リリース後繰り返しアップデートが行われており、最新の有料バージョンではかなり間違いが減っている。自己学習アルゴリズムによって学習し、日々進化し続ける「生成型AI」であるため、今後もさらに精度が上がっていく。

 このような理由から、AlexaもSiriもChatGPTの躍進にまったく追いついていないのが現状であり、それが今回の「トヨタのAlexa離れ」を引き起こした原因でもあるのだ。

ChatGPTのモビリティ搭載でできること

 車載AIとしてChatGPTを使用する際には、

1.音声認識モデルでマイク入力をテキストに変換して入力

2.テキスト読み上げツールで出力

といったツールを組み合わせる方法で、あたかも音声チャットボットかのように使用する方法が考えられるという。

 AlexaやSiriなどの従来の音声アシスタントは、あらかじめプログラムされたスクリプトに基づき回答するだけだった。人間側が機械に理解されるように会話レベルを落としてしゃべっているような節もあった。

 一方、ChatGPTは、どのような聞き方でもなんらかの回答を返すばかりか、やんわりと否定したり、ときには提案めいた返答もする。内容もジャンル問わず、今日の天気から目的地までの行き方、人生相談まで、何でもOKなうえ、多少複雑な会話も理解する。あまりの会話の自然さに、まるで本物の人間とチャットをしているような気分にさえなってしまうほどだ。

 車載用のAlexaは道路情報の取得、音楽の再生、ルート案内、電話をかける、オーディオブックを読み上げるといった役割をこなすが、ChatGPTはそれに加え、例えば以下のようなSFの世界に近いアシストができる可能性があるといわれる。

・車がパンクしたときなどのトラブル時に修理キットの使い方を説明

・プログラミングやツールと連携し、スケジュールに合わせて車庫の扉を開閉

・ドライバーの好みや運転スタイルに合わせたルートの提案

・スムーズな会話による目的地の選定

・車内パネルに警告灯が点灯した際に、その理由を聞くと車の状態を教えてくれる

 いずれは画面操作の必要がまったくなくなり、事故も減るのではとの予測もある。たとえ事故が起こったとしても、「事故だ! どうしよう?」というような自然な発話で、正しい対処法を教えてくれるだろう。「落ち着いて!」などと車に励まされる、なんてこともあるかもしれない。

ChatGPTに車載AIについて質問

 OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、ABC News(米国)のインタビューに対して、ChatGPTを開発したことを

「少し怖いと思っている」

と認めた。それほどまでに、ChatGPTは人の生活に絶大なインパクトを与える可能性を秘めているという。一方で、アルトマン氏は、AIは多くの仕事を奪うかもしれないが、より良い仕事につながる可能性もあるとも述べている。

 ここで、筆者(もりあやこ、調査測量系ライター)はChatGPT自身に、

「Alexaの代わりに、車載AIにChatGPTが使われるそうです。どう思いますか?」

と尋ねてみた。

 すると、(「興味深いニュースですね!」ともっともらしく感嘆した後、)

「車載AIにChatGPTが使われるというのは、自動運転技術やドライバーアシストシステムなど、車の安全性や快適性を向上させるための有望な取り組みだと思います」

との回答が返ってきた。

 さらに、

「車載AIには高い信頼性や安全性が求められますので、ChatGPTが適切に訓練され、適切な制限や制御が施されていることが重要です。また、音声認識や応答速度などの面でも改善が必要であるかもしれません」

との課題も示した(いずれも、ChatGPT Mar 14 Versionによる回答)。

 まったくもってその通り。しかも、Alexaにまったく触れず、自分のことだけに言及し評価しているのもいじらしい。

 アルトマン氏も述べているように、AI技術を生かすも殺すも人間次第だ。扱いには慎重になりつつも、うまく付き合っていきたいものだ。そして、車載AIにChatGPTが採用された暁には、運転性能や安全性の向上に確実に貢献してくれることを切に願う。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏