G7科技相声明原案、中国念頭に「研究環境を不当に搾取」…軍事流用を懸念
5月12~14日に仙台市で開かれる先進7か国(G7)科学技術相会合の共同声明原案が判明した。優秀な研究者を各国から招致し、研究成果の軍事転用を進める中国を念頭に「開かれた研究環境を不当に搾取している」と懸念を示したことが柱だ。北極・南極周辺の海洋観測の強化や、宇宙領域での連携も盛り込む。
複数の政府関係者が明らかにした。世界中の大学や研究機関などが持つ情報を社会全体で活用する「オープン・サイエンス」の重要性が指摘されており、原案では一部の国が「研究環境をゆがませ、結果を経済や地政学、軍事目的に不正流用している」と指摘した。中国の名指しは避けた。
中国は2008年に海外から優秀な研究者を集める国家プロジェクト「千人計画」を始めた。17年には、国の情報収集活動に企業や国民が協力することを義務づける国家情報法も施行された。中国政府は研究成果を吸い上げて情報統制を強めており、声明はこうした動きをけん制する狙いがあるとみられる。
地球温暖化の影響を最も受ける北極については、「G7が北極研究の国際協力を支援し、様々なデータを共有して、調査能力を向上させる」と明記した。北極などの「極域」と呼ばれる海域の海洋観測を強化する方針が盛り込まれるのは初めてで、砕氷機能などを持つ「北極研究船」などを共同使用する考えも示した。中国やロシアが北極海への進出を強めていることを念頭に、「北極観測の共同研究は、地政学的緊張で困難に直面している」とも指摘した。
宇宙領域を巡っては、宇宙空間を漂う「宇宙ごみ(スペースデブリ)」対策を強化する方針を明記する方向で調整している。ロシアが21年に衛星破壊実験を行ったほか、中国が宇宙開発を重視する姿勢を強めていることを踏まえ、G7が連携して宇宙空間の安全で安定した利用環境を確保する決意を示したい考えだ。
G7科学技術相会合には、日本からは高市科技相が出席する予定だ。
