邪魔なもの? 近年のスマホに「キャリアロゴ」の刻印が減ってきた理由

邪魔なもの? 近年のスマホに「キャリアロゴ」の刻印が減ってきた理由

 Androidスマートフォンにはしばしば「キャリアのロゴ」が端末に入ることがある。これによって「デザインが阻害される」といった意見を聞く。

 今回、日本でサムスン電子が「Galaxy」ブランドからグローバルと同様の「SAMSUNG」に戻すといったところも踏まえ、スマートフォンにおける端末のロゴ、キャリアロゴといったところを振り返ってみたい。

スマートフォンに入るさまざまなロゴ

 スマートフォンの端末に入るロゴというと、メーカーのロゴ、キャリアのロゴ、通信規格のロゴ、各国の法令に準拠した刻印が主なものになる。

 メーカーロゴについては、かつては画面側の上部ベゼルに刻印したものが多かったが、近年では端末のベゼルレス化の関係もあり、本体裏面に刻印されることが多い。また、端末の裏側には各国の法的法令に準拠した表示および 、モデル番号やIMEI といった情報が記載されている機種もある。

 かつてGoogleが手掛けていたNexusシリーズは、ブランドロゴとメーカーロゴが併記されていた。これらの端末はGoogleが開発を主導するものの、端末の製造元が明かされていた。日本ではキャリアで取り扱うにあたり、2011年発売の「Galaxy Nexus SC-04D」を除き、iPhoneと同じくNexusもキャリアから独自の型番は割り振られなかった。

 特殊な例となるが、販売国によってロゴを変えるケースもあった。まさに日本向けのサムスンの端末が当てはまり、徹底的に「SAMSUNG」の文字を廃して「Galaxy」を打ち出して販売されていた。

なぜキャリアはロゴを入れたがるのか

 さて、ここからはキャリアロゴについて振り返ってみよう。日本において、キャリアロゴを刻印する理由としては、かつての端末の供給方式と関係している。一例として、かつての携帯電話は通信規格に合わせて、キャリアが「開発した」という形になっていた。これはGalaxyをはじめとした海外メーカーのスマートフォンでも同様だった。

 そのため、開発元であるキャリアのロゴが端末に入っているのは何らおかしくないというわけだ。今では開発という言葉が使われることは少なくなったが、スマートフォン主体の時代でもかなり続いていた。

 かつてはドコモ、au、ソフトバンクにおいてキャリアロゴが刻印されていたが、auとソフトバンクについてはかなり抑えめとなった。さまざまな要因があると思うが、キャリアのロゴを入れることが実質的に不可能なiPhoneの取り扱いが大きな転機になったという意見が多い。

 それ以外の要素としては、キャリアを通して販売される「オリジナル端末」はロゴが入ることが多い。これに関しては、キャリア自身がブランディングを行っていることで、端末の価格や性能も比較的自由度の高いものに仕上がっている。ドコモの「MONO」、auの「isai」「Qua Phone」などが当てはまる。近年では楽天モバイルのオリジナル端末「Rakuten Mini」「Rakuten Hand」もここに入ってくる。

 キャリアロゴについては、日本以外でも韓国や米国では端末に刻印される傾向があったが、近年では日本同様に減ってきている。それ以外の地域でも、キャリア独自で展開する端末には本体にロゴが記載されていることが多い

 これらのロゴと少し特性が異なるものが通信規格のロゴだ。直近では5G対応といったものが記憶に新しいだろう。これに関しては日本国内に限らず世界的に見てもロゴを備えたり、端末名に「5G」を付けたりした機種が多かった。これは、かつての第4世代通信にあたる4G LTEが普及したころも同様の流れとなっており、日本ではドコモのXi「クロッシィ」のロゴが端末に入っていたことが記憶に新しい。

カメラブランドのロゴが増加

 近年増えてきたのが、カメラのブランド刻印だ。かつてのNokia LumiaやXperiaにて、提携先のZeissやソニーの「Gレンズ」のロゴが入っていたことを思い出した人もいるだろう。グローバルではHuaweiのライカ(Leica)を皮切りに、提携しているZeissやハッセルブラッドといったメーカーの刻印が入るようになった。

 これらはカメラ性能を特に強化した機種を中心に入っており、端末当初のデザインに組み込まれるようになっている。

 他に特徴的なものとして、中国のテンセントが提携したゲーミングスマートフォンには「Tencent Games」というロゴが入る。テンセント版ともいわれるもので、ASUSのROG Phoneやnubia REDMAGICをはじめとした機種で展開される。共通してストレージ容量が少なめなものの、価格がかなり安価という特徴がある。

iPhoneの普及やSIMロック禁止が影響か

 日本でキャリアロゴが減ってきたり抑えめになったりした背景には、消費者の声はもちろん、メーカーが自ら端末を販売するようなったことも関係している。その筆頭がiPhoneだ。

 キャリアロゴが一切ないiPhoneが日本で普及してからは、Androidスマホでもキャリアロゴをなくしてほしいと思う消費者が増えたことは想像に難くない。auではiPhoneの取り扱いを前後してキャリアロゴを廃した機種が多く、キャリア型番のみの刻印になっている。ソフトバンクではキャリアロゴをほとんど採用しておらず、キャリアによって方針の差が見えてくる。

 その一方で、ドコモはキャリアロゴへのこだわりが感じられるケースが多い。かつての「開発」をかなり意識した展開方法が尾を引く状態だ。それは今もなお続いており、取り扱っているほぼ全てのAndroid端末にロゴがついている。

 SIMロックが禁止されたことで、購入したキャリア以外でもスマートフォンを利用しやすくなった。一方、端末の通信バンド制限は、こうした端末販売の自由化を阻害する要素として指摘されることもあり、キャリアは自社展開していない周波数への対応も迫られている。

 その流れもあり、キャリアロゴは「乗り換え時に端末を他社では利用できない」という印象を消費者に与えるという意見もある。ハイエンド機ほど長く使うことからも、キャリアロゴは「目立たなくする」もしくは「なくす」といった対応になりつつあるようだ。

 時代とともに変化してきたスマートフォンのロゴ。日本では端末販売の自由化などの理由から、以前に比べると抑えめにはなってきている。デザインを阻害する邪魔なものといわれるキャリアロゴだが、今となっては通信規格の変化なども感じ取れる要素になっている。

 また10年ほどが経過すると、このロゴについてもまた変わった見方になるはずだ。もしかしたら、思い出話に花を咲かせるきっかけになるのかもしれない。

スマホにあるブランド名やメーカーロゴは、ノイズではないだろうか

スマホは日用品のひとつにまで一気に駆け上がった。それもあってか、所有感や高級感をプッシュする端末が増えてきている。また、手に持って操作するモノであるため、ファッションのひとつ、ステータスのひとつとして評価する動きもあり、手に持ってディスプレーを眺めるという特性上、どうしても気になるものがある。ブランド名やメーカー名だ。

 ロゴを含むと端末背面にもあり、わかりやすいものでは“docomo”になるだろうか。ディスプレー上部にデカデカと“Xi”のロゴがあり、正直なところなんだかなぁ、と思ってしまうことがある。毎月料金明細見ているので、ことさらロゴを見なくてもどのキャリアであるか重々認識できているんですがと、思うのは筆者だけだろうか。

 どうしてそんなことが気になったかというと、原稿作成のために『Galaxy S6』と『Galaxy S6 edge』を眺めていたとき、ディスプレー上部にあるお約束の有無に気がついたからだ。『Galaxy S6』にはドコモのロゴがあるのに対して、『Galaxy S6 edge』にはない。『Galaxy S6 edge』の場合、背面にドコモロゴが小さくプリントされているが、あまり気になるものではないし、シールなりジャケットなりで隠しやすい。またメーカーであるサムソンの文字もなしと、だいぶ割り切っている感がある。

 例外的なメーカーもある。Appleだ。デザイン性を重視するため、日本国内のキャリアで運用されるようになったときもキャリアのロゴはなく、使用するキャリアがディスプレー表示されるだけ。さらにAppleの文字もなく、いつもの林檎マークが背面にあるだけとシンプル。そのぶんデザインに統一感が生まれている。そういった部分も、国内で人気の理由のひとつと考えていいだろう。野暮ったい文字を見なくてもいいというのは、手に持って眺める操作性からすると重要な要素だと感じている。カンタンに想像してみるだけでもわかるが、iPhoneの画面上部にXiのロゴがあったらどうだろう? ものすごくダサい。

 似たような路線を取るメーカーとしては、ファーウェイやXaomi、ZTEなどがある。ただロゴデザインでいくと、洗練されているとは言えず、ジャマな文字列がないくらいの印象だ。最初から文字列を入れない前提のデザインと、後付けで文字を入れた場合では、そのスマホの魅力は大きく異なるのではないだろうか。極端な言い方をすれば、ブランド名やメーカー名はノイズと感じてしまう。

 『Galaxy S6 edge』の背面に文字列がなかったらより高級感があったと思うのだが、どうだろうか。もちろん、メーカーとしては自社製品の間接的なPRも含みたいという意志もあるのだろうが、露骨に文字列よりはロゴ、それも見えてても気にならないロゴひとつのほうがいいように思える。

 これはノートPCでも同様で、昔からであれば『ThinkPad』や『Let's note』が良い例だろう。経験のある方もいると思うが、遠目から見てもどのメーカーのどのブランドを使っているかわかりやすい。これは『MacBook』シリーズも同様だ。スマホは小さいのでデザイン的な処理が難しいのかもしれないが、振り返ってみるとAppleやシャープの『AQUOS』はやってのけているわけだ。

 請求力の高い製品をと考えるのであれば、ユーザーにとって不要な文字列を含まず、端末の仕上がりでプッシュしてほしい。

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