各国大使に「無視」され…権威凋落のプーチン大統領 暗殺におびえる様子暴露も
ロシアのウクライナ侵略が泥沼化し、プーチン大統領の権威も凋落(ちょうらく)の一途をたどっている。各国の大使に「無視」された映像が流れ、暗殺におびえる様子を暴露する証言も出てきた。軍の動員に対する反発も強く、来年の大統領選出馬を前に国内では「プーチン外し」の動きもあるという。
■各国大使「無視」動画
首都モスクワのクレムリン(大統領府)で5日に開かれた各国大使の信任状奉呈式の動画が物議をかもした。プーチン氏が「ご清聴ありがとうございました」と締めたが、各国の大使から拍手などの反応が出なかった。本人が苦笑気味に何度もおじぎしながら、動揺する様子が映し出された。露独立系メディア「メドゥーザ」は「気まずい間」と揶揄(やゆ)した。
一方、英シンクタンク「ドシエセンター」は大統領の元警護官だったゲレブ・カラクーロフ氏のインタビューを報じた。同氏によると、プーチン氏はコロナ感染におびえ、周辺の職員は「15~20分程度のイベント前でも2週間前に厳格な検疫を守る必要がある」という。
外遊の際には「諜報機関に傍受されたり、解読されたりすることを恐れずに話せる」という高さ約2・5メートルの電話ボックスが運び込まれる。また、サンクトペテルブルク、ソチ、ノヴォ・オガリョヴォなどの私邸に作られた執務室のデザインは全て同じで、公式発表とは別の場所にいたこともあったという。いずれも「命を狙われるのを防ぐ」ためだと証言した。
■着信の時点で通知に
筑波大の中村逸郎名誉教授は「大使たちの無反応は、プーチン氏の孤立を象徴的に示した出来事だった。カラクーロフ氏の証言でも、猜疑心にあふれ孤独なプーチン氏の生活を示している。いずれもプーチン氏は恥をさらすことになった」とみる。
国営タス通信は、プーチン氏が春に14万7000人を徴集する政令に署名したと報じた。英国防省は40万人を追加で募集しようとしていると分析した。ロシアでは招集令状の電子化を認める法改正が行われた。電子令状は着信の時点で通知とみなされる。
SNSでは「『あの世』行きのチケットだ」「今に男は全員ロシアを出るだろう」と反発の声が相次いだ。昨年9月の部分動員発表後、近隣諸国に計70万人ともいわれる人々が出国した。IT関連の技術者も多く、ロシア経済への打撃は大きい。
■暗殺におびえる様子
国際刑事裁判所(ICC)がウクライナの子供を連れ去った戦争犯罪の容疑でプーチン氏の逮捕状を取った件もくすぶっている。現状では逮捕の可能性は極めて低いが、ロシアと軍事同盟を結ぶアルメニアでもICC加盟に向けた動きも出ている。
中村氏は「昨秋の部分動員は国内で相当な不満をかき立てたが、今回の徴集も来年に大統領選を控えるタイミングで好ましくないものだ。逮捕状については、政権内部でもプーチン氏と歩みを共にすることを屈辱的ととらえたり、『自分にも逮捕状が出るのではないか』という不安が広がっていることも想定できる。今後、ますます『プーチン外し』は加速するのではないか」との見方を示した。
