セブン&アイ そごう・西武売却を再延期へ「1円買収」説も囁かれるセブン&アイ迷走の舞台裏

セブン&アイ そごう・西武売却を再延期へ

百貨店の「そごう・西武」を巡って、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが「3月中」としていた投資ファンドへの売却計画を再び延期する方向で検討していることがわかりました。西武の池袋本店へのヨドバシカメラの出店が難航していることが原因です。

セブン&アイは去年11月、傘下の百貨店事業「そごう・西武」をアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」へ売却すると発表しました。

投資ファンドは家電量販店のヨドバシホールディングスと組んでいて、全国に10店舗あるそごう・西武のうち、西武池袋本店・西武渋谷店・そごう千葉店の3店舗にヨドバシカメラを出店させることを検討しています。

しかし、「西武池袋本店」の主要部分にヨドバシカメラが出店する計画案などに前豊島区長が「家電量販店は低層階に入ってほしくない」と述べたほか、地元の事業者や地権者にあたる西武ホールディングスからも慎重な検討を求める意見があがっています。

また、セブン&アイの株主でもある一部の従業員やOBが売却差し止めを求めているほか、労働組合も、そごう・西武の他の店舗の存続や従業員の雇用が守られるのか不安視しています。

こうしたことから、セブン&アイは売却予定日を「2月1日」から「3月中」に延期していましたが、調整が難航しているため、売却予定日を来月以降に再び先送りする方向で調整に入ったということです。

セブン&アイを巡っては、「物言う株主」が社長ら4人の事実上の退任とコンビニ事業への集中を求めています。

西武・そごう売却「二度目の延期」 「1円買収」説も囁かれるセブン&アイ迷走の舞台裏

 3月29日午後7時前。東京都の豊島区役所。終業時間を過ぎ少ない職員たちの間にある情報が駆け巡った。「やはり延期のようだ」「そりゃそうだろう。数カ月はかかるのではないか」。ネットニュースに「そごう・西武の売却時期 再延期」が流れたときのことだ。

  セブン&アイ・ホールディングス によるそごう・西武の売却が迷走しているのは周知の通り。本来なら2月1日に、譲渡契約を結んでいる米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループと家電量販店ヨドバシホールディングスに売却が実行されることになっていた。

 それでも関係者との調整はつかなかった模様で、30日午後、セブン&アイは売却時期を再び延期することを正式に発表。新たな売却の実行日は示されていない。

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そごう・西武の売却、暗礁に セブン&アイ

セブン&アイ・ホールディングスの株主総会は井阪隆一社長の続投で決着したが、傘下の百貨店、そごう・西武の売却問題は懸案として残る。当初2月1日を予定した売却時期は2度の先延ばしを経て「無期限延期」が発表され、実施の目途が立たない。家電量販店大手のヨドバシホールディングスが主力の西武池袋本店に出店する計画などを巡って調整が難航し、一部では「仕切り直すべきだ」という声すら上がっている。

井阪氏は25日の株主総会で、そごう・西武売却について「合意形成に向けて鋭意努力を続けている最中」だと説明した。具体的な時期を示すことはなかった。

米投資会社フォートレス・インベストメント・グループへの売却が進まないのは、そごう・西武の労働組合、西武池袋本店の不動産を一部所有する西武ホールディングス(HD)、そして西武池袋本店とまちづくりを進める地元自治体が慎重姿勢を崩さないからだ。

家電量販店のヨドバシカメラの出店は、フォートレスによるそごう・西武再建策の柱となる。ただ、現在は高級ブランドが集まっている西武池袋本店の主要エリアに入居を予定する。移転を迫られるブランド側はヨドバシとの同居に難色を示しており、撤退する事態になれば従業員の雇用や百貨店ビジネスの維持が難しくなると懸念されている。

セブン&アイは昨年、事業の「選択と集中」を迫る米投資会社バリューアクト・キャピタルの要請を踏まえ、全国10店舗を展開するそごう・西武の売却先探しを本格化。2度の入札を経て昨年11月に約2000億円超でフォートレスに全株式を譲渡する契約を結んだ。

しかし、こうした取引の過程で、セブン&アイ側が「売却を急ぐあまり、労組や西武HDなどへの根回しを怠った」(百貨店幹部)と指摘される。そごう・西武の従業員らが売却の差し止めを裁判所に申し立てるなど、泥沼化しつつある。

西武池袋本店では現在、昨年開始した約10年ぶりの店舗改装を中断している。改装エリアでヨドバシの出店計画が浮上したためだ。新型コロナウイルス禍の収束で百貨店業界が好況に沸く中、商機を逃しかねないと従業員の焦燥感は募る。

売却先のフォートレスを巡っても今月、親会社のソフトバンクグループがアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系ファンドに譲渡を決め、状況は大きく変化している。井阪氏は株主総会でそごう・西武の売却について「今の段階で中止する考えはない」と説明したが、実現を疑問視する声は強まっている。

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