「実は遺書を書いたんだ」坂本龍一さんは衝動的で常にシンプル さりげない“命懸け”が生んだ名曲の数々

「実は遺書を書いたんだ」坂本龍一さんは衝動的で常にシンプル さりげない“命懸け”が生んだ名曲の数々

 【悼む】「実は遺書を書いたんだ」――。最新のデジタル機材が並ぶスタジオで記者にそう明かしたのは2001年5月。その3カ月前、「悪魔の兵器」と呼ばれる対人地雷の悲劇を肌で感じたいと、アフリカのモザンビークの地雷原へ行って緊迫の撤去現場に立ち会った時のことだ。

 「だって万が一もあるんで、心の整理というか書いておきたい気分になったんだよ。実際(地雷を)爆破する時は怖くてねえ。凄い衝撃で身のすくむ思いだった」

 世界のサカモト。そう呼ばれる理由はもちろん音楽家としての数々の世界的偉業によるが、人懐っこい笑顔が象徴するように、興味が湧くと衝動的に世界を飛び回り“命懸け”で見た現場や出会った人たちの人生に触れて感動する。YMOを結成した頃から常に時代に敏感でありながら決して時代に合わせるのではなく、逆にインスタントな成果や交流に背を向け、自分が音楽を通して社会とどうつながって、楽しい平和な世界を築けるのか。実はあらゆる創作の根源はそんなシンプルな衝動だった気がする。

 実際、地雷を撤去する人たちの人生を聞き込んで生まれたのが、18分以上に及ぶ大作なのにオリコン1位になった曲「ZERO LANDMINE」であり、180万枚を売った99年の大ヒット曲「エナジー・フロー」も中高年世代を音楽市場に回帰させる歴史的作品だったが、当時流行した“いやし系”なんて狙いはなかった。「僕は狙って作るとうまくいかないタイプ」と笑って明かしていた。

 仕事選びもシンプル。バルセロナ五輪の開会式でタクトを振ったことにも「一度断ったんだよ。スポーツは大好きだけど開会式は大嫌いだから。だってつまんないでしょ。でもアイデアを見せられたら凄く面白かったからやったんだ」。

 そしていつも衝動的。当時、記者がオンボロの録音機を使っていたら「おっ!?テープ止まってるよ」と言いながら、勝手に録音機を空手チョップ。「おお!動いた。やっぱりこれだよな!!」と、浮かべた満面の笑みは今も忘れられない。

 さりげなく、命懸け――。教授の音楽が世界に響き渡った理由にはその迫力が根底にあった。そんな彼が「もう、逝かせてくれ…」と漏らした凄絶な闘病。それでも最後まで音楽家であり続けようとした生きざまは圧巻である。

坂本龍一さんが闘病した「直腸がん」の初期症状や原因とは? ステージについても解説

日本の作曲家として世界的に知られている坂本龍一さんが、3月28日に逝去した。71歳。2021年に直腸がんを公表し、闘病を続けていた。2014年には中咽頭がんを公表していたが、翌年に仕事へ復帰していた。

日本人の2人に1人ががんにかかるといわれている近年、中でも直腸がんを含む大腸がんは男女問わず罹患率の高いがんの1つです。そこで直腸がんの初期症状から治療法、予後や再発についてもわかりやすく解説致します。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

直腸がんの初期症状と原因

Q.直腸がんはどんな病気ですか。

A.直腸がんは大腸がんの1つで、大腸のうち肛門から20㎝ほどまでの部位にある直腸にできるがんのことです。腺腫という良性のポリープががんになる場合と、正常な粘膜から直接がんになる場合があります。

直腸がんのステージ分類は、国際的に用いられている「TNM分類」・国内で用いられている「大腸癌取扱い規約」を利用して決定します。2つは共通点が多く、こちらでは「大腸癌取扱い規約」に準じた3つの因子をご説明致します。

がんの壁深達度(T因子):癌が大腸の壁に入り込んだ深さ

リンパ節転移の有無(N因子):リンパ節への転移の有無

遠隔臓器転移の有無(M因子):肝臓・肺などの大腸以外の臓器・腹膜への転移の有無

ステージの分類は以下のとおりです。なお各ステージは原発腫瘍・領域リンパ節・遠隔転移を総合的にみて判断されます。

ステージ0:癌が粘膜の内にとどまっている。

ステージⅠ:癌が粘膜下層・固有筋層に浸潤している。

ステージⅡ:漿膜下層・臓側腹膜を貫通、もしくは他臓器に浸潤している。

ステージⅢ:リンパ節転移がある。

ステージⅣ:血行性転移(肝転移・肺転移)または腹膜播種がある。

Q.直腸がんの初期症状を教えてください。

A.直腸がんは早期の場合、ほとんど自覚症状がありません。初期症状として代表的なものは血便です。痔との区別がつきにくいこともあり、痔だと勘違いして様子をみてしまうことも少なくありません。しかし、肛門からの出血や便に血が混ざっていることは正常ではないので自己判断は禁物です。

Q.進行するとどうなりますか?

A.直腸がんが進行すると出血がじわじわ続き、貧血症状としてめまい・ふらつき・倦怠感が現れ、下痢・細い軟便・排便時の痛み・下痢と便秘を繰り返すなどの便通障害にもなります。さらに進行すると腸閉塞を起こし、便が出ない・腹痛・嘔吐といった症状が出現します。

Q.直腸がんの原因はなんですか。

A.直腸がんの発生原因は、大きく分けると「遺伝によるもの」と「食生活と生活習慣の影響」の2つです。「遺伝によるもの」は、家族の病歴との関わりで、特に家族に大腸がんの既往があると、その近親者の直腸がんのリスクが高くなります。

「食生活と生活習慣の影響」としては、赤肉(牛肉・豚肉・羊肉など)や加工肉(ベーコン・ハム・ソーセージなど)の摂取が増えた食事の欧米化・喫煙・飲酒・肥満も発生のリスクが高い原因です。

Q.好発年齢はありますか。

A.直腸がんは、他のがんと同様に年齢が上がるにつれてリスクも上がっていきます。2019年のデータによると、大腸がんの罹患数は男性で前立腺がんに続いて第2位、女性は乳がんに続いて第2位です。

男女ともに30代後半~40代になると徐々に増え始め、50~60代を過ぎるとさらに急激に増えています。とはいえ、若い方でも直腸がんになってしまうケースもあります。

直腸がんの検査方法・治療法

Q.直腸がんではどんな検査を実施しますか。

A.直腸がんの疑いがある場合に行う主な検査は以下の通りです。

便検査:便潜血の有無を確かめる

直腸診:肛門から直腸内を指診して異常がないか調べる

注腸造影検査:がんの場所やサイズ・形・腸が狭さなどがわかる

大腸内視鏡検査:肛門から大腸カメラを挿入して病理組織検査を行う

カプセル内視鏡検査:カプセル型内視鏡を飲み込み、小型カメラで腸管内を撮影し、コンピューター解析する(2020年3月現在で、術後の癒着や、重症高血圧・心不全・肺気腫・高度肥満などの身体的理由で大腸内視鏡検査が困難な方に保険適応)

大腸CT検査:CT検査により得られた画像情報から大腸内視鏡検査に類似した画像を作り出す

CTやMRI、PET検査:がんの広がりや転移を調べる

腫瘍マーカー:術後の再発チェックや薬物療法の効果判定補助のために行う血液検査(大腸がんの腫瘍マーカーはCEA、CA19-9、p53抗体)

Q.どんな治療を行いますか。

A.直腸がんの治療は大腸内視鏡治療・手術・放射線療法・抗がん剤療法(化学療法)などがあり、その治療法はがんの進行状況・全身状態・年齢・既往・合併症などで決まります。がんが浅くてリンパ節転移がない場合は、肛門からスコープ(カメラ)を挿入してがんを切除する大腸内視鏡治療が行われ、それが困難な場合は手術の適応です。

放射線治療は、手術前にがんを小さくする目的や手術ができない方の痛みを抑える目的などに行い、抗がん剤治療は、転移などで手術ができない場合や手術後の再発予防のために継続的に行います。

Q.手術が必要なのはどんなケースですか。

A.大腸内視鏡でがんの切除が困難な場合は手術が必要です。直腸がんの手術は、腹腔鏡下手術と通常の開腹手術があります。患者さんの直腸がんの場所や進行の状況に応じてより適切な方法を選びます。主な手術と適応は以下の通りです。

腹腔鏡下手術:内視鏡(腹腔鏡)で観察しながら行う方法(術創が小さいため、術後の痛みも少なく回復が早いというメリットがある一方、開腹より手術時間が長い・手術費用もやや高い・体格や既往により難しさが左右されるというデメリットもある)

直腸局所切除術:転移していない早期がんや肛門に近い場所にあるがんを切除する方法

前方切除術:がんが肛門から離れた位置にある場合に肛門の機能を残すことができる方法

直腸切断術:がんが肛門から近く、肛門の機能を残せない場合に直腸・周囲のリンパ節・肛門をまとめて切除して人工肛門(ストーマ)を造設する方法

括約筋間直腸切除術(ISR):肛門に近いがんで術後に肛門の機能が保てる可能性がある場合に行う肛門を温存して人工肛門を造設しない方法

Q.直腸を取るとどうなりますか。

A.がんだけでなく直腸も切除した場合、排便障害が起こりやすくなります。それまで便を溜めたり押し出していた場所が小さくなるため、その働きが弱くなるからです。

最も起こりやすいのは排便回数の増加で、術後は1日に5~6回、多い方では10回以上になることもあります。排便の1回量減少・残便感・頻回な便意・便失禁などの症状が現れます。これらの症状は数ヶ月から数年かけて徐々に改善することがほとんどです。しかし、中には改善せずに続く方もいます。

直腸がんの予後と再発

Q.直腸がんの予後を知りたいです。

A.がんの進行具合によって予後の生存率が変わってきます。直腸がんのステージ別生存率は以下の通りです。(2013~2014年)

ステージⅠ:3年生存率89.7%、5年生存率84.1%

ステージⅡ:3年生存率84.5%、5年生存率76.8%

ステージⅢ:3年生存率79.8%、5年生存率68.6%

ステージⅣ:3年生存率33.7%、5年生存率20.8%

このデータからわかるように、がんが進行すればするほどその予後が悪くなっています。

Q.直腸がんは再発しますか。

A.直腸がんの手術で目に見えるがんをすべて取り切ったようにみえても、しばらくして再発することがあります。再発の種類は主に2つです。

局所再発:最初のがんがあった場所もしくは近くに発生する

遠隔再発(転移):リンパ液や血液の流れに乗り、最初のがんがあった場所から離れている臓器に転移する

再発する方の約80%は術後3年以内に、95%以上は5年以内に発見されています。がんが進行するにつれて再発のリスクは高くなり、その再発部位は、肺・肝臓・局所(がんがあった場所の周辺)・リンパ節・腹膜・吻合部(切除後に縫合した場所)です。

Q.再発の予防方法を教えてください。

A.直腸がんの予防には、バランスの良い食事(脂を控える・食物繊維を積極的に摂る)・禁煙・節度のある飲酒・適度な運動・適正な体型維持が効果的です。

また、予防と同じように大切なのが検診です。がん検診の目的はがんを早期発見することにあります。年に1回のがん検診を行うことで、早期発見・早期治療に繋がります。特に40歳以上は男性・女性ともに大腸がん検診を受けましょう。

そして、毎日の習慣としては、便の状態に注意することも大切な予防法ですので、しっかりと覚えておきましょう。

Q.最後に、読者へメッセージをお願いします。

A.直腸がんは日本人にとって身近な病気です。早期発見と早期治療で根治が可能な病気でもあり、各ステージの生存率からもその重要性がおわかりいただけると思います。

少しでも気になることがある時には放置したり自己判断したりせずに、気軽に医療機関を受診してください。定期的な検診、生活習慣を見直すことで予防と早期発見に努めましょう。

坂本龍一さんの訃報に触れ、晩年闘病されていた直腸がんについて詳しくまとめました。直腸がんは、生活習慣を見直すことで予防が期待できる病気です。自覚症状がわかりにくいからこそ、定期的な検診が大切であり、それが早期発見と早期治療に繋がります。この記事が今後の生活のお役に立てば幸いです。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏