暴走族の迷惑行為「うるさい爆音」を鳴らして走る意外な理由

暴走族の迷惑行為「うるさい爆音」を鳴らして走る意外な理由

 こんにちは。伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』3代目編集長をやっていた倉科典仁と申します。ティーンズロードは1989年に創刊され、90年代には社会現象に。現在は休刊となっておりますが、そんな本誌に10年以上携わっていました。ここでは私なりの目線で「編集者から見た暴走族」についてお話していきたいと思います。

◆暴走族が「爆音を立てて走る」意味

 皆さんは「暴走族」と聞くと、99%の割合で“爆音を立てて走る集団”というのが頭に浮かぶと思います。

 深夜に人の迷惑を顧みず「ボーンボン!」と地響きのような爆音を鳴らし、信号無視をしたり、逆走したり……。一般社会の常識や、道路交通法的にも暴走行為(共同危険行為等)は決して許されるものではないことは明らかです。

 しかし「暴走族が爆音を立てて走る」行為には、彼らなりの理由があったというのです(諸説あり)。

 もちろん、どんな事情があろうが夜中に爆音を立てて走るのはいかがなものかとは思いますが、参考までにお読みいただければ幸いです。

◆ヤンキー界の重鎮に聞く

 私は現在、雑誌『実話ナックルズ』(大洋図書)のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」をプロデュースしています。そこに、かつて暴走族「横浜連合鶴見死天王」というチームで名を馳せ、今では青少年不良文化評論家で、“ヤンキー界の重鎮”と言われている岩橋健一郎氏をゲストに招いたことがあります。

 岩橋氏は、暴走族漫画「ドルフィン」(秋田書店)の原作者であり、人気スマホゲーム「暴走列伝・単車の虎」のメインキャラクターにもなっています。

 私たちが1989年に『ティーンズロード』を立ち上げる以前から暴走族雑誌『チャンプロード』(笠倉出版社)で活躍しており、じつは創刊時にもいろいろとお手伝いをしていただいた方で非常に長いお付き合いとなります。

 そんなヤンキー界の重鎮に「暴走族はなぜうるさいのか?」と質問したところ、予想外の答えが返ってきました。

◆周囲に「今から信号無視しますよ〜!」と注意を促す

 岩橋氏は、その理由についてこう言います。

「暴走族は大きな集団で暴走するわけです。もしもパトカーに追われている場合、ある程度スピードが出ているため、赤信号でいちいち停まってしまうと、後方で走っている仲間たちが突っ込んできてしまいます。そうすると当然、交差点の逆側で青信号で走ってくる一般車とも衝突してしまいますよね。そのため、基本的に集会中は赤信号でも止まれないわけです。

 例えば、救急車などの緊急車両はサイレンを鳴らして周囲に注意を促しながら交差点に入りますよね。暴走族がよく単車につけている“ラッパ”(ホーン)ってあるじゃないですか。お馴染みの“パラヒラ、パラヒラ、パラヒラ”みたいな音がするやつです。それを鳴らしながら通るやつもいましたが、当時はラッパも高価でした。相場1本1万円くらいするものを何本もつけられるのは一部のお金持ちです。ただ、一般の暴走族にはそれはできなかったんです。

 そこで手っ取り早い方法がマフラーを外して“直管”にすることでした。爆音になるのでその状態で暴走し、交差点を通過する時に『暴走族が来ましたよ、危ないから止まってください!』とばかりに吹かしまくり、注意を促すわけです。それが暴走族の“爆音”のルーツになっているとも言われています。

 “カミナリ族”(※)と言われる私よりも上の世代の人たちの時代から、マフラーをうるさくすることで『自分はここにいるぞ!』と危険回避していました。ただ、時代が流れるとともに、ルーツを知らない若い子たちにも“暴走=爆音”が当たり前に広がっていきました」

(※)昭和30年代〜40年代あたりに公道をバイクで高速走行することを嗜好にしていた人たち

◆暴走族の花形“ストッパー”の存在

 そして、それが進化していくと「暴走族と一般車が接触事故を起こさないため」の大事な役割を担った“ストッパー”が登場します。

「ストッパーは暴走族の中でも花形的な存在で、集団のいちばん先頭に立って、信号が近づくといち早く交差点に入り、爆音で周囲に知らせ、青信号側の車両が交差点に入ってこないようにするんです。

 暴走族の集団がその交差点を通り過ぎるまでその場で爆音を立てまくります。集団がすべて通過した後、自分たちもその集団に戻るというわけです」

◆爆音にもテクニックがあった

 余談ですが、そのときにアクセルを吹かして出す爆音にもテクニックがあったと言います。

「暴走族用語では“コール”と呼ばれており、アクセルを使ってテンポを刻みます。初期では『レッツゴー』(バン、バン、バババン、ババババ、ババン)や『三三七拍子』(バンバンバン、バンバンバン、バンバンバンバンバンバンバン)などの吹かし方が流行っていましたね」

 まさに暴走族のルーツに迫る話を岩橋氏から聞き、思わず“なるほどそういうことだったのか……”と感心してしまいました。

 令和の時代に「暴走族」という存在はほとんど姿を消してしまいましたが、一方で何の意味もない「煽り運転」などの交通違反(妨害運転罪)が増えております。

 どちらも危険行為に変わりはないので、くれぐれも模倣しないように注意してください。

 いま振り返ってみれば、昭和の暴走族の行動はあくまで一方的ですし、決して褒められたものではないと思います。ですが、昭和生まれの自分としては、あらためて“意味”を知ってみると、“実は理にかなっていたのだな”と妙に納得してしまう部分もあります。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏