なぜ?中国の温水洗浄便座に「湯川秀樹」の文字 調べてみると…

なぜ?中国の温水洗浄便座に「湯川秀樹」の文字 調べてみると…

出張で訪れた中国江蘇省の宿泊先のトイレに温水洗浄便座が付いていた。中国では高級ホテル以外ではほとんど目にすることはなく、びっくりした。便座カバーを開けると本体に日本語で「湯川秀樹 ゆかわひでき」と書かれていて2度びっくり。側面に「深圳市湯川秀樹科技発展有限公司」と製造元の記載があり3度びっくりした。なぜ日本人初のノーベル賞受賞者の物理学者、湯川秀樹博士(1907~81)の名を冠しているのか。西日本新聞「あなたの特派員」が謎に迫った。

 中国の企業情報サイトによると、湯川秀樹は商標名で、製造元は8年前に広東省深圳市で創業した資本金1千万元(約2億円)の中小企業。会社の代表電話は固定電話ではなく携帯電話番号になっている。電話をかけると、20~30代とおぼしき男性経営者が取材に応じてくれた。

 「なぜ日本人の湯川博士の名前をブランド名と会社名に?」と問うと、「ただの偶然です」と強調したが明らかに苦しげだ。そして「本当は『湯川』で商標登録したかったけど、登録済みだったので、4文字と日本語のひらがなも登録しました」と言葉を継いだ。「温水が出るので湯川?」という質問が助け舟になったのか、「…そうです。そうです!」と力を込め、博士とは無関係と言い切った。4度目のびっくりだ。

 中国では近年、富裕層を中心に温水洗浄便座の人気が高まっている。中国のインターネット通販サイトでは「湯川秀樹 ゆかわひでき」シリーズの「智能座便器(スマート便座)」が販売されていた。停電しても水が流れるタイプや自動で便座のふたが開閉する機種もあり、価格は日本円で3万~7万円台。宣伝文句に「日本」という文字もあった。

 米下院議長の台湾訪問などで日中関係が悪化した昨夏、中国の交流サイト(SNS)では日本文化を称賛する若者を「精日(精神的日本人)」とやゆする投稿が続出した。一方、日本製品への信頼性は高く、日本に好意的な市民は多い。

 「アジアのシリコンバレー」と呼ばれ急成長した深圳の地で、日本の技術とブランド力が、したたかに取り込まれていた。5度目にびっくりしたのは、スマート便座の性能が日本製に勝るとも劣らなかったことだった。

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