がれきから救出した6人は全員死亡「もっと速くできなかったか」…トルコへ派遣の消防士長

がれきから救出した6人は全員死亡「もっと速くできなかったか」…トルコへ派遣の消防士長

 トルコ南部の大地震で、国際緊急援助隊の一員として派遣された茨城県の茨城西南広域消防本部下妻消防署の長妻秀一消防士長(39)が、現地での7日間の活動を終えて帰国した。「自助」「共助」「公助」の大切さを実感したといい、「日本で大地震が起きた際に生かせるよう、地域の人たちや職場の後輩にトルコでの経験を伝えたい」と話す。(西海弘輔)

 下妻消防署でレスキュー隊員として活動する長妻さんは、国際消防救助隊員でもある。2月6日、職場で昼のニュースを見て地震を知り、すぐに「行くことになるかもしれない」と家族に電話をした。予想通り、約1時間後に本部から派遣準備を指示された。

 県内では茨城西南広域消防本部と水戸市消防局の各6人が総務省消防庁に国際消防救助隊員として登録されている。このときは茨城西南が全国の幾つかの消防機関と共に「第1順位」の当番だったため、同庁から1人派遣するよう要請された。直近の訓練状況などから長妻さんが選ばれた。

 警察、消防、海上保安庁と医療、建築の専門家など74人で「国際緊急援助隊」を編成。長妻さんら第2陣56人は現地時間の7日夜、トルコ南部カフラマンマラシュに到着し、24時間態勢で救助活動を開始した。

 建物の各階が押しつぶされたように重なって崩壊する「パンケーキクラッシュ」現象が至るところで起きていた。レーダーや電磁波、救助犬によって人が埋もれていることが確認されると、三重、四重に重なった床や天井などの鉄筋コンクリートを削岩機や鉄筋カッターなどで取り除き、小さな隙間から中に入って捜す。腹ばいで進むような場所も多く、隙間はいつ崩れるか分からない。二次災害の危険はあったが、「そのために来たのだから」と、ためらうことなく奥へ進んだ。

 長妻さんの所属チームは2人、援助隊全体では6人を見つけた。しかし、作業は丸1日かかり、救出後に全員死亡が確認された。全力を尽くし、遺族にも感謝されたが、「もっと速くできなかったか」「他にいい方法はなかったか」という思いは今も残っている。

 道端では、家を失った人たちが昼も夜も木を燃やして暖を取っていた。長妻さんらが通りかかると、さっと荷物をどけて道を空けてくれた。がれきの中で家族や知人を捜す人も多く、「日本ありがとう」とお礼を言われ、トルコの方式で胸に手を当てて敬意を表された。「消防の仕事をしてきてよかった。身に付けた救助の技術をこれからもいろんな所で役立てたい」と思うとともに、災害時の自助、共助、公助の大切さも知ったという。

 2月15日に帰国後も余震が続くトルコのことは気になる。「各国からの救援物資が一刻も早く届き、復興の道筋が立つことを願わずにいられない」と話した。

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