スズキ「いつの間にか国内2位」の隠れた実力。強さが功を奏したか?他メーカーが弱すぎか?
2022年の乗用車メーカー国内販売ランキングは、1位:トヨタ(129万台/レクサスを含む)、2位:スズキ(60万台)、3位:ダイハツ(58万台)、4位:ホンダ(57万台)、5位:日産(45万台)、6位:マツダ(16万台)、7位:スバル(10万台)、8位:三菱(9万台)であった。
上記の販売台数を見ると、トヨタが129万台で圧倒的に多い。2位のスズキ以下に、2倍以上の差を付けた。トヨタの国内シェアは、軽自動車を含めた国内販売全体で31%。軽自動車を除いた小型/普通車では、49%にも達する。
そのため、2位以下は僅差だ。2位のスズキ(60万台)と5位の日産(45万台)の差は15万台に収まる。
2008年頃までは、1位:トヨタ、2位:日産が定位置で、3位をホンダとスズキが争っていた。それが2010年頃から、日産はホンダに2位を奪われて3位に下がり、2010年代の中盤になると、スズキとダイハツにも抜かれて5位まで後退した。
この状態がしばらく続き、2020年には、スズキが2位に躍進。3位はホンダ、4位はダイハツで、5位が日産であった。そして直近の2022年には、前述の通り1位がトヨタ、2位はスズキ、3位にはダイハツが入り、ホンダは4位まで下がる。日産は5位だ。
以上のように過去10年少々の間で、かつて2位だった日産が5位にまで落ち、日産に代わって2位に浮上したホンダも、今は4位に後退した。その代わりスズキが2位、ダイハツは3位に浮上している。
■日産の落ち込み幅は他メーカー以上
トヨタの1位は1963年以降、60年近くにわたって変わらないが、スズキが2位でダイハツが3位という順番は、20世紀には考えられないことだった。
このように乗用車メーカーの国内販売ランキングが大きく変動した背景には、今の自動車業界に発生しているさまざまな事柄が絡み合っている。
時系列で捉えると、2010年前後に生じた最初の変動は日産の後退だ。日産の国内販売台数(軽自動車を含む)は、2007年は72万台だったが、2010年には65万台まで下がり、2015年は60万台、2020年は47万台、直近の2022年は45万台だった。2022年の販売台数は、2007年の63%にとどまる。
国内全体の販売台数も新型コロナウイルスの影響もあって減少し、2022年(420万台)は2007年(535万台)の79%となっているが、日産の落ち込みはそれ以上に大きい。
日産が後退した直接の理由は、国内で発売される新型車が大幅に減ったことにある。特に2011年から2019年までの9年間は、新型車の発売が1~2年に1車種しかなかった。
2008年の末に発生したリーマンショックによる世界的な景気の悪化で、新型車の開発を停止する動きが見られたからだ。もちろん、これは日産に限った話ではないが、他社よりも新車開発の停滞は顕著だった。
当時、日産の商品企画担当者は以下のように述べていた。
「日産にとって国内市場はホームグラウンドだが、経営的に特別扱いをしていない。現在と将来の市場規模をグローバルに捉え、客観的な判断に基づいて新型車を投入している。新型車の発売が1~2年に1車種と少ない理由は、日本がそれに見合う市場と判断されたからだ」
この後、カルロス・ゴーンが退任したあとは、日産の内部からも反省の声も聞かれるようになった。「今までの日産は国内市場を軽視して、取り扱う商品の基本設計も古くなり、売れ行きを下げた。今後は国内にも新型車を積極的に投入する」と……。
その言葉通り、2022年には「エクストレイル」や「セレナ」など複数の新型車が発売されたが、半導体などの部品供給の滞りから納車が順調にできていない。しかし、対策は講じているはずだから今後、浮上する可能性はあるだろう。
■今や“新車の40%”となった軽自動車
スズキの国内販売が2位になった理由として、日産やホンダの不調のほかに“軽自動車の好調”が挙げられる。
軽自動車の売れ行きを振り返ると、1980年頃は、国内販売台数に占める軽自動車比率は約20%だった。それが1990年代に入ると、景気が悪化したことと軽自動車の商品力が上がってきたことによって軽自動車比率が増え始め、2000年には31%に達した。2010年は35%で、2013年以降は37~40%で推移している。2022年は、39%だった。
かつては「シビック」や「アコード」「オデッセイ」など、小型/普通車が中心だったホンダも、今は軽自動車が売れ筋だ。
「N-BOX」が国内のベストセラーになり、今やこの1車種がホンダ車の36%を占める。「N-WGN」なども加えると、2022年に国内で販売されたホンダ車の実に53%が軽自動車だ。
このほか三菱も軽自動車比率が46%と高く、日産も39%に達する。その結果が、“新車のおよそ40%が軽自動車”という市況になったのだ。
ここまで軽自動車が増えた背景には、商品力の向上のみならず、小型/普通車を含めた日本車の値上がりがある。現在の日本車の価格を15年前と比べると、同じ車種の同等グレードで、1.2~1.4倍になっているのだ。
ファミリー層がクルマを買うときには、価格を「200万円」にイメージすることが多い。15年前なら値引きまで含めると、この200万円前後でミドルサイズミニバンの「ノア」「ヴォクシー」や「ステップワゴン」、SUVの「エクストレイル」、セダンなら「プレミオ」「アリオン」などの売れ筋グレードを購入できた。
ところが今、ミドルサイズのミニバンやSUVは、ハイブリッド車でなくても280万~300万円だ。しかも、ミドルサイズのセダンは大半が廃止され、ほとんど残っていない。
そうなると200万円で購入できるのは、スズキ「スペーシア」、ホンダ「N-BOX」、ダイハツ「タント」のような軽自動車のスーパーハイトワゴンが主力になる。
この15年で、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備や運転支援機能が大幅に充実したから、これらの採用を考えると今のクルマの方が割安だともいえるが、値段が上がれば現実的に購入は困難となる。結果として、空間効率の優れた軽自動車に需要が移ったのだ。
■軽自動車は納期が短い
納期の影響もある。今の小型/普通車の納期は6カ月以上が多く、1年を超える車種も少なくないが、軽自動車なら大半が6カ月以内に納車できる。1年を超える軽自動車は、「ジムニー」など一部の車種だけだ。
そのため軽自動車は、小型/普通車と比べると届け出が順調に進み、販売比率を安定的に高めることができた。特にスズキは、軽自動車の販売比率がダイハツの次に高いから、納期では有利。コロナ禍においても、届け出台数をあまり減らしていない。
ダイハツは、小型/普通車を大量に扱うトヨタの傘下にあるから、小型車の国内販売比率が約6%と低い。その点でスズキは、小型車の「ソリオ」や「スイフト」も相応に人気を高め、小型車の国内販売比率が17%に達する。
軽自動車だけに依存せず、小型車で売れ行きを伸ばしたことも、スズキの国内販売台数がトヨタに次ぐ2位になった理由なのだ。軽自動車と小型車の販売バランスが優れている。
そして、スズキの人気を根底で支えるのは、日本のユーザーのメリットを追求するクルマ造りだ。軽自動車と小型車を中心とするスズキは、以前から軽量化に力を入れている。
今は安全装備の充実もあり、5ナンバーサイズのコンパクトカーでも車両重量が1トンを超える車種が多いが、スイフトの2WDは大半が860~900kgに収まっており軽い。1.4リッターターボを搭載する「スイフトスポーツ」でも1トン以下だ。
ボディが軽ければ、燃費や走行性能を幅広く向上させる。しかも、スイフトなどは軽いがゆえの“上質感の不足”などを意識させない。価格を高そうに見せたり見栄を張ったりするのには適さないが、日常生活のツールとして安全かつ便利に使うなら、スズキにはちょうどよい車種がそろっている。
さらに今は、ガソリンなどの物価が高騰して所得は伸び悩む傾向にあり、スズキ車のような実用的で燃費が優れ、価格の割安な車種は共感をえやすい。スズキは時流に沿ったクルマ造りでも人気を高めたと言える。
このようにスズキの国内販売2位は、同社が手がける軽自動車の高い人気と短い納期、小型車のバランス良い売り方、日産とホンダの衰退など、さまざまな理由があって達成された。
■「軽ナンバーワン」ダイハツとの戦い
このスズキの人気ぶりを販売店に尋ねると、以下のように返答された。
「最近はスペーシアにSUV風の『スペーシアギア』や商用車の『スペーシアベース』を加えたり、『ワゴンR』にもスライドドアを装着する『ワゴンRスマイル』が加わった。小型車のソリオを含めて、売れ筋の商品がそろっている。そのために販売しやすくなった」
その一方で、ダイハツとの販売台数はわずかな違いだ。1年間で2万台程度の差しかない。この点について、販売店では以下のような声を聞いた。
「スズキは小型車販売がダイハツに対する強みだが、軽自動車についてはダイハツが販売1位で、宣伝も効果的に行っている。ダイハツは今でも強敵だ」
軽自動車はボディサイズ、エンジン排気量、価格がライバル車同士でほぼ同じだ。そのため、スズキ車とダイハツ車の違いも分かりにくく、ユーザーは車種の選択に迷いやすい。このとき「軽自動車販売ナンバーワン」という宣伝文句は、強い説得力を発揮する。
だからスズキの販売店は「軽自動車の販売1位という宣伝は行えない」のが残念だと述べた。「国内販売2位」よりも、「軽自動車販売1位」がほしいとも受け取られる。
そして2023年から2024年にかけては、三菱「デリカミニ」に続き、スズキではワゴンRと「アルトラパン」、ダイハツはムーヴ、ホンダはN-BOXという具合に、軽自動車の人気車が続々とフルモデルチェンジを実施する可能性が高い。今後もスズキとダイハツの激しい競争が行われ、軽自動車の商品力も高まり、両メーカーの好調な売れ行きが続きそうだ。
ダイハツ工業株式会社(ダイハツこうぎょう、英: DAIHATSU MOTOR CO., LTD.)は、主に軽自動車、および総排気量1,000cc以下の小型車を主力とする日本の自動車メーカーである。本社所在地は大阪府池田市ダイハツ町。日野自動車などと共にトヨタグループ16社のうちの一社で、トヨタ自動車の完全子会社(機能子会社)である。
現在量産車を手掛ける日本のメーカーとしては最も古い歴史を持ち、初の国産エンジンを開発する目的で大阪高等工業学校(後の大阪帝国大学工学部、現大阪大学工学部の前身)の研究者を中心に、1907年に「発動機製造株式会社」として創立された。ブランド名・社名は、創業後、社名に「発動機」を冠する後発メーカーがいくつも出現し、既に出回っている「発動機製造」の発動機をどこで造った発動機か認識するため顧客の方で「大阪の発動機」と区別呼びし、やがて詰めて「大発(だいはつ)」と略称したことに由来する。
2016年
4月12日 - 3代目ブーンの発表・発売に併せ、小型自動車専用(当初)の新コーポレーションスローガンとして「軽の技術で、コンパクトを変えていく。」を制定。
7月27日 - 上場廃止。
8月1日 - トヨタ自動車により完全子会社化される。
2017年
3月1日 - 創業110周年。コーポレーションスローガンを「Light you up 〜らしく、ともに軽やかに〜」に変更。
7月1日 - 東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの参加企業となる。「東京ディズニーランド・パーキング」、「東京ディズニーシー・パーキング」、「マーメイドラグーンシアター」のオフィシャルスポンサーを務める。
