英国で「週休3日制」を導入する大規模実験 最終報告からわかった3つのこと

英国で「週休3日制」を導入する大規模実験 最終報告からわかった3つのこと

2022年6月から12月にかけて、61の企業、約2900人の従業員を対象に、給与はそのままで週休3日制(週4日勤務制)を実施する実験が英国でおこなわれた。これは週休3日制の実証実験としては最大規模のものだ。

実験終了前後に英紙「フィナンシャル・タイムズ」が参加者らに取材した記事を、クーリエ・ジャポンでは過去に掲載している。(註:当初の参加企業は70社だったが、結局9社は実施しなかったために報告書ではカウントされていない)

このたび、実験に参加した企業と従業員に対する調査結果を分析した正式な報告書が、実験を指揮した非営利組織と大学によって公表された。

そこからわかるのは、週休3日制は従業員の幸福にとっても、企業の業績にとってもプラスに働く可能性が高いということだ。

報告書から見えてきた3つの事実をご紹介する。

1. 従業員の心身の健康が改善

週休3日制は、従業員の心身の状態を改善することが示唆された。

・71%が、「燃え尽き症候群の程度が低下した」と答えた(「上昇した」と答えたのは22%)

・39%が、「ストレスが軽減した」と答えた(「増加した」と答えたのは13%)

・46%が、「疲労感が減った」と答えた(「増加した」と答えたのは14%)

・40%が、「睡眠不足が減った」と答えた(「増加した」と答えたのは15%)

2. 従業員のワーク・ライフ・バランスが改善

・73%が、「自分の時間に対する満足感が増した」と答えた

・60%が、「仕事とケア(育児や介護など)をうまく両立できるようになった」と答えた

・男性の27%、女性の13%が、「育児に割り当てる時間が増えた」と答えた

3. 雇用者側の満足度も高い

・期間中の離職率が平均57%減少した

・期間中の収益が平均1.4%増加した

・企業の満足度は10点中8.3点だった

実験に参加した企業の90%以上が、今後も週休3日制を続けるつもりだという。

また、ほとんどの従業員が、大幅な給与額の上昇がなければ週5日勤務には戻りたくないと考えており、15%の従業員は、週5日勤務に戻れば給与がいくら増額されるとしても、週休3日のほうを選ぶだろうと答えたという。

米「タイム」誌によると、この実験の運営と分析に携わった英ケンブリッジ大学教授のブレンダン・バーチェルは当初、週休3日制がプラスの効果をもたらすことに懐疑的だったという。労働時間が減った分、業務を詰め込むことになりかねないからだ。

しかし、予想に反して「肯定的な結果」が得られたとコメントしている。

「みんな、より効率的に仕事をするための方法を編み出し、無駄になっていた多くの時間を削減したのです」

業種や市場の状況、本来の労働環境によって働き方は大きく異なるため、週休3日制のほうが良いと一概に言えるわけではない。しかしこの調査結果は、新たな働き方を検討するうえで、重要な指標の一つになるだろう。

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