航空機内でマスク拒否「謝罪、反省しません!」 トラブルの元大学職員に執行猶予付き有罪判決

航空機内でマスク拒否「謝罪、反省しません!」 トラブルの元大学職員に執行猶予付き有罪判決

 航空機内でのマスク着用をめぐるトラブルで客室乗務員に暴行し、けがを負わせ、運航を妨害したなどとして、威力業務妨害や傷害、航空法違反などの罪に問われた元大学職員、奥野淳也被告(36)=茨城県取手市=の判決公判が12月13日、大阪地裁であった。大寄淳裁判長は、懲役2年執行猶予4年(求刑懲役4年)の判決を言い渡したが、納得いかない奥野被告が裁判長に詰め寄り、法廷内は一時騒然となった。

 大寄裁判長が判決を読み上げる間は静かに聞いていた奥野被告だが、言い渡しが終わると突然立ち上がり、

「まるで中世の魔女狩り裁判のようだ。後付けで事実関係を認めているだけだ。粗悪な作文である」

 と裁判長の席に向かっていき、詰め寄った。

 大寄裁判長が、

「発言はやめてください」

 と制止しても聞かず、

「改めて申し上げたい。私は無罪だ。とうてい容認できません」

 と声を張り上げた。

 裁判所の職員が満席の傍聴席に、

「閉廷です、閉廷です。すみやかに退廷してください」

 と叫び、騒然としたなか、裁判は終わった。

 この事件は2020年9月、新型コロナウイルスの感染拡大のおり、釧路空港発関西空港行きのピーチ航空に搭乗した奥野被告が、乗客や客室乗務員からマスク着用を求められたことに始まった。

 客らの求めに腹を立てた奥野被告は客室乗務員に執拗(しつよう)に抗議。客室乗務員が、航空法違反に該当する行為の可能性があるという「命令書」を奥野被告に渡そうとするともみあいになり、客室乗務員が暴行を受けるなどした。航空機は新潟空港に緊急着陸した。

 一連の事件が起訴され、争点整理のための公判前整理手続きが進む昨年5月、奥野被告は千葉県の食堂にマスクをせず入店し、拒んだ店側とトラブルに。駆け付けた警察官を殴ったとして、公務執行妨害容疑で逮捕、起訴された。

 今年5月の初公判。奥野被告はマスクをせずに法廷に現れた。裁判所は、奥野被告のまわりに透明のアクリル板を設置し、傍聴者にはマスク着用を求め、裁判が始まった。

 奥野被告は四つの事件で罪に問われたが、すべて否認して全面的に争った。事実関係だけではなく、

「マスク着用を強制している。それがおかしいし、問題だ。事実無根の事件だが、マスク着用をしないから不当な扱いを受けたり、排除されたりするという問題が根底にある」

 とマスクの問題について主張。その後の公判もすべてマスクをせずに出廷した。

 大寄裁判長が、

「フェースシールドならどうか」

 とマスク以外の着用について尋ねても、

「つけません」

 と拒否していた。

 検察は論告で、

「我を押し通そうと乱暴、狼藉(ろうぜき)を働くなど極めて悪質。ピーチ航空の事件後には模倣犯が出ている。今後も出ることが危惧される。刑務所で徹底した更生が必要」

 と厳しく指摘し、懲役4年を求刑していた。

 判決は、おおむね検察側の主張を認め、動機について、

「自分の考えを押し通そうとする思いが強すぎることによるもの」

 などとした。

 閉廷後、奥野被告は裁判所の外で報道陣に囲まれ、

「私は無罪だ。後付け、こじつけの判決。社会の風潮に流され、裁判官までマスクを絶対視する偏見にとらわれている。マスクをしていないことへの差別だ。マスクの着用の是非について裁判所は判断しなかった。その問題から逃げた」

 などと怒りをあらわにして持論を述べ、裁判所批判を繰り返した。判決で認められた暴行罪だが、被害者に対しては、

「謝罪も反省もしません」

 と話した奥野被告。今後、弁護士と相談の上、控訴する予定だという。

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