天安門事件リーダーが語る 中国“白紙運動”の深層 ゼロコロナデモ 若者たちが立ち上がる理由

天安門事件リーダーが語る 中国“白紙運動”の深層 ゼロコロナデモ 若者たちが立ち上がる理由

極端なゼロコロナ政策の是正などを求めて、中国各地で若者たちが白紙を掲げるデモなどが相次ぎ、一部では習近平政権打倒も叫ばれた。言論統制が厳しい中国で、若者たちはなぜ今立ち上がったのか?そして、天安門事件のリーダーが語った今回のデモの”特徴”とは…

■「誰が与えた権力なんだ!」PCR検査のテントを破壊 SNS投稿で強まる「ゼロコロナ政策」への反発

SNSに投稿された防護服を着た警察官に住民たちが物を投げつけている動画。中国南部・広州市の11月28日の映像だ。住民はPCR検査を行うテントも破壊していた。

北京市内の団地では、感染者が出ていない棟も封鎖されたことに住民らが反発。一斉に外に出て、ゲートを壊すなどした。

北京市内の住民

「封鎖を解除して!」

「誰が与えた権力なんだ?」

「これ以上封鎖が続くと国が混乱するぞ!」

こうした市民の不満は、厳しいゼロコロナ政策に向けられたものだ。

別の動画では感染者が中にいるのか、扉を板で封じ釘を打ち付ける姿が撮影されている。

浙江省 防護服を着た職員

「マスクをつけろ!」

隔離するためか、嫌がる男性を強引に連れていこうとする映像も。

男性の家族

「そんなに乱暴しないで!話す時間もないのですか?」

デモのきっかけになったのが11月24日、新疆ウイグル自治区 ウルムチで起きた火災だった。高層住宅から逃げ遅れた10人が死亡したという。

ロックダウンのために、消火と救助活動が遅れたという批判がネット上に相次いだ。

だがそれらの投稿は当局によって次々と削除された。こうした政府の強硬な姿勢に不満が噴出。若者たちを中心となって声を上げ、怒りの矛先はゼロコロナ政策から政権そのものへと変化していく。

上海市のデモ隊

「共産党退陣しろ!習近平退陣しろ!」

厳しい言論統制が敷かれている中国で習近平国家主席を名指しし、公然と批判するのは極めて異例だ。

習近平氏の母校、精華大学でも…。

精華大学のデモ隊

「表現の自由!民主!法治!」

「逮捕されるのを恐れて、声を上げないでいると国民に失望される」

上海では火事の犠牲者を追悼するためか、花を持つ男性が警察に連れていかれる。

四川省のデモ隊

「自由でなければ、死んだ方がいい!」

■「白紙運動」抗議デモで掲げられたA4の真っ白な紙 そこに若者たちが込めた意味は…

抗議デモは、中国各地に拡大。そして今回のデモの特徴が「白紙運動」だ。

A4サイズの真っ白い紙を掲げ「言いたいことはあるが、言えない」「白紙ならば、とがめられない」といった検閲や言論統制への抗議の意味が込められている。

当局は、抗議の封じ込めに必死だ。

1989年の天安門事件。

天安門事件のリーダー王丹氏(1989年)

「今回の学生運動は純粋に国を愛する人たちによる自発的なものです」

当時、学生運動のリーダーだった王丹氏。12月1日に都内で会見を開き、今回のデモについて語った。

天安門事件のリーダー王丹氏

「大学生たちが『自由を!さもなくば死を!』とシュプレヒコールをあげる映像を見て涙が出ました。そして希望をもらいました」

会見終了後、王丹氏に話を聞いた。

天安門事件を主導したとして逮捕、服役した王丹氏。

1998年にアメリカに亡命し、現在は台湾の大学で教鞭をとっている。

王丹氏は今回のデモについて、若者の経済面での困窮に加え、もうひとつ大きな要因があると指摘した。

■「ネット規制にデモの要因」天安門事件リーダー王丹氏が見る白紙運動

王丹氏

「習近平と若者が衝突しているのは、ネットの検閲にとても力を入れているからです。この10年、習近平はデジタルでも権力の集中を強化しました。若者が重要視しているのはネットでの自由です。それが大勢の若者が立ち上がった理由です」

そして今回のデモは天安門事件のときとは大きく異なる点があるという。

王丹氏

「1989年の時は、最初から『共産党政権は退陣せよ』とは言いませんでしたが、今回は最初から『共産党政権は退陣せよ』がスローガンです。若者は体制を変えないと、コロナの問題を解決できないと分かっています。30年前の私達より問題の本質を認識していると思います」

さらに…。

王丹氏

「今回の学生運動は『BE WATER』です」

香港民主化デモで取られた戦術「BE WATER」。水はとらえどころがないことなどから流動的、かつ変化するデモの形だ。

王丹氏

「組織がなくリーダーもいないので、彼らの戦略をつかめないのです。動員もSNSで行っています。1989年のときは軍隊が出動し、関係者を捕まえれば鎮圧できましたが、今回は鎮圧しようがないのです。共産党にとって、より頭を抱えることになると思います」

日下部正樹キャスター

「今ごろ、習近平さんは何を思っているんでしょうかね?」

王丹氏

「まず彼は非常に困惑していると思います。人々の不満がこんなに強烈だとは思ってもいなかったはずです。そして怒っていると思います。彼は自分が間違えたとは思っていないでしょう」

日下部キャスター

「中国共産党の幹部にとって脅威じゃないですか?」

王丹氏

「習近平世代は、時代の変化についていけていません。政府の力は強大ですが、民衆の抵抗する力も強くなり、やり方も成熟してきています」

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