月収250万円、48歳のTwitter元従業員が激怒「イーロン・マスクのせいでクリスマスプレゼントも買えません」

月収250万円、48歳のTwitter元従業員が激怒「イーロン・マスクのせいでクリスマスプレゼントも買えません」

 

従業員の6割をクビに

〈あなたのアクセストークンが削除されました〉

ポケットの中のスマホがブルブルと振動し、メリッサ・イングルさん(48歳、サンフランシスコ在住)は通知に気づいた。11月12日、11歳の娘と近所の商業施設に買い物に来た時のことだ。スマホを確認した瞬間、メリッサさんは悟った。

ツイッター社を解雇されたのだ―。

「アクセストークンは、ツイッター社のシステムに入るための『鍵』で、これが消えたということはクビを切られたということを意味します。私は契約社員として週40~60時間ほど働き、少ない月でも約1万8000ドル(約250万円。1ドル=140円で計算、以下同)をもらっていました。

しかし物価が高いサンフランシスコでは裕福とはいえません。家賃だけで1万ドル(約140万円)かかりますから。今年は家族や親戚にクリスマスプレゼントを買ってあげられるのか、それ以前に子どもを養っていけるのか……」

ツイッターは'06年に誕生したSNSで、140文字以内の短文や写真、動画を投稿できる。世界で2億を超える利用者がおり、日本でも約5895万人が使っている。

その巨大IT企業に異変が起きている。契約社員を含めて約1万3000人いた従業員のうち、約8100人が解雇されたのだ。

前代未聞の決断をしたのはイーロン・マスク氏(51歳)だ。電気自動車「テスラ」や民間宇宙会社「スペースX」の代表を務める異色の経営者で、有名な「ツイ廃」でもある。

赤字続きだったTwitter

〈鳥は放たれた〉

10月28日、マスク氏はツイッターの買収が完了したことを発表し、こう投稿した。そして怒濤のリストラを実施し、残された社員にも「長時間猛烈に働くか、会社を辞めるか」の選択を迫った。

なぜこんな暴挙に出たのか。それは、ツイッターが巨額の赤字を抱えていたからだ。

実はツイッターは、創業から'18年まで常に赤字だった。売上高の9割は広告収入で、膨らむ設備投資や人件費を賄いきれず'20年に再び赤字に転落。'21年の売上高は51億ドル(7140億円)で2.2億ドル(308億円)の赤字だった。

「経営の足を引っ張っていたのは、肥大化した福利厚生費や人件費でした。そこでマスク氏は、好待遇に群がるばかりで利益を出さない『コバンザメ』のような従業員をクビにしたのです」(国際投資アナリスト・大原浩氏)

ツイッター上のニュースから、利用者の興味がありそうなものを選ぶ。ツイッター上の投稿を監視し、規約に違反するアカウントを排除する。これらは解雇された社員の多くが担っていた仕事だ。

しかし自由に情報を投稿するSNSで、こうした仕事が必要なのか? マスク氏の答えは「NO」だった。その考えを象徴するかのように、トランプ前大統領をはじめ、停止状態だったアカウントを次々に凍結解除した。冒頭のメリッサ氏は憤る。

「私の仕事は政治関連の投稿をチェックすることでした。マスク氏は、ツイッターの治安がどれだけ重要か分かっていない。それどころか、私たちが凍結していたトランプを復活させるなんて……」

「遊園地のような職場」

マスク氏の粛清は、ツイッター日本法人にも及んだ。日本法人のオフィスは東京・京橋にあり、ゲーム機が置かれた部屋やヨガができるスペースも設けられている。壁には社員のスナップ写真が貼られ、社内にプリクラの機械まである「遊園地のような職場」だった。

ここで働いていた約270人の社員のうち、約200人が退職勧奨を受けたとみられる。日本では解雇規制があるので「即クビ」にはならないが、合意退職に向けた話し合いが続けられている。

大規模解雇後も、ツイッターは以前と変わりなく動き続けているように見える。しかしだからといって、経営状態が改善する保証はない。

投稿を確認してアカウントを停止できる社員は、数百人から15人ほどに減った。嘘や差別、過激な内容で溢れれば、企業は広告を取り下げる。実際、製薬大手ファイザー、自動車大手アウディ、フォルクスワーゲンなどが、広告を停止しており、マスク氏の動向次第では、ツイッターはあっという間に干上がってしまうだろう。

苦しい状態に置かれているのはツイッターだけではない。後編『メタとアマゾンも“大量解雇”で崩壊寸前!「メタバース事業」「アレクサ」で巨額赤字を垂れ流し』では、メタやアマゾンの状況を見ていこう。

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