「井上先生はもうすでに信徒になりました」旧統一教会側が参院選で安倍氏元秘書官を支援、宗教と政治の距離とは

「井上先生はもうすでに信徒になりました」旧統一教会側が参院選で安倍氏元秘書官を支援、宗教と政治の距離とは

安倍元総理を銃撃した山上徹也容疑者の母親が、旧統一教会に献金した金額が1億円に上るとみられることがわかりました。教団と政治家との関係をめぐっては、7月の参院選で、旧統一教会側が自民党の候補者を支援していたことが明らかになりました。

■“搬送先なかなか決まらず” 緊迫の無線記録が明らかに

7月14日の早朝、前日に弾痕とみられる穴が見つかった場所の周辺を捜査員が捜索しました。金属探知機を使って道路の亀裂を確認したり、双眼鏡で壁などを念入りに見たりしていました。

演説中に銃撃された安倍元総理。消防の緊迫の無線記録が明らかになりました。

午前11時32分

本部「救急指令、加害事故、出動せよ」

銃撃の直後、消防本部がこう命令しました。

午前11時35分

本部「高齢男性、拳銃で撃たれ、現在CPA(心肺停止)状態と思われます」

「救急車まもなく入ります!」

命令から5分後、救急隊が報告します。

午前11時37分

現場「現着。状況報告する。自民党の参議院候補の演説会場です」

到着の6分後の11時43分、安倍氏を救急車に収容。ドクターヘリとの合流地点に向かいます。

11時48分

現場「頸部に銃創あり。初期波形にあっては心静止」

11時52分

現場「搬送先分かっていますか?」

本部「現在のところ搬送先等決定しておらず」

搬送先がなかなか決まらず、現場が何度も問い合わせます。

午後0時11分

現場「病院等まだ決まっておりませんか?」

午後0時12分

本部「橿原の医大、橿原の医大となりました」

発生から41分後の午後0時13分、ドクターヘリが離陸。奈良県立医大で大量の輸血などの処置が行われましたが、午後5時3分、安倍元総理の死亡が確認されました。

■安倍元総理の国葬 9月に全額国費で

事件から7月15日で一週間。現場に設けられた献花台には多くの人が訪れていました。

そうしたなか、岸田総理は…

「この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします」

これは、憲政史上最長の在職日数やこれまでの功績を勘案したものだとしています。政府関係者によると、9月に東京の日本武道館で行うことを調整していて、全額国費を想定しています。

岸田総理は、今回の事件について「率直に言って、警備態勢に問題があったと考えている。全面的に点検をし、正すべきことは早急に正してもらいたい」と述べました。

■動機や計画を詳細に供述「銃は自分の知識とYouTubeを見て作った」

山上徹也容疑者(41)の供述

「私が殺人未遂という罪で逮捕されたこともわかっています」

逮捕事実を告げられ、こう話したという山上徹也容疑者。私たちの取材で事件当日の逮捕直後の取り調べで山上容疑者が自ら事件の動機や計画などを詳細に供述していたことが分かりました。

「銃は自分の知識とYouTubeを見てつくった。散弾銃は去年の春頃からつくりはじめた」

3年間、自衛官を務めた山上容疑者。 手製の銃の製造には「自分の知識」をいかしたと供述しています。

「弾はネットで空薬きょうを買ってから火薬を詰めた。その空薬きょうに火薬を詰めた弾6個をまとめて、1発の筒のようにした。1発撃てば6発がはじけ飛ぶ感じになる」

山上容疑者は銃以外にも複数の爆弾をつくったと話しています。

「圧力鍋の爆弾などを最初につくった。 試しに爆発させたりしたが、特定の誰かを狙うのは向いていなかった」

■犯行前日「周りにSPがいて何もできなかった」

犯行前日の7月7日、山上容疑者は岡山県に向かいました。JNNは現地の山上容疑者とみられる人物の映像を独自に入手。肩からバッグをかけ、カーゴパンツ姿の男が映っていました。

山上容疑者の供述

「実際に安倍元総理を殺そうと初めて動いたのが、前日の岡山県だった。3発、発射できる銃を持って岡山まで行った」

この日、安倍元総理は岡山市民会館で 自民党候補者の応援演説を行っていたのです。

映像は演説の約1時間半前に付近で撮られたものです。しかし、計画は実行されませんでした。

山上容疑者の供述

「安倍元総理が会場に入るときか出るときを狙っていたが、裏口からの入退場で周りにSPがいるので、結局、その日は何もできなかった」

■旧統一教会への強い恨み「母親が多額のお金を振り込んで破産したのが元凶」

犯行の動機につながる供述からは 旧統一教会に対する“強い恨み”が読み取れます。

山上容疑者の供述

「20~30年前に母親が統一教会に入会した。 その後、統一教会に多額のお金を振り込んだ影響で破産した。それが、そもそもの元凶。そのころから統一教会を恨んでいた」

捜査関係者への取材で、山上容疑者の母親は旧統一教会、いまの「世界平和統一家庭連合」に総額1億円を献金したとの情報があることがわかりました。これに対して、旧統一教会は、「2005年からの約10年間であわせて5000万円が返金された」とコメントしています。

山上容疑者は統一教会の創設者の妻で、 現在の団体の総裁を務める韓鶴子氏も狙っていました。

山上容疑者の供述

「韓を日本に連れてきた岸元総理の孫ということで、安倍元総理も統一教会と一緒と思っていた」

旧統一教会は会見で岸元総理との関係についてこう説明しています。

世界平和統一家庭連合 田中富弘会長

「私たち法人との関係というよりは、創設者・文鮮明総裁、鶴子総裁が推進する平和運動に強く理解を深めてくださっていたというふうに私は理解しています」

そして犯行当日、 山上容疑者は安倍元総理の背後から近づき、 2発、発砲したのです。発砲に至るまでSPらが気づくことはありませんでした。

山上容疑者の供述

「安倍元総理を狙って撃てば、死ぬかもしれないことはわかっていたが、どうしても、統一教会が許せず、そこにつながっている安倍元総理を散弾銃で撃った」

■参院選で候補者を支援 旧統一教会と自民党の“近い距離”

旧統一教会と自民党の近い関係については、 度々、指摘されてきました。第一次安倍政権で、総理秘書官を務めた井上義行氏。

今回の参院選で、自民党から比例で出馬し、当選を果たしました。

井上氏は、事件の2日前の7月6日、旧統一教会の関連団体の集会に参加していました。

旧統一教会側の関係者(6日の集会)

「うちの教会、うちの組織もたーくさんの問題があります。この問題を支援してくださる方が、井上義行先生でございまーす! 井上先生はもうすでに信徒になりました。私も、大好きになりました。戦いをするならば、必ず勝たないといけない」

井上氏の事務所と、旧統一教会側の双方に取材したところ、井上氏は旧統一教会の「賛同会員」で、今回の参院選で教団側の支援を受けていたことを認めました。

井上義行氏(6日の集会)

「私は正直に言っちゃっていいんですか。同性婚は反対と言うことを。今大炎上なんで、トレンド入りしました。私は信念で言ってるんだ。だって私は、同性婚には反対ということを信念をもって言い続けます」

集会参加者

「そうだー!」

教団への献金などによる被害者を救済してきた弁護士は。

全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士(7月12日)

「今回の選挙でも、あるいはその前の選挙でも、特定の自民党の候補者を組織推薦候補として応援をしてきた。それに信者組織は動員をかけてやってきた」

政教分離の原則がある中、政治家と宗教の距離の近さが浮き彫りとなりました。

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