SP7人、県連スタッフ15人いたにもかかわらず…背後の警備に隙、元警視庁刑事「ミスとしか言えない」
◇安倍元首相 演説中に銃撃、死亡
応援演説中に約3メートルの至近距離から銃撃された安倍元首相。容疑者がそれだけ近くに迫っていたにもかかわらず、警護官(SP)らは凶行を防ぐことができなかった。元警視庁刑事の吉川祐二氏は「結果的に警備のミスとしか言えない」と体制の甘さを指摘した。
自民党奈良県連などによると、現場では当時、警視庁や奈良県警のSP7人、県連のスタッフ15人が警備や警護にあたっていた。街頭演説時の警護について、吉川氏は「警護対象者を中心に、複数のSPが円形状に配置される。SPは対象者に背中を向けて立ち、周囲の警戒にあたる」としたが「映像を見る限りでは、その態勢がしっかりつくられていなかった」と語った。
安倍氏の背中側にも警備はいたが、銃撃を許した。吉川氏は「容疑者が安倍氏に迫った際、背中側には警察官らしき人が2人いた。1人は不審者に気がついたのか、もう1人に耳打ちした。本来はこの時に不審者に詰め寄るべきだった。銃撃以前に、至近距離の背後に入られた時点で警護は失敗だ」と語った。
安倍氏の奈良入りは7日午後に急きょ決定。「場所が決まれば警備計画は立てられる。時間は問題ではない」とし「問題があったとすれば、警戒の密度、警護員の認識だろう。怪しい人には職務質問し、不審者と判断すれば張り付いて対応すべき。ただ、聴衆の多くがマスクをしていて顔が見えづらく、不審者の判断が付きにくいことが影響したかもしれない」と話した。一方、別の警視庁OBは「現場では“銃がカメラの望遠レンズのように見えた”との声がある。それで不審者と判断するに至らなかったのでは」と指摘。その上で「緩みもあったのかもしれない」と苦言を呈した。
日本ボディーガード協会の阿久津良樹会長は「映像を見ると、SPが1発目で反応できておらず、2発目も撃たせてしまった。犯人は3メートルという距離にいたのに、状況を認識できていなかったのでは」と指摘。「守るべき範囲に入ってきた人物には気づくはずだ」と疑問を呈した上で「周囲を認識し、物事を正確に捉える能力。この本質的な部分が足りていなかったのではないだろうか」と話した。
