「これ以上節電したら倒れてしまう」 猛暑下の節電要請に悲鳴

「これ以上節電したら倒れてしまう」 猛暑下の節電要請に悲鳴

 7年ぶりに「節電の夏」が始まった。政府は1日から、電力需給の逼迫(ひっぱく)が懸念されるとして全国の家庭や企業に節電を要請。数値目標は定めず、生活や経済活動に支障のない範囲での取り組みとなる。ただ、既に節電対策を進めている人や企業も多く、危険な暑さも続いている。「これ以上何をすれば」と困惑の声も上がる。

 ◇中華料理店、調理場は40度超も

 「こんな猛暑の中、これ以上節電したら倒れてしまう」。大阪市福島区の中華料理店「マルイチ」で、店長の畑一郎さん(62)は汗だくになりながら中華鍋を振っていた。

 この日、大阪市内は初の猛暑日となる38・4度を記録し、7月の観測史上最高に。連日の暑さに加え、火を使うため、畑さんの調理場では室内温度が40度を超えることもあるという。

 エアコンは客席に2台と調理場に1台あり、いずれも設定温度は25度。節電のため、扇風機で涼しい客席の空気を調理場に送るようにしている。昼間の営業が終わると店内の電気を全て消したり、ガスコンロの火をこまめに消したりと努力を続けてきた。畑さんは「さらに節電しろと言われたらエアコンの温度を上げるしかないが、それは無理だ」と厳しい表情で話した。

 ◇役所・企業あの手この手

 大阪府箕面市役所ではこの日午後5時、庁舎内の照明を一斉消灯。庶務担当がスイッチを切ると、職員らは「あっ」「節電や」と天井を見上げ、「はよ帰らな」との声も漏れた。通常勤務は5時15分までなので、見にくそうに紙の資料に目を近づける職員も。男性職員は「仕事はしにくいけれど、節電しないといけないと改めて思った。家でも無駄な電気は消します」と苦笑いした。市営繕室の井手本晃室長は「一斉に暗くなると節電の取り組みを実感できるし、残業防止の効果はあると思う」と話した。

 阪急電鉄などを傘下に持つ阪急阪神ホールディングスは、既にオフィスで不要な照明を減らすなどの節電対策を実施。今後、電力の余力を示す供給予備率が3%未満となって「電力需給逼迫警報」が発令された場合は、消灯範囲を鉄道会社の車両や駅などに広げるとしている。

 JR西日本も電車の加速時間を減らす「省エネ運転」や車両内の空調温度を低すぎないように調節するなどしている。鉄道関係者からは「ずっと節電を続けており、これ以上は難しい」との声が上がる。近鉄百貨店でも、既に売り場の照明に電力消費が少ないLED(発光ダイオード)を導入。従業員が控えるバックヤードで照明を間引くなどしている。

 江崎グリコは、大阪・ミナミにある巨大電光看板(高さ約20メートル、幅約10メートル)について、日没30分後から午後9時までの夜間点灯を通常通り実施する。看板は2011年3月の東日本大震災と東京電力の原発事故による電力不足を受けた際は、一時消灯していた。

 一方、関西電力は、他社からの電力融通を受けても夏場は7月の電力需給が最も厳しいとの見通しを示す。7基ある原発のうち稼働しているのは大飯原発3号機(福井県おおい町)のみ。定期検査中の同4号機で配管に不具合が判明し、4日に見込んでいた運転時期がずれ込み、予備率は安定供給に必要なラインとなる3・0%にまで落ち込むとしていた。その後、同4号機が7月中旬に稼働する見込みが立ったなどとして、予備率は4・0%程度に改善するとしている。ただ、トラブルが発生すれば需給は逼迫しかねず、関電は企業や家庭に節電を要請している。

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