健康のカギは食前のチョコレート?「間食」で栄養を摂る健康術を医師が解説

健康のカギは食前のチョコレート?「間食」で栄養を摂る健康術を医師が解説

「間食はやめる必要も罪悪感を覚える必要もありません」ーーそう聞いて、驚くかたは多いと思います。栄養価の高いものを「間食」で摂る食事術が、継続性が高く実践しやすい健康法として注目されています。『医師が教える 最強の間食術』(アスコム)の著者で医師の鈴木幹啓さんに間食がなぜ有効なのか、どんな食材が適しているのか教えてもらいました。

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間食のメリット

健康のベースは食生活を踏まえた日常生活の過ごし方にあり、「健康のために食生活を見直してほしい」と訴える機会も多いです。でも、食生活の改善には強い意志と労力・時間がかかりますし、私自身も完璧にはできていないのでできない人を責められません。

そこで注目したのが、「間食」です。間食=太る=不健康というイメージを持っているかたも少なくないでしょう。しかし食材や量を適切なものにすれば、次のような効果が期待できます。

・空腹による食事でのドカ食いを防ぐ

・食後血糖値の急上昇を防ぎ、血糖値が安定する

・空腹によるストレスや集中力の低下が防げる

私も間食によって、4か月で24kgのダイエットに成功しました。そして、今もリバウンドすることなく体重をキープできています。体に無理がくることもなく、すこぶる快調です。

間食選びの3つのポイントと適した食材

私が間食としておすすめしたいのは、次の3つの要素を含んだ食べ物です。

・老化を防ぐ「ポリフェノール」がたくさん入ったもの

・太りにくいもの(GI値が低いもの)

・おいしくて、手軽に食べられる甘いもの

まずはそれぞれのメリットをご紹介します。

老化を防ぐポリフェノールはこまめな摂取が必要

老化によって血管・内臓などの働きが衰え、さまざまな病気や症状が引き起こされます。積極的に摂りたい栄養素が、老化の元となる活性酸素から身を守る抗酸化作用を持つポリフェノールです。体内で蓄積ができず、摂取してから効果が続くのは3~4時間なので、できるだけこまめに摂りたい栄養素です。

低GI値食品は食後血糖値が上がりづらい

食べ物の「太る・太らない」の指標として知ってほしいのがGI(グリセミック・インデックス)値です。この数値が高いほど、食後血糖値が上昇しやすい食べ物とされています。食後に血糖値が急上昇すると、肥満・認知症・脳卒中・心筋梗塞などのリスクが高まるため、GI値の低い食べ物を選んで食べることが大切です。

「甘いもの=悪いもの」ではない

「甘いもの=悪いもの」というイメージをお持ちのかたは多いかもしれませんが、悪いことばかりではありません。甘いものを食べると幸せホルモンが分泌され、幸福感に満たされます。また、甘いものには中毒性がありますが、裏を返せば習慣化しやすいということです。

中でもチョコレートがいい理由

先ほどあげた3つの要素を満たす代表例がバナナやりんご、いちご、グレープフルーツ、ぶどうといったフルーツです。ただ、厚生労働省が間食の目安として提唱している1日200kcalで考えると、バナナなら2本程度、りんご約1個半、いちご30~40粒程度、グレープフルーツだと約2個半、ぶどうだと25~30粒程度…となかなかの量になってしまいます。

また、先にお伝えしたようにポリフェノールは3~4時間しか効果がもたないことを考えると、4~5回に分けて食べるのが最適です。毎回皮をむいたりといった手間を考えると、フルーツを毎日食べるのは続けるのが大変そうです。

簡単にポリフェノールが摂取できる高カカオチョコレート

フルーツよりも手軽に食べられて、なおかつポリフェノールをはじめとした多くの栄養素を含んでいるのが高カカオチョコレート(カカオ成分を70%以上含んだチョコレート)です。製品によって違いはあるものの、同量で比較した場合に72%のチョコレートでりんごの約12倍、バナナの約7倍と、圧倒的なポリフェノール量を誇ります。

「チョコレートは太りやすいのでは?」という点が気になると思いますが、フルーツと比べてもGI値が低く、含まれている脂質も太りにくい種類のものです。よほど大量に食べない限り、これだけで太る心配はありません。

効果的なチョコレートの食べ方

1日の理想のポリフェノール摂取量は1500mg以上と言われているのですが、これに対し、日本人は男性でおよそ1000mg/日、女性でおよそ900mg/日のポリフェノールを摂取するにとどまり、足りていません。製品にもよりますが、72%以上の高カカオチョコレートを25gほど食べることで、680mg以上のポリフェノールが摂取でき、不足分を十分に補える計算になります。

基本的には好きなときに食べていただいていいのですが、3〜4時間に一度の補給を目安に、1ピース5gの高カカオチョコレートを5回に分けて食べる「チョコちょこ食べ」を私はおすすめしています。

【1】朝起きてすぐの「目覚ましチョコ」

【2】朝食前に「チョコファースト」

【3】昼食前に「チョコファースト」

【4】14~16時の「ごぼうびチョコ」(忘れたときは、寝る前に「おやすみチョコ」)

【5】夕食前に「チョコファースト」

チョコファーストで食後血糖値の急上昇も予防

食物繊維を多く含む野菜を食事の最初に摂取することで食後血糖値の急上昇を抑える、ベジファーストと呼ばれる食事法があります。高カカオチョコレートも食物繊維が豊富なので、同等の効果が期待できるんです。

「チョコファースト」は食前でも構いませんが、できれば食事までの30分以内でできるだけ間を空けたほうがベストです。食事を作る前や外食に出かける前など、できる範囲で行ってみてください。

◆教えてくれたのは:医師・鈴木幹啓さん

すずき・みきひろ。日本小児科学会認定小児科専門医。すずきこどもクリニック院長。株式会社やさしさ代表取締役。株式会社オンラインドクター.com代表取締役。2010年、自治医科大学卒業から9年で、現在のクリニックを開業。1日200人近く診察し、日本一忙しい小児科医と称される。診察に従事する傍ら「親・子・孫の三世代が集まれるような地域づくりをしたい」という思いから、2016年に、介護サービス付き高齢者住宅や子どもが遊べる公園、商業施設がそろった「海賊公園スクエア」をオープン。

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