78歳の釜本邦茂氏が考える免許返納「ハンドルを置く時期は自分で決めたい」
5月13日から75歳以上のドライバーの免許更新に新たに「運転技能検査」が加わった。「認知機能検査」を受ける義務もあり、免許更新のハードルが上がっている。警察庁が「免許返納」を勧めている流れもあり、最近では、西川きよし(75)や二之湯智・国家公安委員長(77)など有名人の免許返納が相次いでいる。一方で「それでも免許は返納したくない」という人たちもいる。サッカー解説者・釜本邦茂氏(78)に聞いた。
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同世代の人と比べて運転には自信があり、今も毎日ハンドルを握っています。自分ではまだまだ若いと思うが、それでも歳を重ねるとだんだん運転が横着になるというか、反応が遅くなっているようです。
70歳を過ぎた頃から家内や子供に「夜は運転しないように」と言われ、その頃は「年寄り扱いするな」と思っていましたが、高速道路を運転中にトンネルに入った時、急に前が見えにくくなりヒヤッとしたことがありました。そこで暗いと見えにくくなったことを自覚し、以降は夜の運転を控えるようになりました。
今は自分の中でルールを作り、自宅から事務所まで通勤する際は朝の通勤ラッシュを避けて遅く出発し、陽が高いうちに帰宅するようにしています。長距離の運転もできるだけ避け、家の近所や事務所までの慣れた道だけ走るようになりました。
弁護士になった孫娘がうるさいんですよ。仕事柄、高齢者の交通事故の実態を見ることが多いそうで、「できるだけ早く返納して」と言われ続けています。家内や子供に言われると反発したくなるが、孫に言われると素直に聞いてしまう。とはいえ、生活の一部だった車の運転はまだまだやめたくないので、免許返納ではなく、“自粛”ということにしています。
ただ、更新時の75歳の高齢者講習の認知機能検査はあんなに厳しくする必要があるのか。技能試験だけで十分なはずなのに、まるで年寄りに運転を諦めさせるための試験のようにも見える。高齢者もいろいろ考えているし、ハンドルを置く時期も自分で決めたい。それを理解してもらい、廃止してほしいですね。
ベンツを愛する谷隼人(75)「車は移動手段以上のもの。免許返納は想像できない」
日本がますます高齢化への道を歩む中で、真剣に考えるべき問題が高齢者の運転。警察庁が「免許返納」を勧めている流れもあり、最近では、西川きよし(75)や二之湯智・国家公安委員長(77)など有名人の免許返納が相次いでいるが、一方で「それでも免許は返納したくない」という人たちもいる。俳優・谷隼人氏(75)に聞いた。
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ドラマや映画でのアクションシーンのイメージが強いかもしれませんが、こう見えて安全運転派で、擦ったこともありません。今も仕事や買い物で週4~5回は運転しています。
もともとはオートバイが好きで、16歳から乗っています。それもあって、ドラマ『キイハンター』(TBS系)ではバイクに乗るシーンが多かった。20歳で車の免許を取ってからは並行輸入のアメ車、アルファロメオ、30代になってBMW、40代から今に至るまではベンツと、年代に合わせて乗り換えてきました。
僕らの時代は、俳優としてキャリアを積んで、頑張った自分へのご褒美が車だった。「俺もこんな車に乗れるようになったんだぞ」という周囲へのアピールでもありました。だから車は移動手段のためだけでなく、それ以上のものなんです。
当時は先輩方もいい車に乗っていました。鶴田浩二さん、高倉健さんはポルシェ、千葉真一さんはスポーツタイプだった。
たとえ自分がその車を買うことができても、先輩と同じ格の車には乗ってはいけない、そんな暗黙の了解がありました。例えば健さんがポルシェなら自分はBMWというように。立場をわきまえつつ、好みやステイタスで選んでいました。
昔はひとりで早朝の海を見に行くのが好きでしたね。太陽が昇っていく様を見ていると元気が出る。仕事が忙しいなか、車はひとりになれる、リフレッシュできる大事な空間なんです。免許を返納して車と決別する自分を想像できないというのが、正直なところです。
