ベランダから幼児転落、窓開けがちな初夏は要注意…専門家「10秒で手すり乗り越える」
マンションのベランダから幼い子供が誤って転落する事故が各地で相次いでいる。新型コロナウイルスの流行で、換気の頻度が増えており、外出気分を味わうためベランダにアウトドア用のイスなどを置いて活用する動きも広がる。子供が手すりを乗り越えてしまうリスクが高まっているとして、消費者庁が注意を呼びかけている。
目を離した隙に
3月16日昼、滋賀県守山市のマンション駐車場で2歳男児が倒れているのが見つかり、後に死亡が確認された。県警は男児が4階の自宅ベランダの手すり(高さ約1メートル)をよじ登り、誤って転落したとみている。
県警によると、男児は自宅で母親と一緒にいたが、母親は「(男児とは)別の部屋でうとうとしていて、目を離した」と説明。室内からベランダに出る窓は施錠されていたが、男児は最近、自分で鍵を開けられるようになっていたという。
こうした事故は後を絶たない。東京消防庁によると、管内で2017~21年にマンションなどの2階以上の高所から5歳以下の子供が転落した事故は62件起きている。大阪市消防局管内でも、同じ5年間で計12件の事故が起きているという。
冷暖房を使わず、窓を開けることが多くなる初夏と秋は、特に事故が目立つ。消費者庁が東京消防庁管内で15~19年に起きた子供の転落事故70件を分析したところ、5~6月が19件(27%)、9~10月が21件(30%)に上り、この4か月で全体の6割近くを占めた。
コロナ禍では、換気のために窓を開ける機会が多くなった。外出を自粛してベランダにテーブルやイスを置いてくつろぐ「ベランピング」も人気となっているが、消費者庁の担当者は「片付けず放置するのは避けるべきだ」と強調する。
転落を防ぐには、こうした踏み台になるようなものを手すり付近に置かないことが大切だ。エアコンの室外機や植木鉢なども子供が足をかけやすい。ベランダに勝手に出ないようにするため、窓の高い位置に、通常の鍵とは別の、補助的な鍵を取り付ける方法も有効だという。
手すりの高さ
現行の建築基準法が不十分との声も上がる。
同法はベランダ(2階以上)の手すりの高さを1・1メートル以上と定めているが、4歳児の平均身長は約1メートル。子供の事故防止に取り組むNPO法人「Safe Kids Japan」(東京)が昨年11月に行った実証実験では、3~6歳児の116人中、7割超の89人が1・2メートルの手すりを自力でよじ登ったという。
同法人理事で、産業技術総合研究所の大野美喜子研究員は「10秒ほどで手すりを乗り越えられ、踏み台になるものがあればさらに時間は短くなる。基準の見直しを含め国が対策を検討すべきだ」と指摘している。
