たった1人陽性で都市全域封鎖 北京近郊、住民の不満は次々“削除”

たった1人陽性で都市全域封鎖 北京近郊、住民の不満は次々“削除”

 厳格な行動制限などで新型コロナウイルスの感染を封じ込める「ゼロコロナ」政策を掲げる中国の習近平指導部が、正念場を迎えている。中国最大の経済都市・上海市では1カ月以上にわたり都市封鎖(ロックダウン)が続くほか、首都・北京市でも感染が広がり始めた。中国各地では強引な隔離措置が取られ、市民の反発は強まっている。有識者からはゼロコロナ政策への疑問の声が次々と上がり、当局は抑え込みに必死だ。

 ◇幹部ら問責におびえ?

 「たった1人(の陽性者)で全面封鎖か」。中国のSNS(ネット交流サービス)に4月末、市民がこんな投稿をした。北京市と隣接する河北省三河市と河南省三門峡市が27日から28日にかけ、いずれも感染者が1人だけにもかかわらず、市域全体の都市封鎖に踏み切ったからだ。背景には、各地方政府の幹部が、感染拡大を招けば責任を問われると極度に恐れていることがあるとみられる。

 SNS上には、都市封鎖された街で当局が住宅の入り口にフェンスなどを設置し、住民の抗議を受ける様子などが拡散されている。こうした写真や映像、住民の不満の声などの投稿は当局によって次々と削除されている。

 中国国家衛生健康委員会が発表した4月29日の中国本土の市中感染者数(無症状患者を含む)は1万779人。4月以降の感染者数は延べ60万人に迫り、チベット自治区を除く全ての省・自治区・直轄市に感染が広がっている。最も深刻な上海市は1万181人と減少傾向にあるものの、依然として多くの地域で厳しい外出制限が続き、解除のめどは立っていない。

 北京市の4月29日の新規感染者数は54人と上海市ほど深刻ではないが、市当局の危機感は強い。今週、市のほぼ全域の約2000万人を対象に大規模PCR検査を実施。感染者が確認された居住区を次々と封鎖するなど対策を強化している。同30日から労働節(メーデー)の大型連休が始まったが、市当局は市外への移動を控えるよう通知。公共施設などはPCR検査の陰性証明の提示を義務づけている。

 ◇専門家の批判も次々封殺

 ゼロコロナ政策に対し、有識者からは疑問の声が上がっている。

 中国の感染症対策の第一人者、鍾南山氏は4月上旬、中国科学院の英文の学術誌で「長期的に続けるのは困難だ」との見解を発表した。共産党系メディアはすぐに「現段階で完全な方針転換は適さない。やはり『ゼロコロナ』を堅持すべきだ」という鐘氏自身の発言を大々的に報じて火消しを図った。

 上海長征医院元副院長の繆暁輝氏は4月上旬、SNSで、湖北省武漢市が2020年春に都市封鎖をした際に、がんや糖尿病など慢性疾患による死亡率や、自殺率が増加したという衛生当局の調査データを示しながら、ゼロコロナ政策によってコロナ以外の医療が圧迫されていると指摘。都市封鎖が続く上海について「コロナの死者数は(ゼロコロナ政策が原因で死亡した)糖尿病患者の推定値よりはるかに少ない」と政策の見直しを求めた。投稿は削除されたが、転載されて波紋を呼んだ。

 上海財経大の劉小兵教授も4月中旬、1人でも感染が疑われると画一的に建物や地区を封鎖する手法の問題点を指摘。「人々の恐怖を高め、大規模な人災につながる」と批判した。この文章も削除されて中国では閲覧できなくなった。

 習指導部はゼロコロナ政策によるコロナ封じ込めを中国の「制度的優位性」の成果と誇ってきた。今年秋には5年に1度の中国共産党大会を控え、中国は政治の季節に入っている。この時期にゼロコロナ政策を転換すれば、習指導部が自ら誤りを認めることになりかねない。中国国家衛生健康委の専門家は4月29日、コロナ対策を「人民戦争」と表現し、ゼロコロナ継続の重要性を改めて強調した。

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