観光船捜索続く…10人の死亡確認 男性7人女性3人 「悪天候の中なぜ船を出したのか?」疑問の声も
北海道の知床半島沖で消息を絶った観光船の捜索が続く中、24日午後、新たに観光船に乗っていたとみられる1人が発見されました。このほか24日の捜索では、午前中に9人が見つかっていますが、10人全員の死亡が確認されました。
第一管区海上保安本部によりますと、24日午後2時46分、航空自衛隊から新たに1人を救助したという連絡がありました。これで、午前中に知床岬付近で発見された9人と合わせて10人が救助されましたが、全員の死亡が確認されました。
10人のうち7人が男性で3人が女性です。子どもとみられる遭難者は、この中にはいないということです。
第一管区海上保安本部によりますと、23日午後1時15分ごろ、知床半島のオホーツク海側の「カシュニの滝」付近の海域で「知床遊覧船」所有の観光船「KAZU I(カズワン)」の乗組員から「船首部分が浸水し、沈みかかっている」と通報がありました。
船は19トン、全長12メートルで子ども2人を含む26人が乗っていましたが、午後2時すぎ、会社に「30度傾いている」と連絡したのを最後に消息が途絶えました。
観光船には、子ども2人を含む乗客24人と船長、甲板員の合わせて26人が乗っていて、「知床遊覧船」は全員、救命胴衣を着用していたと説明しています。
札幌管区気象台によりますと、現場付近には、23日午前から強風と波浪の注意報が出されていました。
海水温は、2℃から3℃くらいということです。
地元の漁師によりますと、23日は午前7時ごろは波は穏やかでしたが、午前10時以降は天気が荒れるという情報があったため、漁船は午前中で港に引き返していました。漁師の間では「悪天候の中、なぜ船を出したのか?」と疑問の声が上がっています。
また、地元の別の観光船の乗組員は、23日の海の状況を見て、「KAZU I」の船長に対し「行くな」と止めたものの、船長はそのまま船を出したことを明らかにしました。この観光船乗組員によりますと、「KAZU I」は、去年座礁し、冬の間陸揚げされているとき船首に亀裂があったにもかかわらず、修理をせずに、そのまま海に下ろしていたとも指摘しています。
一方、第一管区海上保安本部は、24日、「KAZU I」の船長と甲板員の氏名を公表しました。
船長:北海道斜里町 豊田徳幸(とよだ・のりゆき)さん54歳
甲板員:東京都調布市 曽山聖(そやま・あきら)さん27歳
2人とも、現在、連絡がとれなくなっているということです。