スマホに劣るカーナビはもういらない、トヨタが革命に着手

スマホに劣るカーナビはもういらない、トヨタが革命に着手

<地図データ会社との連携でトヨタのカーナビが生まれ変わる。純正カーナビもスマートフォン並みにラクラク更新される時代がやってきた>

地図更新のためのCDやUSBメモリ、ディーラー通いは、もう必要ない。カーナビに新たな時代がやってきた。

トヨタは、次世代インフォテインメント・システムを搭載した車に向けて、スマートでオープンソースかつ適応性のある地図を作製するために、ウェブ型地図プラットフォームを開発するマップボックス社と提携。自動車搭載ナビの「古くて使えない」地図に別れを告げようとしている。

この技術は、すでに北米トヨタのピックアップトラック「タンドラ」や、レクサスのクロスオーバーSUV「NX」などに導入されている。

市場調査会社JDパワーが発表した2021年米国新車初期品質調査によれば、カーオーナーが抱く不満のトップ3に、アプリの使い勝手、スマートフォンと車両の接続の問題が含まれている。マップボックスがめざすのは、こうした不満を両方とも解消することだ。

「車を購入した顧客は、時が経って搭載カーナビの情報が古くなると、高価なシステムにそっぽを向いてスマートフォンに鞍替えし、Wazeなどのナビアプリを使い始める」と、マップボックスのピーター・シロタCEOは本誌に語る。「自動車を製造する側は、それを避けたいと考えている。だから、没入型体験ができる環境を作ろうとしている。求められているのは、携帯電話が提供するナビゲーションの正確さと品質、そしてハードウェアが提供できる安全性と双方向性だ」

常に最新の地図に更新

通常、車の購入時に取り付けられている純正カーナビの地図は、データが固定されており、変わることがない。スマートフォンの地図は常に更新されているが、カーナビの地図は時と共に古くなる。

だがマップボックスの地図は、車を走らせるたびに更新される。数年に一度、大きな更新情報をダウンロードするかわりに、トヨタが展開する通信サポートサービスT-Connect(ティーコネクト)に加入していれば、小さな更新で済む。

マップボックスは、トヨタをはじめさまざまな企業のデータを統合し、カスタマイズ可能な地図システムを構築することができる。現在、同社には350万人以上の開発者が登録し、アクティブユーザーは6億5000万人、週に21億マイルのデータを収集する。

「オール・トレイルズ、ペロトン、ポラリス、ニューヨーク・タイムズなどが提供する何万ものアプリケーションがマップボックスを利用している」とシロタは言う。「当社の顧客は最初から、個々の特定の使用事例に適応する地域を対象とした、使いやすい機能を提供したいと考える企業ばかりだ。様々なマップは見たところ、まったく異なるものだが、同じマップボックスのプラットフォームの上に乗っている」

ここでカギとなる要素のひとつは、季節や運転者、ブランド、あるいは地域(日本、ヨーロッパ、北米となど)にあわせて、地図の再設計が可能なことだ。

時とともに進化するナビ

「この技術を北米トヨタで実装したことには、大きな意味があった。北米トヨタは初めて、設計の自主性を認められた。従来は、設計の多くが日本で行われていた。日本のエンジニアは彼らが適切だと考える設計を行い、それを海外の市場にも展開する」と、北米トヨタ自動車のチーフエンジニア、ブライアン・イノウエは本誌に語った。

顧客はそれぞれ地図に入れたいデータを選択することができる。業界によっては、特定のレイヤーやツールを特に必要とする場合があるが、それは新車購入時のオプションのように選択することが可能だ。

「トヨタのような企業であれば、データ全体から好きなブロックを選ぶことができる」と、シロタはいう。「集積したデータ全体を必要とする顧客もいれば、その一部を使用する顧客もいる。同じトヨタ自動車のなかでも異なる形で導入する場合は、データの異なる部分を使用する。欧州のトヨタは、より全体的な使い方をしている。北米トヨタは違う」

それはモバイルのスピード感を車に持ち込むということだ。そして、スマートフォンの世界では、物事は頻繁に変化し、更新される。

「もちろん、誰だって、古くなっても変わらないナビゲーションシステムを顧客に提供したくはないはずだ。顧客から得た情報をもとに、時とともに進化させたいはずだ。その進化をわれわれは加速する」と、マップボックスの自動車・モビリティ担当副社長アレックス・バースは本誌に語った。「毎年の一部改良の時だけでなく、週単位でアップデートや機能強化を提供することができる」

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