ツイッター、マスク氏５兆円提案で防衛策－毒薬条項検討と関係者

米電気自動車（ＥＶ）メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者（ＣＥＯ）による買収および非公開化の提案を受け、米ツイッターの取締役会は、防衛策の検討に動いている。非公開情報を理由に事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。

関係者によれば、買収主体だけが行使できないオプション（新株予約権）を既存株主に付与するライツプラン（ポイズンピル＝毒薬条項）が選択肢の一つとして検討され、15日にもツイッターが発表する可能性がある。

関係者の１人によると、買収価格が低過ぎると主張する別のシナリオも選択肢という。ツイッターは、マスク氏の提案が会社と全ての株主の最善の利益になるか検討するため、14日に取締役会を開いた。

事情に詳しい関係者が匿名を条件に語ったところでは、ツイッターのパラグ・アグラワルＣＥＯは、マスク氏からの買収案について、取締役会が評価を続けている段階だと社員に説明した。

関係者によれば、14日午後に約30分開いた全体会議で、起こり得るシナリオについてスタッフが質問したが、アグラワルＣＥＯは、取締役会がどの方向に傾いているかはっきりと示唆せず、株主にとって最善の選択肢は何かを判断する「厳しいプロセス」だと説明するにとどめたという。

ツイッターＣＥＯ、マスク氏提案を取締役会が評価中と説明－関係者

米証券取引委員会（ＳＥＣ）に提出された届け出資料で、ツイッター株式の９％強を既に取得したマスク氏が、残りの同社株を１株54.2ドルで買収し、非公開化する提案を行ったことが14日に明らかになった。同氏は「最良かつ最終の提案」だとしている。同社の価値を430億ドル（約５兆4000億円）と評価する計算となる。

マスク氏、ツイッターに買収提案－全株取得・非公開化目指す

ツイッターはマスク氏の提案、取締役会の戦略についてコメントを控えている。

ポイズンピルによる防衛策は、割安価格で株式を取得可能な新株予約権を既存株主に付与することで、全体の発行数に占める買収主体の保有株比率を実質的に低下させる。アクティビスト（物言う投資家）の攻勢や敵対的買収に直面する状況で用いられることが多い。

ツイッター取締役会がポイズンピルを検討しているとのユーザーのコメントに対し、株主の利益に反する行動で信任義務に違反すれば、同社の取締役会が負う責任は「極めて大きくなる」とマスク氏はツイートした。

バンクーバーで開催された14日のＴＥＤ会議で、同氏は「実際に買収できるか」確信はないと述べる一方、自分１人で会社を所有し続けるのでなく、「法律が許す限りできるだけ多くの株主」をつなぎ留めたい意向も明らかにした。

一方、ツイッターの有力投資家のうち、サウジアラビアのアルワリード王子は、マスク氏の提示価格が低過ぎるとの認識を示し、ツイッターの「本来の価値に近づく」ものではないと指摘した。

14日の米株市場でツイッターの株価は1.7％安の45.08ドルで終了。マスク氏の提案が拒否されるか、買収が実現しない可能性が高いと市場が受け止める様子がうかがえる。ツイッターによるポイズンピル検討は、米紙ウォールストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）が先に報じていた。

マスク氏がツイッターに一方的な買収提案、株式非公開化目指す

米テスラの最高経営責任者（ＣＥＯ）でツイッター株主のイーロン・マスク氏（50）は、ツイッターに「最高かつ最後の」買収案を提示したと表明した。同社には並外れた可能性があり、自分がそれを解き放つと述べた。同氏はツイッターの株式非公開化を図る。

14日の米証券委員会（ＳＥＣ）への届け出によれば、マスク氏の買収案は１株当たり現金54.20ドル。ツイッターの１月28日時点の株価終値を54％上回る水準で、企業価値を約430億ドル（約５兆3840億円）と評価している。

マスク氏、ツイッター取締役辞退－株式追加取得が可能に (1)

ツイッター買収案を巡り、マスク氏（50）は米モルガン・スタンレーをアドバイザーに起用した。

ツイッターはマスク氏から一方的な提案を受け取ったことを確認し、検討する意向を明らかにした。