生き残るピアノ教室になるために ローズマリーに聞いたLINE WORKS導入のわけ

生き残るピアノ教室になるために ローズマリーに聞いたLINE WORKS導入のわけ

 都内でピアノ教室を運営しているローズマリーミュージックスクールは、在籍するピアノ講師とのやりとり、生徒・保護者とのやりとりにビジネス版LINE「LINE WORKS」を導入した。少子化による生徒の減少、ITやネットへの対応といったトレンドに対して、LINE WORKSはどのような解決策をもたらしてくれるのか? ローズマリーミュージックスクールの運営を担う専務取締役の松田斉氏に話を聞いた。

生徒不足の時代を迎え、IT・ネットへの対応が必須となるピアノ教室

 ローズマリーミュージックスクール(以下、ローズマリー)は、港区の麻布十番と板橋区の成増で2つのピアノ教室を展開している。もともとは松田氏の奥様のピアノ教室からスタートしたが、講師や生徒、教室が増えたことで、4年前に法人化した。松田氏は経営まわりを担い、生徒を50名から200名に増やした集客ノウハウを活かし、現在は他教室のコンサルティングも手がける。個人運営のピアノ教室が運営会社に発展した背景を理解するため、まずは松田氏に昨今のピアノ教室の動向を教えてもらった。

 ピアノ教室の講師は、音大のピアノ科を卒業して、楽器メーカーの音楽教室で指導にあたる方がほとんど。8~9割は女性なので、結婚・出産を経て、自らピアノ教室を始めるということも多い。こうした経緯をたどるため、ほとんどのピアノ教室は個人経営だ。生徒が増えれば、もちろん稼ぎも増えるが、生徒や親とのやりとり、月謝の集金、発表会の運営など事務処理が重くなる。「多くのピアノ教室は講師が一人で教室を運営しています。生徒に教えるかたわらで、発表会の準備を行ない、月謝の支払いを管理して、ホームページ作って、生徒を集めるなんて、一人では無理ですよ」と松田氏。この実態は長年変わっていないという。

 一方、最近変わってきているのは、少子化による生徒数の減少とIT・ネットへの対応格差だ。「ピアノ教室同士で、子供の奪い合いが起こっているのは事実です。口コミやチラシをまいても、昔のように生徒は集まらなくなっています」と松田氏は指摘する。しかし、生徒の募集や業務効率化につながるITやネットの導入が進んでいるかというと、そうでもない。実際、松田氏が近所のピアノ教室を調べてみたところ、Webサイトを持っている教室は半分に過ぎなかったという。

 松田氏が運営しているピアノ教室は、高額所得者の多く住む東京都港区の麻布十番にある。高層マンションの建築とともに、生徒となる子供も増え、いつの間にか競合するピアノ教室も二ケタに増えていたという。そんな中、ローズマリーが生徒と講師を増やし、他のピアノ教室のコンサルティングまで請け負えるようになったのは、ピアノレッスンの質はもちろんのこと、松田氏の好奇心とIT活用のアイデアが大きい。

LINE WORKSを選んだのは講師を守り、生徒と親を満足させるため

 20代の頃から秋葉原に入り浸り、当時はまだ高価だったパソコンを所有し、根っからのIT好き。「月刊ASCIIを教科書として勉強していましたね。あくまでパソコンは趣味でしたが、ホームページも作ったり、インフラを整えるくらいは今もできます」と松田氏は語る。

 還暦を迎えて以降も、松田氏の好奇心とITスキルはまったく衰えない。港区のシルバー人材として、ホームページ作りの講師を務め、ランディングページを簡単に作成できる「ペライチ」というサービスに関しては都内で活躍する認定サポーターとなっている。プロ顔負けのカメラやスイッチャーを会場に持ち込んで、発表会の撮影や中継も手がけている。そして、興味を持っているのはVRやメタバース。「EPSONのスマートグラスも買いました。ピアノは1対1の対面レッスンが基本ですが、今後は家にいながら、レッスンできる時代が遠からず来るかも知れません」(松田氏)。

 そんなITに長けた松田氏がピアノ教室の講師や生徒、親とのコミュニケーションを円滑にするため導入したのがLINE WORKSだ。

 LINE WORKSを導入した1つの目的は、ピアノ講師を守るためだ。「元々はLINEを使っていましたが、やはりビジネスとプライベートはきちんと分けなければならないと以前から思っていました」と松田氏は語る。運営と講師のやりとりはLINEが楽だが、プライベートの連絡先でつながることに抵抗がある講師もいる。⽣徒・保護者とも、迅速で親しみやすい対応にはLINEや電話が便利だが、同じくプライベートの連絡先でつながることは、やりとりがブラックボックス化し、過度な要求やトラブルにもつながりやすい点が⼤きなリスクだ。

 そのため、会社が管理できるビジネス用の連絡手段としてLINEの代わりに候補に挙ったのがLINE WORKSというわけだ。

 先んじて他社のビジネスチャットも試したが、うまくいかなかった。「親御さんにインストールをお願いしたのですが、使ってもらえませんでした。やはり見慣れないサービスは、相手に使ってもらえないものです」と松田氏は振り返る。現在は、講師の名刺には教室情報と各講師のLINE WORKS IDをQRコードで掲載し、そこから親や生徒にLINE、またはLINE WORKSでつながってもらい、やりとりをしているという。

LINE WORKSでライブ授業も カレンダーの利用も計画中

 実際に導入したのは約1年前で、有償版を契約して、今はトークを中心に使っている。講師全員が所属するグループ、麻布教室と成増教室のグループ、講師と保護者、生徒でグループが作られ、日々やりとりが行なわれている。また、LINE WORKSの有償プランではユーザーの利用動向を管理者が監査できるので、生徒や講師と秘密契約保持契約を結んだ上で、やりとりを管理しているという。「安心・安全にレッスンするためのコミュニケーションツールとしてLINE WORKSを活用しています」

 トークではレッスンや送迎の調整、コンテスト情報やレッスン料に関するやりとりが中心だが、ローズマリーで特徴的なのは、LINE WORKSのビデオ通話が多用されている点。ライブでレッスンが行なわれたり、演奏した動画をやりとりしている。「やはりコロナ禍の影響で、オンライン授業できませんか?という依頼や、通えない生徒から自宅での演奏を見てほしいという要望はよくあります。ですから、教室にはスマホの三脚を用意して、LINE WORKSのビデオ通話機能で授業できるようにしてあります。けっこう快適ですよ」とのことで、1日10件近くオンラインレッスンしているという。相手の環境や要望に応じてZoomも併用している。

 今後に関しては、カレンダー機能の利用を計画中だ。「LINE WORKSには共有カレンダーの機能もありますから、どの講師がいつ空きがあるかタイムリーに確認できれば、体験レッスン希望者への対応もよりスピーディになりますよね」と松田氏は語る。

ローズマリーで学んだ子が、将来ローズマリーの講師になれるように

 0歳児のリトミックから始まり、習い事としてのピアノ教室、そして音大への受験に至る生徒もおり、ピアノ教育は概してスパンが長い。こうした中、ピアノ教室に通う生徒、通わせる親、ピアノを教える講師、そして運営している教室の4者が、それぞれWin-Winになるというのが松田氏の想いだ。「子供もピアノを楽しみ、親もそんな子供の成長を喜び、そして講師はそんな子供によりそってあげる。これが理想」と松田氏。そのため、講師はレッスンのみに集中できる環境を構築していきたいという。

 こうした理想に向けて、松田氏の試行錯誤は続いている。前述したLINE WORKSやペライチに加えて、たとえば月謝のやりとり。実は個人のピアノ教室ではまだまだ現金の手渡しが普通という世界だ。その点、ローズマリーでは口座引き落としを導入した上に、さらに電子決済まで可能にした。コンクールや楽譜、発表会など月謝以外の経費も手軽に支払えるインフラを整えた。「生徒さんにどれだけサービスできるかです。安心・安全に、気持ちよく来てもらって、うちのファンになってもらいたい」と松田氏は語る。

 こうしたローズマリーのピアノ教室運営メソッドを、松田氏は同じ悩みを抱えるピアノ教室に拡げていこうとしている。あくまでボランタリーという立場だが、福岡と川崎のピアノ教室でWebサイト構築や更新、集客を手伝っているという。レッスン以外のノウハウが不足する教室に真っ先に勧めるのが、個人の住所や電話を晒さないことと、対応策としてのLINE WORKS。LINEとつながる仕事用の連絡先が持てる、というだけで軒並み好反応だと言う。

 多くのピアノ教室では、指導が属人化しているため、講師が辞めれば、ピアノ教室も閉鎖になってしまう。しかし、いま板橋教室を運営しているのは、ピアノ講師である奥様の教え子だ。「音楽教育と言うからには、今まで学んで来たものは後世に残すべきだと私は思うんです。だから、私たちがいなくなっても、ローズマリーは続いて欲しい。ローズマリーで学んだ子が大人になり、将来またローズマリーでピアノの講師になってくれるとうれしいですね」と松田氏は語る。

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