PCI Express 5.0対応SSDは2022年登場か、PCストレージの最新事情

PCI Express 5.0対応SSDは2022年登場か、PCストレージの最新事情

2022年はどんな性能や機能を備えたスペックのパソコン(PC)が登場するだろうか。CPUやGPU、ストレージなどパーツ別に大胆予測し、今買って損のないスペックや人気になりそうなパーツなどを紹介する。

 PCのメインストレージであるSSD(Solid State Drive)では高速化と大容量化が進んでいる。ハードディスク(HDD)もデータの長期保存、バックアップ用などで健在だ。現在の状況をまとめよう。

PCI Express 4.0x4対応SSDは第2世代に

 SSDのハイエンドクラスでは、PCI Express 4.0x4対応製品が増えている。韓国Samsung Electronics(サムスン電子)、米Western Digital(ウエスタンデジタル)、米Seagate Technology(シーゲートテクノロジー)といった大手メーカーの製品が出そろい、性能面でも、2019~2020年前半の初期製品(シーケンシャルリードが5000MB/s前後)を大きく上回る。PCI Express 4.0x4対応製品は第2世代に入ったという印象だ。

 米Intel(インテル)の第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)がPCI Express 4.0x4をサポートして以来、プレミアムクラスのノートPCの多くはPCI Express 4.0x4対応SSDを搭載している。

 また、第12世代Coreプロセッサー(Alder Lake)では、PCI Express 4.0の2倍の帯域を持つPCI Express 5.0をサポートした。PCI Express 5.0x4対応M.2ソケットを搭載するマザーボードも登場している。対応SSDを確認できていないが、台湾Phison Electronics(ファイソンエレクトロニクス)や米Marvell Semiconductor(マーベルセミコンダクター)からPCI Express 5.0対応のコントローラーが発表されている。2022年後半から対応製品が登場すると見込まれている。

Crucialブランド初のPCI Express 4.0x4対応SSD「P5 Plus」。米Micron Technology(マイクロンテクノロジー)製の176層3D NANDを搭載し、シーケンシャルリード最大6600MB/s、シーケンシャルライト最大5000MB/sと読み書きともに高速だ

マーベルやファイソンがPCI Express 5.0対応コントローラーを発表。搭載製品は2022年後半からと見込まれている

M.2が主流に、インターフェースのPCIe化進む

 SSDのフォームファクター(形状)は、2.5インチHDDと互換性のある「2.5インチ(7mm厚)」と小さなカード型の「M.2」の2種類が主に使われている。新製品は後者のM.2タイプのほうが圧倒的に多くなっている。

 薄型軽量のノートPCを設計するうえで、スペースを必要としないカード型のM.2のほうが都合がよい。モバイルPCでは数年前からM.2 SSDしか搭載できない製品がほとんどだ。きょう体が大きいゲーミングノートPCやクリエイターノートPCでは、M.2タイプのPCI Express SSDをメインに搭載しつつもサブとして2.5インチSSD/HDDを搭載できる製品が多かったが、最近では2.5インチSSDを搭載するスペースを持たない製品が増えている。

 インターフェースも、かつて主流であったSATA(Serial ATA 6Gb/s)からPCI Express(PCIe)へと移っている。ハイエンドはPCI Express 4.0x4、ミドルレンジ~エントリーはPCI Express 3.0x4が使われている。

カード型のM.2の普及が進み、このような2.5インチSSDは少数派になりつつある。写真はウエスタンデジタルの「WD BLUE 3D NAND SATA」

低価格SSDのコストダウン要素を知る

 最近はエントリークラスのSSDもインターフェースはPCI Express。SATA SSDに比べて公称の性能は格段によいが、安価な製品は公称の性能だけでは分からないコストダウンがそれなりにされている。

 その1つが、QLC NANDフラッシュメモリーの採用だ。現在主流のTLC NANDフラッシュメモリーが1セルに3bitを記録するのに対し、QLCでは1セルに4bitを記録できる。セル当たりの記録容量が多いほうが低コストで大容量化できるが、一方で耐久性や性能では不利になっていく。特にQLCの書き込み性能は極端に遅い。

 その不利をカバーするために導入されているのが「SLCバッファー」。空いているメモリーセルを1セル当たり1bitのみ記録するSLC相当で動作させて、 耐久性と性能を向上させたバッファーとして使う技術だ。これにより、バッファーの範囲内ではQLCでもTLCとほぼ変わらない感覚で利用できる。ただし、バッファー容量は空き容量が減ると小さくなり、バッファー容量を超える大きなデータを書き込むと極端に性能が低下するので注意したい。

 また、DRAMレス構造もコストダウンの1つ。多くのSSDではNANDフラッシュメモリーよりも高速なDRAMを実装し、データの先読みや一時退避バッファーに使うことで性能を最適化や耐久性の向上につなげている。低価格SSDはこのDRAMを省いている製品も少なくない。ランダムアクセスの性能や耐久性の指標であるTBW(Total Byte Written)が小さくなる傾向がある。

 また最近では、HMB(Host Memory Buffer)といって、DRAMを搭載しない代わりにシステムのメモリーをキャッシュ代わりに使うしくみを採用して製品もある。コストダウンと性能を両立させている。

 すでにSSDの技術全般が成熟しているので、コストダウンをされていても一般的な利用で表面化することはまれだ。影響があるのは、想定用途に見合わない使い方をしたときだ。大容量のデータを読み書きしたり、クリエーティブアプリのキャッシュに利用したりすると、読み書きが頻繁になるのでハイエンドSSDを購入したほうがよい。

サムスン電子のSSD 980。DRAMを搭載しない代わりに、システムのメモリーをキャッシュ代わりに使うHMBを採用して高性能とリーズナブルな価格を両立している

PS5特需が発生したPCI Express 4.0x4対応SSD

 PCI Express 4.0x4については、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの家庭用ゲーム機PlayStation 5(PS5)特需も発生している。PS5は標準ストレージとして825GBのPCIe 4.0対応SSDを搭載するが、増設用のM.2スロットも搭載している。当初は物理的にあるだけで利用できなかったのだが、2021年9月のシステムアップデートで増設機能が解禁された。PS5用のゲームは1タイトルで数十GB以上の容量を占有するため、825GBでも十分とはいえず増設需要は高い。

 PS5の増設SSDとして利用できるSSDについては公式サイトに詳しい要件があるが、標準のSSDが高性能だけに増設用のSSDもかなりハイスペックである必要がある。さらにあまり背が高くないヒートシンクが必須など、考慮すべき点は少なくない。

 そのため、メーカー各社は要件を満たして独自にPS5で動作検証を行ったSSDを「PS5動作確認済み」として売り出している。PS5の増設を考えているならば、こうした動作確認済みの製品を購入するのが安心だろう。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントの公式サイトでは、PS5用増設SSDの要件や作業手順について詳しい記述がある

新たな大容量化アプローチに注目

 SSDの低価格化の影響でHDDの出番は年々減っているが、大容量データの長期保存、バックアップ用での需要は健在だ。PCには内蔵していなくとも、NAS(Network Attached Storage)などで利用している人は多いだろう。

 一般に購入できるHDDの状況はあまり変化していない。中国からのマイニング需要で大容量HDDが一時的に品薄になったことがあるが、現在では落ち着いている。容量当たりの単価は1年前と比べると少し下がっている。ドライブ1台当たりの最大容量は、リテール販売で確認できている範囲では18TBと近年伸び悩んでいる。ただシーゲートが2021年12月3日、2つのブランドで20TBのHDDを発表した。その一方のブランドの「IronWolf Pro 20TB」は12月17日発売予定で、すでに販売店で予約受付のアナウンスが始まっている。HDDの容量はいよいよ20TBの大台に乗ることになりそうだ。

 一方、ウエスタンデジタルからは、NANDフラッシュメモリーを活用した新しいアプローチの大容量化技術「OptiNAND」を採用した2TB HDDのサンプル出荷がアナウンスされている。こちらも注目したいトピックだ。

 コントローラーと複数ダイのNANDをワンチップ化した「iNAND」をファームウエアで高度に制御。エラー訂正用の拡張メタデータのオフロード、書き込み時のトラックのリフレッシュ低減、データの緊急保持用などに活用し、データの記録密度(トラック密度)を高めつつ、レイテンシーの低減、データの信頼性向上を実現しているという。

ウエスタンデジタルはNANDフラッシュメモリーを新しいアプローチで活用した大容量化技術「OptiNAND」を開発。採用製品のサンプル出荷をアナウンスしている

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏