「三幸製菓」工場火災で5人死亡…過去には米菓のかすなど燃える軽微な火災も
11日午後11時50分頃、新潟県村上市長政の米菓製造大手「三幸製菓」荒川工場から出火したと110番があった。敷地内の全焼した建物からアルバイトの60~70歳代女性4人が意識不明の状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。製造工程担当の20歳代男性2人と連絡が取れておらず、このうち1人とみられる遺体が焼け跡から見つかった。
村上署の発表によると、死亡したのは渡辺芳子さん(71)(村上市長政)、伊藤美代子さん(68)(同県胎内市下館)、近ハチヱさん(73)(同市東牧)、斎藤慶子さん(70)(同市土作)。
同署幹部によると、署員が現場に到着した際、建物の東側が激しく燃えており、次第に西側に火が広がった。死亡した4人は建物の東側で見つかった。ほかに50歳代の女性1人が煙を吸って病院に搬送されたが、命に別条はないという。
この火事で消防車両約20台が出動し、出火から約11時間半後の12日午前11時10分に鎮火した。村上市消防本部によると、同工場では1982年の操業開始以降、米菓を焼いたり乾燥させたりする過程で生じたかすが燃えるなど、軽微な火災が8件起きている。県警と消防は13日朝から行方不明者の捜索を再開し、出火原因を調べる。
死亡した4人は工場内の清掃を担当。関係者によると、清掃担当のアルバイトは約30人おり、製造ラインを止め、複数のチームで機械を清掃しているという。
荒川工場は村上市役所から南に約15キロの田園地帯にあり、敷地面積は約7・8ヘクタール。同社によると、商品の製造ラインごとに七つの建物がある。出火したのは敷地の一番南側の建物で、せんべいやあられの生地を練ったり、焼いたりする工程がある。
敷地内の別の建物で作業をしていた男性(22)は「火災報知器が鳴って工場内が停電した。慌てて避難したが、何が起きたかわからず怖かった」と話した。
同社は本社が新潟市北区にあり、「雪の宿」や「ぱりんこ」などの米菓で知られる。民間信用調査会社・東京商工リサーチによると、2020年3月期の売上高は約567億円。
三幸製菓工場全焼 煎餅製造ラインに激しく燃えた跡 捜索一時中断
11日午後11時45分ごろ、新潟県村上市長政の米菓製造大手「三幸製菓」荒川工場から出火したと消防に通報があった。出火場所は敷地の南側にある1棟で、約11時間半後の12日午前11時10分に鎮火し、建物は全焼した。アルバイト従業員の女性4人が心肺停止状態で病院に搬送され、死亡が確認された。他に身元不明の1人の遺体も見つかった。製造担当従業員の20代男性2人の安否が不明で、遺体はこのうちの1人の可能性がある。
県警によると、死亡が確認された4人は清掃担当のアルバイト従業員の渡辺芳子さん(71)=村上市=と伊藤美代子さん(68)、近ハチヱさん(73)、斎藤慶子さん(70)=いずれも新潟県胎内市=で、建物東側の出入り口付近に倒れていた。
火災があった建物には煎餅製造ラインなどがあり、中央部分に激しく燃えた跡があったという。県警は安否不明者を捜したものの、工場内は煙が充満していたうえ、倒壊のような2次災害の危険性もあるため、捜索を一時中断した。13日朝から捜索を再開し、実況見分して出火原因を調べる。
アルバイト従業員4人とかつて同僚だったという女性(75)は火災を知って工場を訪れ、「ショックだ」と悲痛な表情を浮かべた。
荒川工場は敷地面積が約7万7800平方メートルで複数の建物がある。煎餅を焼く工程をはじめ、生地をこねたり乾燥させたりする製造ラインが24時間稼働し、出火当時は三十数人が作業をしていた。村上市消防本部によると、荒川工場では1988年7月~2019年11月、8件の火災が確認されている。
ホームページによると、三幸製菓の本社は新潟市にあり、荒川工場のほか新潟市、同県新発田市にも工場がある。「ぱりんこ」や砂糖蜜をかけた「雪の宿」といった商品を扱っている。同社は「(亡くなった従業員、その家族の方に)お悔やみ申し上げます。原因は調査中。今後絶対にこのような事態が起きないよう再発防止と安全管理の徹底に努める」としている。
現場はJR羽越線の平木田駅から北東におよそ1キロの線路沿い。周辺は工場や田畑が広がっている。