「歯痛」に薬が効かない…痛くて寝れない4つのケースと応急手当法【歯科医が解説】

「歯痛」に薬が効かない…痛くて寝れない4つのケースと応急手当法【歯科医が解説】

寝れないほど歯が痛い! 歯痛に市販の痛み止め薬は効かない?

歯が急に痛くなり、頭痛や腹痛のようにとりあえずロキソニンなどの薬で痛みを抑えようとしたことはありませんか?

夜になって歯の痛みがひどくなり寝れなくなったり、今まさに歯の痛みを抱えながら、この記事を読まれているのでなければよいのですが……。残念ながら、一過性の頭痛や腹痛のように、歯の痛みは薬では対処できない場合が多いのです。

歯痛の原因……実際は歯が痛みの原因ではないことも

「歯が痛い」と感じても、実際は歯が痛みの原因ではないこともあります。大きく分けて、歯が痛いと感じる原因は次の3つ。

・虫歯などで歯の内部で炎症が起きている

・歯の周囲の歯ぐきで炎症が起きている

・歯を支えている骨部分で炎症が起きている

普通は炎症の場所が異なっても、同じように歯が痛いと感じることがほとんど。炎症が起こる原因は、虫歯や歯周病菌などの細菌が原因ですが、薬だけでは痛みを取り除けないことが多いのも事実。痛みを薬で抑えるのが難しいケースについて解説します。

歯痛に痛み止め薬が効かない4つのケース

特に次のようなケースの場合、慌てて痛み止めを服用しても、残念ながら効果はあまり望めません。

▼1. 骨の内部に膿が溜まっている場合過去に歯の神経を取ってできた空洞部分に細菌が繁殖し、歯根の先の骨の部分に膿(うみ)などが急に溜まったことが考えられます。固い骨で囲まれた場所で、急激に大量の膿が生産されるような急性の炎症が起こった場合には、膿の圧力が骨の中で高まり痛みが起きます。

最初に大切なのは、膿の圧力を下げること。いくら痛み止めの薬を飲んでも、膿の圧力を下げることはできません。

薬を使わなくても、被せものを外して歯の根に細い穴を開け、根の先端部分の膿の部分まで穴が通じれば、穴から膿が出て圧力が下がるため、痛みが和らぎます。「歯を削ったと思ったら、大量の膿が出て瞬時に痛みが引いた」というケースです。

▼2.  歯ぐきに膿が溜まっている場合虫歯を放置したり、歯周病や親知らずの炎症が起きたりした場合、歯ぐきに膿が溜まることがあります。軽い腫れ程度から、ウズラの卵の大きさやそれ以上の膿が溜まることもあります。

この場合は薬も必要ですが、痛み止めだけではやはり十分な効果は期待できません。歯ぐきの一部を数センチ切開し、溜まった膿を外に出すことが大切。この場合も膿が出た後は症状がかなり改善します。

▼3.  噛み合わせが強くぶつかっている場合虫歯、歯周病、根の病気などで歯が痛い時、自覚はなくても歯が浮いた状態になります。そのため痛い歯に限って噛み合わせが強くぶつかり、押し込まれたり揺らされたりします。そのため噛むと余計に痛みが増します。

薬では短期間で歯が浮いた状態を薬で元の状態に戻すことはできません。浮き上がっている状態に合わせて歯を削り、噛み合わせを調整すれば、噛むときの痛みが軽減します。

▼4.  虫歯が急に痛みだした場合しみたり、ときどき痛んだりを繰り返した虫歯は、ある日突然急に痛くなることがあります。歯の内部には神経があるため、神経を直接刺激されたような痛みになるのです。ある程度痛みが強くなると、薬で痛みを抑えようとしても痛み止めが効く時間は短いことが多く、うまくいきません。

自分でどうにかしようとするより歯に麻酔をして、歯の神経を直接取り除くほうが、痛み止めでごまかすよりも確実で短期間で落ち着きます。

歯の痛みはひどくなる前に治療を優先するのが鉄則!

膿を出すために歯に穴をあける。浮いた歯の噛み合わせに合わせて歯を削る。歯ぐきを切開して膿を出す。麻酔をして歯の神経を取る。歯の痛みの治療は、どれも自分ではできないものばかりです。

病院でも、痛みが出るほど進行した症状に対しては、被せものや土台を外したり、根の先にまで穴と開けたりと、応急的な対応では完了しない時間をかけた治療が必要となってきます。

痛みが強くなってから慌てて歯科に連絡をしても、予約が取れなかったり、待たされてしまったり、運よく応急処置をしてもらったのに痛みが完全には引かなかった、というケースは少なくありません。

歯の痛みは、いくら突然といっても交通事故のように突発的に起きるものではありません。薬が効かないほどの歯の痛みが出る場合は、その前に違和感や痛みを繰り返していることがほとんど。そのサインを見過ごさずに早い段階で対応することがとても大切なのです。

それでも今すぐ歯の痛みを緩和したい人に……応急手当法

歯の痛みの根本解決は、歯を削ったり、膿を出したり、神経を取ったりと、正しい治療を受けるしかありません。それでも今すぐに少しでも痛みを抑えたいなら、以下のことを試してください。

▼歯を噛み合わせない歯が痛い時は、炎症が悪化するため噛めば噛むほど痛みが増します。おなかや頭が痛いときは痛い箇所を手で押さえがちですが、歯の場合はなるべく刺激しないように気をつけましょう。

▼口の中を清潔にする虫歯に詰まったものは刺激で痛みを悪化させてしまうので、できる範囲で取り除きましょう。冷たいものはしみると思うので、口はぬるま湯でゆすぐこと。

歯ぐきの腫れや出血で痛む時には、歯ブラシをこまめに使い、歯と歯ぐきの境目の汚れを取り清潔に保ち、その後洗口剤やうがい薬などで口をゆすぎましょう。刺激の原因を少しでも減らすことが、痛み緩和の秘訣です。

▼腫れた場合には冷やし過ぎに注意する腫れを過度に冷却すると、腫れた内部の血流が悪化して硬くなってしまうことがあります。一度硬くなると炎症が落ち着いても腫れが残ったようになるので、注意してください。

以上の方法を試した上で、市販の痛み止めを併用しましょう。これら全てを試しても痛みが全く落ち着かない場合は、やはり応急処置の範囲を超えていると考えられます。辛い痛みを避けたいなら、痛くなる前の定期的な歯科検診をオススメします。

▼丸山 和弘プロフィール1995年より臨床一筋の現役歯科医師。歯科大学卒業後、仙台市東邦歯科診療所を経て地域密着型の歯科医師に。小さな子どもの虫歯予防から歯のホワイトニング、お年寄りの入れ歯の相談まで、数多くの症例と日々向き合いながら、虫歯、親知らず、口内炎、歯周病など、歯の健康を守るための情報を数多く発信している。

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