キヤノン、EOS-1D X Mark III旗艦デジタル一眼レフの開発を終了へ。ミラーレスへの移行強化

キヤノン、旗艦デジタル一眼レフの開発を終了へ。ミラーレスへの移行強化

キヤノンの御手洗富士夫会長兼社長CEOは28日付けの読売新聞に掲載のインタビューで旗艦モデルとしての一眼レフカメラの新規開発や生産を数年後に終了し、ミラーレス一眼モデルに注力することを明らかにしました。キヤノンは2020年はじめにEOS-1D X Mark IIIを発売、一眼レフ健在をアピールしましたが、市場のニーズがミラーレスの利便性に向いているのは明らかな状況でした。

御手洗氏はこうした状況にあわせて「人をどんどん移している」と述べ、ミラーレスを今後の主力とすることを示しました。デジタルカメラは近年、スマートフォンが搭載するカメラの性能向上が著しく、カメラメーカーはミッドレンジ機でもスマートフォンのカメラより鮮明高精細な画像が撮れるミラーレス機に力を入れ差別化を図っています。

ミラーレス一眼は一眼レフに比べ内部構造が単純なのが特徴で、小型軽量化が図れるうえ、反射鏡のような可動部がないため故障も減る利点があります。

3台カメラメーカーも、ニコンが12月24日に8K動画撮影に対応するなど幅広い利点を備える高級ミラーレス機「Z9」を発売。ソニーは3月に「α1」を投入し、オリンピックでは多くのプロカメラマンがこれを使用していたとのこと。キヤノンも11月にミラーレス機EOS-R3を投入しつつ、さらに上位モデルを準備中とされます。

キヤノンは、入門機や中級ユーザー向けの一眼レフにはまだ海外での需要があるため、当面は開発生産を継続する方針としています。したがってキヤノン製の「デジイチ」が完全になくなることが決まったわけではありません。ただフラッグシップモデルとしては、数年後には旗艦モデルがミラーレス機に置き換わり、フィルム時代からフラッグシップを担ってきた一眼レフ技術は、その座を明け渡すことになります。

キヤノンがフラッグシップ一眼レフ終了へ、入門・中級機の一眼レフは当面継続

読売新聞オンラインで、キヤノンの御手洗冨士夫CEOがデジタル一眼レフの開発や生産に関してコメントしています。

キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長CEOは読売新聞のインタビューに応じ、従来のデジタル一眼レフカメラの旗艦モデルの開発や生産を数年後に終了して、「ミラーレスカメラに一本化する」と明らかにした。2020年に発売した最新機種「EOS-1D X Mark 3」が事実上最後のモデルとなる。

御手洗氏は「市場のニーズがミラーレスに加速度的に移っている。それに合わせて、どんどん人を移している」と述べ、開発体制の見直しを進めていることを明らかにした。入門機や中級機の一眼レフカメラは、海外で需要が底堅いことから、当面は開発や生産を継続する方針だ。

現在、キヤノンはミラーレスへのシフト急速に進めているところで、RFマウントのフラッグシップ機「EOS R1」の投入も示唆されているので、EOS-1Dシリーズの開発終了は意外なことではありませんね。

一眼レフファンにとっては残念な話ですが、入門機や中級機の一眼レフは当面継続ということなので、EFマウントシステムがすぐに無くなるというわけではなさそうです。Kissシリーズや4桁Dシリーズあたりの一眼レフは、今後も新製品が出てくるかもしれませんね。

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キヤノンは数年以内に一眼レフの生産を終了する予定

日経アジアのニコンの一眼レフ開発中止の記事の中で、キヤノンの一眼レフに関しても言及されています。

ニコンが、一眼レフカメラ事業から撤退し、デジタル製品にシフトすることが日本経済新聞の取材で分かった。今後は、より高度なデジタル技術を背景に主流となったミラーレスカメラに資源を集中させる計画だ。

ライバルのキヤノンも、数年以内にニコンに続いて一眼レフの生産を終了する予定だ。

 

ニコンの一眼レフカメラ開発撤退に関しては、以前に取り上げた日本語版の日経新聞の記事と似たような内容となっていますが、アジア版では最後にキヤノンに関する一文が付け加えられており、「キヤノンも数年以内に一眼レフの生産を終了する予定」と記載されています。

以前に読売新聞の記事で、キヤノンの御手洗CEOは「フラッグシップ一眼レフを終了するが、入門機や中級機の一眼レフは開発や生産を継続する方針」と述べていましたが、数年以内にKissシリーズを含めて一眼レフは全て終了するのか気になるところです。

キヤノンはフラッグシップ一眼レフ機の開発・生産を終了する模様。入門機や中級機は当面続ける模様

読売新聞オンラインに、キヤノン御手洗冨士夫会長兼社長CEOのインタビュー記事が掲載されています。

デジタル一眼レフの旗艦モデルの開発や生産を数年後に終了して「ミラーレスカメラに一本化する」

2020年に発売した「EOS-1D X Mark III」が事実上最後のモデル

入門機や中級機の一眼レフは海外で需要が底堅いことから当面は開発や生産を継続する方針

とのこと

キヤノン、旗艦デジタル一眼レフの開発を終了へ。ミラーレスへの移行強化

キヤノンの御手洗富士夫会長兼社長CEOは28日付けの読売新聞に掲載のインタビューで旗艦モデルとしての一眼レフカメラの新規開発や生産を数年後に終了し、ミラーレス一眼モデルに注力することを明らかにしました。キヤノンは2020年はじめにEOS-1D X Mark IIIを発売、一眼レフ健在をアピールしましたが、市場のニーズがミラーレスの利便性に向いているのは明らかな状況でした。

御手洗氏はこうした状況にあわせて「人をどんどん移している」と述べ、ミラーレスを今後の主力とすることを示しました。デジタルカメラは近年、スマートフォンが搭載するカメラの性能向上が著しく、カメラメーカーはミッドレンジ機でもスマートフォンのカメラより鮮明高精細な画像が撮れるミラーレス機に力を入れ差別化を図っています。

ミラーレス一眼は一眼レフに比べ内部構造が単純なのが特徴で、小型軽量化が図れるうえ、反射鏡のような可動部がないため故障も減る利点があります。

3台カメラメーカーも、ニコンが12月24日に8K動画撮影に対応するなど幅広い利点を備える高級ミラーレス機「Z9」を発売。ソニーは3月に「α1」を投入し、オリンピックでは多くのプロカメラマンがこれを使用していたとのこと。キヤノンも11月にミラーレス機EOS-R3を投入しつつ、さらに上位モデルを準備中とされます。

キヤノンは、入門機や中級ユーザー向けの一眼レフにはまだ海外での需要があるため、当面は開発生産を継続する方針としています。したがってキヤノン製の「デジイチ」が完全になくなることが決まったわけではありません。ただフラッグシップモデルとしては、数年後には旗艦モデルがミラーレス機に置き換わり、フィルム時代からフラッグシップを担ってきた一眼レフ技術は、その座を明け渡すことになります。

一眼レフの時代は終わったのか? 今になってミラーレス一眼に主力がシフトする理由

 7月にニコンが一眼レフの開発から撤退するというニュース(日本経済新聞)が流れ、8月5日には各社が小型デジカメの開発を縮小するというニュース(日本経済新聞関西版)が流れ、この夏、「デジカメ市場がヤバいことになってるよー」と印象付けたい人たちがいるとしか思えない昨今、いかがお過ごしでしょうか。

 でも経済紙的にいわんとしていることはなんとなく分かる気がする。

 今までデジタルカメラはキヤノンとニコンを筆頭に日本企業のほぼ独壇場だった。そのピークは2011年前後。そこからコンパクトデジカメの市場がどんどんスマートフォンに奪われ、激減していく。それに伴って写真を撮る人や撮影される枚数はどんどん増えているので写真人口自体は増えてる。良いことである。膨大な歴史の記録が画像・映像で残るのは良いことである。

 ただ、スマートフォン時代になったとき、ワールドワイドではSamsungの「GALAXY」やAppleの「iPhone」など主役が海外のメーカーへ移り、コンパクトデジカメ時代に一世を風靡(ふうび)した日本のカメラメーカーはぐっと沈んでしまったのだ。ケータイの時代にはカシオ計算機の「EXILIM」が頑張ってたし(でもモバイルからもデジタルカメラからも撤退してしまった)、今でもソニーの「Xperia」は頑張っているけれども、グローバルで見ると周知の通り。

 結局コンパクトデジカメの市場はぐっと小さくなり、カシオが撤退したり、それ以外のメーカーも明示的に撤退したところもあれば、事実上新製品をほぼ出してない、メーカーのWebサイトからひっそり消えつつあるというのが現状だ。

 数カ月前、知人から「5万円くらいのコンパクトデジカメが欲しいのだけど何がいい?」と尋ねられて調べて驚いたのだ。キヤノンの「IXY」ですら、大手カメラ量販店ではもう扱ってないのである(キヤノンのWebサイトにはまだ掲載されているがオンラインショップでは注文できない)。

 キヤノンのWebサイトを見るといくつか現行モデルとして登録されているが、半分以上は「在庫僅少」(つまり、在庫のみ)。新コンセプトモデルとして登場した望遠カメラを除くと残るは3モデル。さらに、オンラインショップへ行ってみると、「IXY650」は現行モデルながら「現在本商品はご注文を受け付けておりません」と出てくる。

 1型センサーを搭載したハイエンド機は現役だが、普及型の廉価なモデルはほぼ消えつつあるのだ。

 大手カメラ量販店のサイトでコンパクトデジカメの現行モデルに何があるか調べるとより分かりやすい。販売終了モデルは記載されないからだ。

 IXYとか「Cyber-shot」とか「FinePix」の全盛期を知ってる身からすると寂しい限りで、かつてあった「finepix.com」というサイトもすでに無くなってる。

 スマートフォンが登場した当初は「画質はコンパクトデジカメの方が上」と言われたが、ハイエンド機を除くと画質はスマートフォンの方が上回りつつある。製品サイクルが早く、最新の技術がいち早く投入される市場規模を持っているジャンルは強いのだ。

 経済紙的には日本企業が世界を席巻していたのに、スマートフォンの時代になったらほとんどが海外ブランドになってしまった現状を話題にしたくなるのは分からないでもない。

 しかも撮った写真のブラウズ環境の中心がスマートフォンになった今、撮る・見る・見せるが1台で完結するスマートフォンに対して、撮ることに特化したカメラが勝負するのは困難だ。

 結局、コンパクトデジカメでかろうじて生き残っているジャンルは3つだけ。

 1つは1型以上のセンサーを搭載したハイエンドコンパクトだが、ソニーが「VLOGCAM」として生まれ変わらせた「ZV-1」以外はここ3年ほど新製品が出てない。

 APS-Cセンサーを積んだリコーの「GR III」は根強い人気だが、そういう固定ファンがしっかりついている機種以外は難しいだろう。

 2つめは超望遠のカメラ。具体的にはニコンの「COOLPIX P1000」と「P950」。現在、ニコンがラインアップする唯一のコンパクトデジカメだ。35mm判換算で3000mm相当(COOLPIX P1000の場合)という突き抜けすぎた唯一無二の性能を持つだけに、なんとか生き残ってほしいなとは思ってる。

 3つめは防塵防滴防水耐寒耐衝撃のタフカメラ。OMDSの「TG-6」とリコーの「WGシリーズ」の2つが現役だ。これらには水中や過酷な環境での撮影という他ではまかなえないニーズがある。

 先日、わたしにコンパクトデジカメが欲しいと相談してきた人は、結局タフモデルの「TG-6」を選んだそうな。スマホとは違う性格の違う使い方ができるいい選択肢だったと思う。

一眼レフの時代は終わったか

 続いて気になる「レンズ交換式カメラ」の現状だ。

 7月に流れたニュースでは、日本が世界に誇るシェアを持つカメラの世界で主力として長年君臨してきた一眼レフがとうとう終焉に向かってる……というネガティブな印象が醸し出されていて多くの人の反発を生んだ。

 プロが使うホンモノは一眼レフで、ミラーレス一眼はワンランク下、みたいなニュアンスを感じたのかもしれない。

 確かに、ミラーレス一眼の登場当初はエントリー向けだったのだけど、それは本質的な問題じゃない。

 なぜなら、一眼レフはレンズ交換式フィルムカメラに特化した構造であり、デジタル向きではなく、逆にミラーレス一眼はレンズ交換式デジタルカメラに特化した構造を持つからだ。

 ちょっとその構造を断面図で見てみたい。

 まず、カメラ内に斜めにミラーを入れて光を上に反射させ、プリズムで方向を変えて、ファインダーから覗けるようにする。そうすることで実際に撮影に使うレンズでどう映すかを決められるし、ピントも合わせられる。

 そしてシャッターボタンを押すと、ミラーが瞬時に上がり、同時にシャッター幕が開いてフィルムに光があたり、撮影が終わるとまたミラーが元の位置に戻るという構造だ。

 AF機構が入るとちょいとややこしくなる。

 AF用のセンサーがミラーボックスの下に入り、ミラーに入る光の一部を下に反射させてAF用センサーに当て、距離を測っているのだ。

 フィルムの代わりにイメージセンサーを置いた構造なので、シャッターを押す寸前までの作業と、実際の撮影の2段階に分かれていると思っていい。フィルム時代と同様の機構を採用してるのである。

 でも、イメージセンサーはフィルムとは違い、撮影の瞬間以外でも映像を出力できるし、センサー面でピントを合わせることもできる。

 ミラーレスにすればフィルム時代に特化した機構をすべて無くすことができるのである。

 イメージセンサーに常時光を当ててやれば、そこに映った映像をいつでもファインダーやモニターで見ることができるから、凝ったミラーやペンタプリズムは不要になる。

 ホワイトバランスや露出補正といった撮影設定が「おおむね」反映された状態の、実際に撮影される写真に近い映像を見ながら撮れるので確実性は上がる。

 イメージセンサー自体にフォーカス情報の取得をさせればAFセンサーも不要になるし、実際に撮像する素子の面でフォーカシングを行うので正確さも増す。

 イメージセンサーの前にはシャッタースピードに合わせて開閉して一瞬だけ光を当てるためのシャッター幕があるのだが、電子シャッターを使えばそれ自体が不要になる。

 ミラーボックスもメカシャッターも無くなれば、撮影時の可動部が激減し、可動部が無くなればそれに起因する微細なブレもなくなるし、メカ部分が無くなれば連写速度もシャッタースピードももっと上げられ、デジタルカメラとしての性能が上がる。

 ある意味、一眼レフの呪縛から逃れられるのだ。

今になってミラーレス一眼に主力がシフトしたのは

 でも現実はそんな都合良くはいかない。

 ミラーレス一眼が登場してから、それが主流になるのに10年かかったのだ。理屈では良くても、実情が追いつかなかったのである。だから当時の認識のままだとミラーレス一眼はだめだ、と思ってるかもしれない。

 特に問題だった4点をチェックしたい。

EVFの欠点と進化

 当初のEVFは画像も粗く、センサーが映像を捉えてからEVFに反映されるまでのタイムラグも大きく、カメラをパンすると写る映像が追いつかなかったりして、一眼レフの光学ファインダーに比べると甚だ劣っていた。

 被写体を追いながら見ていると微妙なブレで気持ち悪いとか、ここぞというタイミングでシャッターを押してもズレるとか、粗くてディテールが分からないとか。

 でも技術は進化した。

 今は随所が高速化され、解像度も上がり、大きく見やすくなり、タイムラグも減り、連写時のブラックアウトもなくなった。

 また、暗所でも感度を上げて表示するので暗所での正確な撮影が可能になるというメリットも大きい。

 EVFが実用になる時代になったのだ。

 もちろんEVFだとずっと発光するパネルを見ることになるので長時間覗いてると目が疲れるとか、実際に撮影される映像と同じわけじゃないのでまぎらわしいとか、まだ完全ではないけれども、少なくともわたしは光学ファインダーよりEVFの方が使いやすい。

AFが遅い?

 ミラーレス一眼のAFはここ数年ですごく進化した。

 一眼レフはAF専用のセンサーを搭載している(その代わりAF測距点が限られる)のに対し、ミラーレス一眼は「コントラスト検出AF」といって、レンズをちょっとずつ動かしてフォーカス位置を変えながらイメージセンサーからの画像を読み取って最適な位置を探す方式で、これはAF速度を上げづらく、コンティニアスAFで動きものを撮るには向かなかった。

 それが少しずつ変わってきたのは「像面位相差画素」(つまり、AF専用の画素をセンサー上に設ける)が登場してから。

 その後、デュアルピクセルCMOS(デュアルPD)と呼ばれる方式が主流になると、AFの精度や速度も上がってコンティニアスAFも十分実用的になり、さらにしかもイメージセンサー全体でAFが可能になるため、リアルタイム瞳検出やリアルタイム被写体検出、などミラーレス一眼ならではのAFも可能になった。

 これは大きく、一眼レフのAFを超えたといっていいと思う。

 AF/AE追従で秒30コマ撮影なんて機種も登場しているほどだ。

 AF性能がぐんと伸びたのはここ数年のことで、ハイエンド機と普及機の差はけっこう残っているけれども、AFの常識が変わりつつあるのは確かだ。

メカシャッターは不要になる?

 3つめはシャッター。

 メカシャッターを使わず、イメージセンサーが持つ機能(電子シャッター)でのみ撮影すると、物理的な可動がなくなるため、シャッタースピードをぐっと上げられる。センサーの性能にもよるが、メカシャッターだと1/8000秒だが、電子シャッターでは1/32000秒まで上げられるという機種もある。

 しかもシャッター幕やミラーといった物理的な動作がなくなるため、連写速度も上げられる。これはイメージセンサーからの出力の速さや後段の画像処理にも関わってくるけど、連写速度も上げられる。

 ただし、現在のCMOSセンサーを使った電子シャッターには大きな欠点が1つある。それは「ローリングシャッター歪み」と呼ばれる現象で、一番上のラインから一番下のラインまで順次読み込むため、最初と最後でタイムラグがあり、その分歪んで写るのだ。

 ただ、そのタイムラグをギリギリまで小さくする(速度を上げる)ことで歪みを減らす動きが出てきた。ソニーは「アンチディストーションシャッター」という名で「α9」や「α1」で採用したもの。これだと電子シャッターでも歪みがかなり軽減される。

 ニコン「Z 9」では完全にメカシャッターをなくし、電子シャッターのみにしてしまった。

 最近はEOS R3やOM-1などハイエンド機を中心に高速なCMOSセンサーが採用されつつあり、歪みがゼロになるわけじゃないけど、かなり気にならないレベルに達してるし、シャッター音を出してはいけない現場では電子シャッターの性能向上は実にありがたい。

 手元にあるカメラで撮り比べてみた。

 メカシャッターと電子シャッターを併用し、用途に応じて両者を簡単に切り替えて使い分ける時代が来ているのだ。

バッテリーの持ちは?

 どうあがいてもミラーレス一眼が不利なのはバッテリーの持ち。

 デジタル一眼レフは一眼レフとして使う限り、大きく電力を消費するのはイメージセンサーに露光させる撮影の瞬間と、背面のモニターで再生したり設定したりするとき。

 ミラーレス一眼は常時センサーに露光させ、常時EVFか背面モニターを点灯させて撮影するので、その分バッテリーの消費は大きい。

 同じバッテリーを使用するキヤノンの「EOS-1D X Mark III」と「EOS R3」で比べてみると、ファインダーの場合、EOS-1D X Mark IIIが約2850枚なのに対し、EOS R3は約620枚と約1/4になる。光学ファインダーとEVFの違いだ。

 この差はいかんともしがたいので人によっては何らかの工夫(予備バッテリーを多く持つなり、大容量のモバイルバッテリーで給電するなり)が必要になる。

かくして一眼レフはミラーレス一眼に進化したのだ

 一眼レフとミラーレス一眼で違いが大きい点を4つピックアップしてみたのだけど、バッテリーを除いた3点をみると、ミラーレス一眼がデジタル一眼レフに置き換わることができる段階に来てる。

 デジタルカメラとして性能を追求すると、フィルム時代に特化した構造である一眼レフよりも物理的な制約が少ないミラーレス一眼の方が理に叶っており、そちらへ進むのは当然なのだ。

 7月の報道では「ニコン」が俎上に上げられていたのでニコンの話をするけれども、そのニコンは2021年のZ 9でメカシャッターすら廃した「これぞミラーレス一眼」という姿を示してくれた。

 ニコンは以前から今後はミラーレス一眼に注力するといっていたわけで、逆にニコンが「これからも一眼レフが主力です」といったとしたらそっちの方がニュースになるレベルなのだ。

 世間ではニコンはミラーレス化が遅れたといわれているが、どこよりもミラーレスらしいミラーレスを投入し、性能的にも周囲のプロカメラマンの声を聞く限り、非常に評判がいい。

 ミラーレス一眼は一時的な流行、あるいは一般ユーザー向けの機構で、カメラの本丸は一眼レフだ、と思い込んでると見誤る。

 やっと一眼レフ時代のレンズ資産や一眼レフに慣れた多くのユーザーを抱えていてもなお、ミラーレス一眼を主力に据えられる段階に来たのだ、と考えるのが正解だろう。

 じゃあ、ニコンやキヤノンはもう一眼レフは作らないのか、というと、それは分からない。エントリー機はもう作らないだろうが、一眼レフ事業を他社に譲渡するとか、その技術を捨てるといったわけじゃない。

 その辺は日経クロステックの記事が伝えている。

 イメージセンサーやデジタル処理技術は進化し続けるわけだから、市場のニーズによっては何年かあとにマイナーチェンジみたいな形でデジタル部をリニューアルした後継機が登場する可能性はあるだろう。

 まあ、カメラには「撮影する」楽しさもあり、そちらを重視するなら機械の動作が手に伝わる一眼レフも捨てがたいが、徐々に趣味の世界のものになっていくと思う。

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