「60万円超」高級ミラーレス、大手3社が続々投入…想定超える予約も EOS-1D X Mark IIIが事実上最後のモデルとなる

「60万円超」高級ミラーレス、大手3社が続々投入…想定超える予約も

 デジタルカメラ市場でミラーレス一眼カメラの人気が高まっている。初心者向けの入門機として発売されたが、高機能化が進んだこともあり、幅広い層に浸透しつつある。大手3社はプロカメラマンらの使用も想定した高級機種を投入しており、販売競争が激しくなっている。

 ミラーレス一眼は、長くデジタルカメラの主流だった一眼レフに比べ、小型で軽い特徴がある。一眼レフは内蔵の鏡(ミラー)に反射した被写体の画像を、ファインダー越しに見て撮影するのに対し、ミラーレス一眼にはこの反射鏡がないためだ。デジタル一眼レフは価格は比較的安いが、シャッターや反射鏡などが壊れやすいという課題もあった。

 デジタルカメラ市場自体は、スマートフォンに搭載されているカメラの高機能化に伴い、縮小が続いている。こうした逆境の下でも、ミラーレス一眼は、持ち運びのしやすさや、デジタル一眼レフ並みの画像の美しさが支持を集める。「インスタ映え」を意識し、きれいな写真を撮ってSNSに投稿したい女性や若者が購入しており、デジタル一眼レフの市場を奪った形だ。

 最近は性能の向上に伴い、中高年の登山者が本格的な風景写真の撮影に使うなど、ユーザーの年齢層も広がっている。カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、ミラーレス一眼の出荷額は2019年に一眼レフを逆転し、20年は2470億円に上った。

五輪でも活躍

 大手カメラメーカーは10万~20万円台の中位機種を充実させているほか、60万円超の高級機種も相次いで投入している。本格的に写真撮影を楽しみたいという愛好家に向け、これまでにない高機能をアピールする。

 ニコンは初の高級ミラーレス一眼「Z9」を24日に発売した。1秒間に最大120枚の連続撮影ができるほか、人や犬、自転車など9種類の被写体を自動で判別して焦点を合わせる機能を搭載。写真だけでなく、高精細な「8K」の動画を約2時間撮影することもできる。

 一眼レフに注力してきたニコンがミラーレスに主軸を移すことへの注目度は高く、想定を超える予約が入っているという。

 キヤノンは「EOS(イオス) R3」を11月27日に発売した。ファインダーをのぞいた瞳の動きを解析して自動で焦点を合わせる機能があり、スポーツなど動きの速い被写体にもピントを合わせやすい。ミラーレス市場の拡大を見込み、さらに上位のモデルも投入する計画だ。

 プロ向けの最高級機種で先行したソニーは今年3月、「α1」を発売した。本体重量が約737グラムと、1キロ・グラムを超える他社の最上位機種より軽いのが特徴だ。今夏の東京五輪・パラリンピックでは多くのプロカメラマンが使用したことが話題になった。

 市場では「中位機種でもスマホをしのぐ高精細画像が撮影できる。ミラーレスがデジタルカメラの主流になるのは自然な流れ」(調査会社BCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリスト)との声が多く、販売はさらに伸びそうだ。

キヤノン旗艦機「一本化」、デジタル一眼レフ終了へ…御手洗会長

 キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長CEO(最高経営責任者)は読売新聞のインタビューに応じ、従来のデジタル一眼レフカメラの旗艦モデルの開発や生産を数年後に終了して、「ミラーレスカメラに一本化する」と明らかにした。

 キヤノンの一眼レフの旗艦モデルは、1989年に初号機が登場した「EOS(イオス)―1」シリーズとして知られる。2020年に発売した最新機種「EOS-1D X Mark IIIEOS―1D X Mark 3」が事実上最後のモデルとなる。

 御手洗氏は「市場のニーズがミラーレスに加速度的に移っている。それに合わせて、どんどん人を移している」と述べ、開発体制の見直しを進めていることを明らかにした。

 ミラーレスはシャッター操作を電子処理しており、シャッター音がほとんどしない特徴もある。プロカメラマン向けの機種について、御手洗氏は「至近距離でゴルフの撮影などができるようになり、使用範囲が広がった」とし、さらに高性能の上位モデルを発売する考えを示した。

 入門機や中級機の一眼レフカメラは、海外で需要が底堅いことから、当面は開発や生産を継続する方針だ。

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