ネットで騒ぎ、岸田首相のセイコー製33万円の時計は「高い」のか?
「この時計代だけで、特別定額給付金3人分を超える」。
岸田文雄新首相が就任した直後、セイコー製の約33万円の腕時計をつけていることを批判したツイートが話題となった。
そう批判したのは、行政書士の梅村慎一氏。立憲民主党岐阜県連の副代表で、2019年では参院選の候補者でもあった人物だ。おそらく野党の一員として首相を皮肉りたかったのだろうが、世間からは逆に批判を浴びることになった。
ツイートでは
「要職が100均の腕時計に格安スーツ、GUのローファーで国際会議に出たら、恥ずかしいと思わんのかね」
「逆に33万円の時計も買えない総理って嫌ですね」
「そんなん言うなら、福祉支援の窓口にいったとき、その服やメイクで良いのかなという不安ブーメランになるので、人の装いがなんであれ仕事は仕事、装いは装いとわけていきたい」
などの意見がでていた。
岸田氏が付けていた時計はセイコーのアストロン。1969年に登場した世界初のクウォーツウォッチだ。2012年には世界初のGPSソーラーウォッチとして時計業界に「第二の革命」をもたらした日本が世界に誇れる商品だという。
バイデン氏の腕時計も批判されたが、理由は…
国のトップが身につける時計に、注目が集まるのはとりわけ珍しいことではないようだ。
バイデン大統領は、就任式に87万円のスイスの高級時計ロレックスを付けていた。アメリカ国民から批判を受けている。ただその際に批判されたのは値段よりも、むしろ“アメリカ産”の時計でなかったという点だ。
アメリカでは大統領は、国のブランドを育成し、宣伝することが求められているようだ。オバマ夫人は、Jクルーなどのカジュアル服から高級服まで米国ブランドの服を着ていたが、一度だけ中国の胡錦濤を迎える際に、イギリスのブランド服を着用した。そのことで、米ファッションデザイナー協会から物言いを付けられるなど、波紋を呼んだこともある。
日本の政治家もやはり「国産」ということから、セイコーを愛用する人が多いようだ。ちなみに岸田氏の前任者、菅前首相が身に着けていたのも、同社の「クレドールシグノ」で、価格は44万円と言われている。秘書を務めていた小此木彦三郎氏から譲り受けたものだという。岸田総理の時計は、菅首相のよりも、バイデンのよりも高価なものだとはいえない。高いということで批判される対象ではないだろう。高すぎるとやっかみの対象になるが、安すぎても国の代表として、みっともないといわれかねない。そういう意味で、33万円という価格帯は、高すぎもしない、安すぎもしない、岸田氏らしい「中庸」的な価格帯だったのではないだろうか?
いずれにせよ、国のトップとはいえど、私費で何を買うかはあくまで個人の自由だろう。
「贅沢は敵」でいいのか?
野党が本来の役割を果たす上で物を申すとしたら、公費の使い途についてであろう。そこにはさして踏み込まずに、あくまで個人の選択の自由があるはずの分野に踏むこんで、口を挟んでいるのは妥当ではない。ましてや私費を公費に廻すべきだなどといった発言は、あまりに分別を欠いているともいえる。
また、梅村氏も必ずしも政治的信念からいっているようにもみえない。というのはこんな批判をしておきながら、2018年に、高級車のベンツから比較的安いデミオに乗り換えたなどと、SNSで投稿しているのだ。岸田氏を遥かに超える”贅沢”を満喫していたことのある人物がなぜ岸田氏を批判したのか不思議にも思えてくるが、贅沢から節制に切り替えて何らかのストレスがあるのかもしれない。なにはともあれ、個人的なやっかみを首相にぶつけるのは妥当とはいえない。
以前にも、れいわ新選組の候補者が菅総理の「3000円のパンケーキ。経済感覚のほどが知れる」などと発言したこともあったが、国民から失笑をかったことがあった。野党が“些末なネットたたき”に加担していては、本来持つべき野党の役割を果たせているとはいえないだろう。
そもそも大半の国民は、すべての人が貧しくなればいいなどと思っているわけではない。国民も叶うなら3000円のパンケーキも食べてみたいし、33万円の高級時計も付けてみたいだろう。国民が政治家に望んでいるのは、日本を豊かにすることではないだろうか。人口が減る中でお金のある人がお金を使わなければ貧しい人にはお金はまわってこない。「贅沢は敵だ」などといっていれば永遠に日本は貧しいままだろう。
岸田首相「33万円腕時計」は高いのか安いのか…SNSで論争勃発
10月4日、岸田文雄氏が衆参両院本会議で第100代の内閣総理大臣に指名された。同日に組閣された岸田内閣は「全員野球」をキーワードに、コロナ対策や格差是正に取り組んでいく。
そんな岸田首相について、いま政策と同様に注目を集めているのが腕時計だ。ツイッターで《セイコー アストロン 価格:約33万円》とつぶやかれたことで、この金額が高いのか安いのか論争が起きているのだ。
《この時計代だけで、特別定額給付金3人分を超える》
《33万円て一国の首相が着けるには安いくらいじゃないの!?》
《逆に言うと岸田総理には腕時計の値段以外、罵る点がなかったとも言えるよね》
などと、さまざまな意見が飛び交っている。
そもそも時計は本当にアストロンなのか。本誌がセイコーに確認したところ、「ネットで話題になっていることは把握しておりますが、個人情報なのでアストロンかどうかはお答えできません」とのこと。
そこで、本誌が腕時計の写真を確認すると、おそらく世界限定7000本のアストロンSBXB001だと推測できた。2014年に発売され、本体価格は30万円。当時の消費税8%を加算すると33万円弱となる。
岸田首相の腕時計について、政治ジャーナリストがこう語る。
「初代が1969年に発売されたセイコーの『アストロン』シリーズは、2012年にGPS搭載モデルが登場しました。一般的な電波時計と異なり、電波が届かない場所でも、GPS情報から自動的に現在地の時刻に修正されるそうです。
岸田さんは、2012年12月、外務大臣になったとき、このモデルを購入しています。そして、2014年11月、初の中国訪問を前にいまのモデルに買い替えました。
これまでも安倍元首相が3500円のカツカレーを食べただの、菅前首相が3000円のパンケーキを食べただの、有権者は政治家の庶民感覚に敏感です。
岸田さんの時計が高いは安いかはなんとも言えませんが、海外の高級時計ではなく、『国産品を訴えたい』という思いが強いのでしょう」
本誌は広島県にある岸田事務所に話を聞いた。担当者によると、岸田首相は外務大臣を務めた2012年ごろから腕時計にこだわりを持ち始めたという。
「外務大臣に就任してから、腕時計を新調したという話は聞きました。アストロンかどうかはわかりませんが、(アストロンなら)外務大臣として世界のどこの国に行っても、日本との時差が常に正確にわかるじゃないですか。特に高級志向があるわけではなく、時間に正確を期すということだと思います」
はたして、33万円の腕時計は庶民的なのか。手腕の前に、腕時計が話題になった岸田首相だった。
