山火事に伴う汚染物質 毎年世界で数十万人が死亡

山火事に伴う汚染物質 毎年世界で数十万人が死亡

山火事で出た汚染物質にさらされたことが原因で、全世界で毎年数十万人が死亡している──そんな研究結果が、医学誌「ランセット・プラネタリー・ヘルス」に2021年9月1日付けで発表された。この研究結果は、気候変動の抑制と植生の管理に関して、すぐに行動を起こす必要があることを浮き彫りにしていると研究チームは述べている。

2000年から2016年にかけて、世界の749都市における死者数千万人を分析した査読つき研究論文によれば、山火事によって生じる汚染物質の一形態である微小粒子状物質(PM)は、毎年およそ33万5000人の死因になっているという。

そのうち、心臓関連の問題を原因とする死者は7000人近く、呼吸器の問題による死者は約3500人にのぼる。この知見はグローバルな研究チームにより得られたもので、山火事関連の汚染の影響を調べた世界規模の研究はこれが初めてだ。

研究チームによれば、山火事で放出される多くの汚染物質のうち、もっとも懸念すべきは微小粒子状物質だという。というのも、そうした物質は肺から血流に入れるうえ、他のタイプの火災で生じる場合よりも、化学組成が毒性の強いものになる傾向があるからだ。

210都市で毎年3200人近い死者を出している米国は、山火事の煙に関連する死者がとくに多い国のひとつだ。そのほか、メキシコ(10都市で3000人超)、南アフリカ(52都市で約5300人)、中国(15都市で約1200人)も死者が多いことがわかった。

ただし研究チームは、この研究では、研究対象期間における山火事による汚染の全貌をつかみきれていない、と注意を促している。一酸化炭素や二酸化炭素など、山火事に起因するその他の汚染物質が考慮されていないほか、負傷やメンタルヘルスの悪化といった、その他の健康への影響も加味されていないという。

この研究を主導したユミン・グオ(Yuming Guo)はフォーブスに対し、山火事とその煙害の頻度と影響は、気候変動の結果として増加していると述べた。また、そうした影響は、心血管疾患や呼吸器疾患にとどまらないという。「大気汚染は、全身の機能に影響を及ぼし」、心の健康、自殺、糖尿病、腎臓、脳にかかわる問題と結びついているとグオは指摘した。

米国では、大気汚染を懸念すべきエリアは、山火事が猛威を振るう地域だけではない。「山火事の煙は、米国の発生地以外の地域や他の国に広がることもある」とグオはフォーブスに話し、「自分の健康を守るための対策をとる」よう促した。

2021年にはきわめて乾燥した天候条件が続いており、米国や欧州の広い地域で山火事が猛威を振るっている。生態系によっては、山火事が重要な自然的要素となっているケースがあるものの、山火事の規模や深刻さは極端に拡大している。米国の各地を含めた多くの地域では、近年は記録破りのシーズンが続いている。

人間活動に起因する気候変動により、山火事の起きやすい乾燥した高温の条件が生じる可能性が高まっていることから、事態は悪化の一途をたどると専門家は予測している。こうした状況は、危険で極端な天候条件が発生する可能性を高める、人間に起因する気候変動のパターンにあてはまるものだ。

大気中の有害物質が人間の心身に深刻な影響を与えることを示す研究は続々と増えており、ランセット誌に掲載された今回の研究もそれに連なるものだ。自殺、うつ病、統合失調症の発生頻度や深刻度の上昇については、大気汚染とのつながりが示唆されている。汚染への長期的な曝露は、とりわけ男性において、認知能力の低下と結びついている。

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