アップルのアプリストア、開発側のサイトでも課金可能に…日本の公取の調査受け譲歩
米IT大手アップルは1日、スマートフォンで動画などが楽しめるアプリの開発企業などに課している課金ルールを見直すと発表した。動画や音楽、新聞、雑誌などを閲覧するアプリについて、事実上、アップルの決済システムを通さずに課金することを認める。
アップルが開発企業から徴収している手数料は売り上げの最大30%に上り、高額だという指摘があった。開発企業は、ルールの見直しで支払いを回避しやすくなるとみられ、利用者はより安い料金でアプリを利用できる可能性がある。
ルール変更は来年初めに世界で実施する。日本の公正取引委員会が独占禁止法に違反する疑いがあるとみて、調査していた。アップルが改善策を示したことで、調査を終える。アップルの厳しいルールを各国政府が問題視していた。
アップルは開発企業に対し、スマホでアプリが入手できる自社のアプリストアでの月々の支払いなどについて、アップルの決済システムで課金することを求めてきた。
今回の変更により、開発企業がアプリで自社のウェブサイトのリンクを載せることを認め、アップルのシステムを経由せずに、自社サイトでの課金に利用者を誘導できるようになる。手数料の支払いが避けられれば、開発企業の負担が減り、利用者はより安くアプリのサービスを受けられる可能性がある。
アップルは発表で「アップルのシステムを通じた課金が最も安全で信頼できる支払い方法であることに変わりはない」としながらも、ウェブサイトに誘導する際の利用者保護を支援するとしている。
アップルはプライバシーやデータの安全性の確保を理由に、開発企業に厳しいルールを課し、アプリの流通を一手に管理している。そうした手法に開発企業の不満が高まっていた。
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◆アップルのルール変更のポイント
▽一部のアプリ開発企業に、アプリからウェブサイトへの課金に利用者を誘導することを認める
▽対象になるアプリは音楽や動画、新聞、雑誌など
▽来年初めに世界で実施予定
▽アプリ開発企業は、アップルへの手数料支払いが回避しやすくなる見込み
公取委「改善確認後に調査終了」
米アップルがアプリ開発企業に課している課金ルールを変更することを受け、公正取引委員会は2日、改善が確認できた時点で独占禁止法の規定に基づいて行ってきた調査を終了すると発表した。
公取委は、アプリ販売が事実上、アップルの決済システムを通じてしかできなかった点を問題視し、2016年から調査を続けてきた。開発企業がアップルに支払う手数料は販売価格に転嫁されており、結果的に消費者の利益が損なわれているとの見方を強めていた。