狂犬病とは?発症後の有効な治療法はない

狂犬病

狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していました。このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅するに至りました。この事例を見ても、犬の登録や予防注射が狂犬病予防にいかに重要な役割を果たすかが理解できます。

現在、日本では、犬などを含めて狂犬病の発生はありません。しかし狂犬病は、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されていることから、万一の侵入に備えた対策が重要となっています。

万一狂犬病が国内で発生した場合には、素早くしっかりと発生の拡大とまん延の防止を図ることが非常に重要となります。そのためには、犬の飼い主一人一人が狂犬病に関して正しい知識を持ち、飼い犬の登録と予防注射を確実に行うことが必要であり、そうすることによって公衆衛生の向上と公共の福祉の増進に寄与しているということを飼い主の方にはしっかりと自覚していただくことが望まれます。

狂犬病とは

病原体 感受性動物・感染経路 対象 潜伏期 症状と診断 治療と予防
狂犬病ウイルス ○感受性動物:
全ての哺乳類(ヒトを含む)

○感染経路:
狂犬病にかかった動物(罹患動物。アジアでは主にイヌ)に咬まれた部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。
通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。
ヒト 1~3カ月間程度 (1) 臨床症状
○前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
○急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
○昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
○治療:
発症後の有効な治療法はない。

○予防:
罹患動物に咬まれた場合、ワクチン接種等により行う。
海外の狂犬病発生国で頻繁に動物に接する場合には、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しておくことが望ましい。
(2) 病原体診断
[1]PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等)
[2]蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜等)
[3]間接蛍光抗体法(IFA)又はELISA法による抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液)
[4]分離・同定による病原体の検出(唾液)
イヌ 2週間~2カ月間程度 (1) 臨床症状
○前駆期:性格の変化と行動の異常
○狂躁期:興奮状態(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に咬む)、光や音の突然刺激に対する過敏な反応
○麻痺期:全身の麻痺症状による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎、昏睡状態になり死亡
※狂躁期と麻痺期を明確に分けることは困難なことが多く、前駆期から麻痺期に移行することもある。
○治療:
治療はしない。

○予防:
年1回の予防接種が義務づけられている。
(2) 病原体診断
[1]脳組織の塗抹標本を用いた直接蛍光抗体法によるウイルス抗原検索
[2]脳組織乳剤を用いたRT-PCR法によるウイルス特異遺伝子の検出
[3]脳組織乳剤を乳のみマウス脳内及びマウス組織芽細胞腫由来培養細胞に接種して行うウイルス分離法

発生状況

日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布しています。

世界の発生状況(WHO、2017年)

●年間の死亡者数推計 59,000人(うち、アジア地域35,000人、アフリカ地域21,000人)

●年間の暴露後ワクチン接種者数推計 1,500万人

我が国における発生状況

  1953年 1954年 1955年 1956年 1970年 2006年 2020年
死亡者数 3人 1人 0人 1人 1人 (※1) 2人 (※2) 1人 (※3)
犬の発生数 176頭 98頭 23頭 6頭 発生なし 発生なし 発生なし

※1 ネパールを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※2 フィリピンを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※3 フィリピンで犬に咬まれ、入国後発病、死亡した輸入症例。

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