ようやく五輪開幕も、今度は「選手村」が外国選手から悪評紛紛

ようやく五輪開幕も、今度は「選手村」が外国選手から悪評紛紛

 よくもまあ、これだけ次から次へと出てくるものだ。23日の開会式当日を迎えても東京五輪が相変わらず不評を買っている。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は22日になって開会式の演出担当を務めてきた元お笑い芸人の小林賢太郎氏について、過去にユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をコントの題材にしていたことを理由に解任したと発表した。

問題噴出のたびに「真摯に受け止める」と陳謝したものの

 東京五輪・パラリンピックの開会式の作曲担当となっていたミュージシャンの小山田圭吾氏も過去の雑誌インタビューで障害がある同級生らに対して目を背けたくなる陰湿ないじめや差別行為を行っていたことを笑いながら告白していた詳細が明らかになり、19日に自身のSNSで辞任を発表。森喜朗前組織委会長の女性蔑視発言、開会式で女性タレントの“ブタ扱い演出”を考案していたことが明るみに出て開閉会式の演出担当から辞任したクリエーティブディレクターの一件など東京五輪を統括している組織委の幹部や上層部はこれまでも繰り返された不祥事の際、その都度決まって「真摯に受け止める」などと口にし平謝りしていたはずだ。

 しかしながら、またしても同じように人権を踏みにじる愚行に及んでいた過去の経歴があるにもかかわらず、まともな身辺調査もせずに小山田氏や小林氏を選定。東京五輪全体の人権意識の欠如を再び世界に向けて発信する結果を招いてしまった。

 これでは口先だけでまったく反省もせず、かなり適当な人選を行っていたと批判されても仕方がないだろう。

 しかも大会で要職に就く候補者の人選に「何か問題があるのではないか」と問われた組織委幹部が「(候補者の)過去の経歴を全て把握することは不可能」と開き直ったというから、開いた口が塞がらない。こんな調子なら、大会期間中にもまた似たような“ミス”が発覚しそうな悪い予感も漂う。

選手村への不満を口にしているのはロシア選手だけじゃない

 極め付けは、選手村の問題だ。ロシアの選手から選手村の部屋には冷蔵庫やテレビが設置されておらず、4~5人が生活しているのにトイレも1つしかないという苦情が上がっていると各メディアで一斉に報じられた。

 この一件について海外メディアから指摘を受けた組織委側は当初「初耳」として明確な返答を避けていたが、後日「基本的に冷蔵庫とテレビはレートカード(有償レンタル)の対象」と説明し、ロシア側から発注がなかったことを明かした。

 ただ、そうだったとしても当初の時点で答えに窮した組織委幹部の〝狼狽ぶり〟を見る限り、やはり組織委は大事な報告や重要な事項が上層部にまで行き届いておらず機能不全に陥っていることをあらためてうかがわせた。

 組織委関係者の1人は苦渋に満ちた様子で、このように本音と見解を打ち明ける。

「正直に言えば、この問題はロシアから出た話だったので比較的早く火消しにつながった感がある。ロシアは今大会でドーピング問題の影響により、潔白が証明された選手のみ参加となっている。加えて“北方領土問題”や“東側の国”というイメージも手伝ってネット上でも影響力の強い、いわゆる“ネトウヨ”による『そっちが言うな』などといったトーンの書き込みが圧倒的に目立った。

 ただ、これが仮にアメリカや欧州の国々からブーイングを浴びせられたとなったら、もっと大きな問題に発展していた可能性は十分ある。

 しかもロシアは国としての参加が認められていないから、レートカードのシステムについての通達が他国代表と違って曖昧になっていたことも考えられるし、こちら側にも反省しなければいけない面があるかもしれない。

 そう考察すれば単に『ロシアから申請がなかった』の一言で済ませてしまうのは、早計だと思う。テレビはともかく、そもそも湿気の多い日本の酷暑でなぜ冷蔵庫を各部屋に常設としなかったのかは個人的に甚だ疑問だ。何よりも“アスリートファースト”とうたっていながら、ロシアの選手たちだけではなく他国代表の選手たちからも選手村の評判が悪いのは事実。これは如何ともし難い」

すでに海外メディアも選手村に不信感

 たとえば、エコロジーを追求した選手村の部屋の段ボール製簡易ベッドはサイズが驚くほどのレベルで小さすぎると海外の選手たちからは「悪評の嵐」だ。シャワールームもコンパクトな設計となっているため、身長の高い代表選手の中には身をかがめて中腰になりながらシャワーを浴びなければならないケースも複数報告されている。

 これは米スポーツ専門局「ESPN」や「FOXスポーツ」、ドイツ「ZDF」、英国「BBC」など各国主要のテレビ局でもトピックスとして報じられ、波紋を広げているほど。諸外国メディアからは「あえて日本人向けのサイズに設定しているのでないか」との疑念まで抱かれている始末だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京五輪・パラリンピックを取材する海外メディアは来日後「行動制限」が課せられている。国際スポーツ記者協会(AIPS)のトップが「日本のメディアは自由に行動できるのに、なぜ我々は自由を奪われるのか」と不満を漏らす声明を出したように海外メディアの不満は爆発寸前だ。東京五輪および組織委に対する諸外国の目は以前よりも厳しさを増している。

 こうした背景から、海外メディアの一部には「選手村の劣悪な環境は日本の代表選手たちを母国開催の東京五輪で勝たせるために最初から計算ずくめで考案され、作り上げられたのかもしれない」とあらぬ邪推まで生み出してしまっている。

 まったく統制が取れないまま見切り発車された東京五輪。コロナ禍に加えて重要ポストで相次ぐ人権絡みの不祥事、そして諸外国から噴出する選手村への不平不満――とゴタゴタに歯止めがかからない。果たして各国代表アスリートたちによって今後繰り広げられるメダル争いが、これらマイナス要素のオンパレードを忘却させることになるのだろうか。

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