「素直に喜べない」 五輪開幕、心境複雑 コロナ遺族、医療従事者ら

「素直に喜べない」 五輪開幕、心境複雑 コロナ遺族、医療従事者ら

 新型コロナウイルスで家族を亡くした遺族や医療従事者らは、東京五輪を心待ちにする選手の心情に理解を示しつつ、「素直に喜べない」「医療崩壊が心配」と大会への不安をあらわにする。

 関西地方に住む女性看護師(26)は、5月上旬に職場クラスターで新型コロナに感染。現在も倦怠(けんたい)感や胃炎、めまいなどの後遺症に苦しみ、仕事に復帰できていない。「(発症時は)入院先を見つけるのに時間がかかった。五輪開催でまた医療崩壊が起きないか心配だ」と話す。

 「正直、興味がない。テレビでも見ないと思う」と大会には冷ややかだ。「友人がコロナ病棟で働き、重症治療に従事する中、開催を素直に喜べない」と複雑な心境を語った。

 東京都内に住む50代の女性は昨年、新型コロナで80代の父親を亡くした。「直後はあまり実感がなかったが、最近になって喪失感を感じる」と寂しさを口にする。

 大会については「開催したいという気持ちも分かる。楽しいことをキャンセルするのは勇気がいる」と一定の理解は示す。それでも、「感染対策を徹底しても、静かに広まってしまうのがこの病気の怖いところ」と話し、延期しないことに不満を募らせる。「父も非常識だと思うのでは」と厳しい口調で語った。

 勤務医の労働組合「全国医師ユニオン」代表の植山直人医師は、「県をまたぐ移動をするなと言いながら、五輪関係者は国をまたいでいる」と批判する。国民が納得しなければ自粛の協力は得られず、感染に歯止めはかからないと指摘し、「私も休みを削ってワクチンを打っているが、政策に一貫性がなく、やりがいをなくす」と憤る。

 変異株の増加も懸念する。「熱中症の時期と重なり、医療従事者の負担は増えるだろう。一時期の大阪のように、入院できずに亡くなる人が東京でも出るのでは」と危惧。「大会中止が難しいなら、せめて関係者のPCR検査や隔離をもっと徹底してほしい」と求めた。

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