国交省 自動車の後方カメラ、装着義務化へ 未装着のクルマはどうすればいい?

クルマの“バックカメラ”義務化。国交省

国土交通省は、車両後退時の事故を防止するため、バックカメラ等の装備を義務化し、2023年5月以降の新型車から適用する。新たに採択された国際基準に準ずるもの。

道路運送車両の保安基準等を一部改正。車両後退時の事故防止のため、車両直後を確認できる装置の装着を義務づける。対象となる装置はバックカメラや検知システム、又はミラー。

さらに自動車の安全性については、乗用車等の座席の衝突試験について、ダミーを搭載した動的試験を導入し、静的試験の要件も強化する。

また、ハイブリッド自動車など電機自動車に対する電機安全対策も強化。冠水走行時の水に対する暴露試験や、電機システムに異常が発生した場合に運転者に警告する要件等を追加するほか、車載式燃料、電力消費等の測定装置の搭載を義務づけ、バッテリーのライフタイムやリアルタイムな燃費値、バッテリー劣化等の記録・読出しができるようにする。

今回の改正は、「後退時車両直後確認装置に係る協定規則(第158号)」が国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で採択されたことをうけ、導入されるもの。

自動車の後方カメラ、装着義務化へ 未装着のクルマはどうすればいい?

 2021年4月1日に国土交通省から告示された「道路運送車両の保安基準等の一部改正」。改正に関する項目はいくつかあるが、その中で注目したのが『後退時車両直後確認装置』の装着義務化だ。

 実際の法制化の具体的内容は何か?そしてこれまでのクルマに乗っている人はどうするべきかも含めて簡潔に解説する。

■誰もが経験する後退時の「ヒヤリハット」

 まず前述した『後退時車両直後確認装置』だが、国土交通省の資料には「バックカメラ、検知システムまたはミラー」と記載されている。今回はわかりやすさを重視してバックカメラと表記する。

 実は後退時における事故というのは我々がイメージしているより多く、また深刻だ。公開されている各所データから見えてくるのは、後退する車両に対し、事故に巻き込まれるのは圧倒的に歩行者が多い。またその速度も10km/h未満、さらに5km/h前後が多いそうだ。

 特に対歩行者に関していえば、駐車場内での事故が圧倒的。コンビニやスーパー、さらに大型ショッピングモールなどの大規模駐車場などで後方の確認を怠ったために事故が発生しているケースも多い。

 ここまで読むと自分も「ハッと」したことはないだろうか。もちろん、被害者となる歩行者や自転車、二輪車に乗っていた人の年齢なども無視することはできないが、そのまま後退を続けていたら大惨事になっていたことは予想できる。

■今回の法改正を簡単に解説すると

 国土交通省によれば、自動車の後退時に発生する事故に対し、安全対策のさらなる強化を行う目的と、国連のWP29(自動車基準調和世界フォーラム)でこれらが採択されたことによる基準を改正しようというものだ。

2021年4月1日より5月1日までの間にパブリックコメントを募集した後、6月9日に保安基準等の一部改正が行われている。

 具体的な要件としては図の通りだが、要は従来直視やミラーによって確認していた後退時の「死角」を減らすことで事故を減らそうというものである。

 昨今のクルマは360度の安全を考えて、リア(バック)だけではなく、フロントやサイドのカメラ、またセンサー類も積極的に装着が増えてきている。

 今回のバックカメラに関しても単純に後方を映し出すだけではなく、そのエリアに入ってきた人や自転車などの移動物を検知できる機能を搭載したクルマもある。

 具体的には日産車に搭載される「MOD」がそれに該当する。MODは「Moving Object Detection」の略で、カメラだけでなく車種によってはセンサー類も併用してドライバーに注意を促す。

 特にエリア内に移動物が入ってきた場合、アラームと同時にナビなどのディスプレイには対象物に対し「MOD」の文字が表示される。

 いくら大型のナビ画面でも画角や歪み、さらにカメラ自体の解像度などからも認識がしづらいケースも発生する。その点ではこの「MOD」表示は理にかなっているシステムといる。

■来年からは装着していないとクルマに乗れない?

 まず焦る必要はない。現在のスケジュールによれば6月9日の法改正に続き、さらに実際の適用時期に関しては令和4年5月以降に発売される新型車、また現在継続生産されているモデルに関しては令和6年5月まで適用は延長される。

 今回の法改正に関してはこれが完璧というわけではなくても事故削減のための大きな1歩となるはずだ。あとはコストとの勝負が自動車メーカー&サプライヤーに求められるが、早いタイミングで市場では受け容れられるだろう。

 さて、ここで問題となるのが、自分のクルマにはそもそもバックカメラもないというユーザーである。当然中古車市場やアフターマーケット市場でも人気となることは十分予想できる。

 またすでにバックカメラが装着されている車両に関しても、今回の法改正に準じた後方の見え方を実現するためには後方だけなく、真上からの映像も欲しくなってくるはずだ。

■『鳥の目』を使ってより安心・安全に

 そこで筆者が見つけたのがデータシステムの1カメラスカイトップビュー「SKY812」である。

 この商品のポイントはリアカメラひとつで画像処理(合成)を行うことで前述したように後方と真上から(同社ではスカイトップビューと呼ぶ)が1画面上で表示確認できる。

 付属のカメラの画角も水平方向140°垂直方向100°、防水・防塵性能もIEC(国際電気標準会議)が定めた防水・防塵の保護規格で「IP67」に準拠している点でも実用性は高いはずだ。

 装着には細かなキャリブレーション(調整)が必要なので筆者的にはカー用品店での装着を薦めるが、そもそも映像出力が汎用性の高いRCAピンジャックを使用していることからもカーナビやモニター、また最近人気のDA(ディスプレイオーディオ)等にも装着が可能だ。対応車種は同社のホームページから確認できる。

 今回の法改正は車両後方に限定しているが、前述したように昨今は360°周辺をカメラ&センサーで監視することが徐々に浸透してきている。人気のドライブレコーダーとの連携なども含め、今後はフロント側の専用カメラのニーズも高まっていくことが予想される。

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